相場展望4月2日号 米国株: 原油高が米国インフレ加速・米国経済の後退へ 日本株: イラン撤収でも日本は苦境、海外勢の日本株買い->売り注意
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)3/30、NYダウ+49ドル高、45,216ドル 2)3/31、NYダウ+1,125ドル高、46,341ドル 3)4/01、NYダウ+224ドル高、46,565ドル【前回は】相場展望3月30日号 米国株: (1) イラン戦闘長期化 (2) 原油・金利上昇 (3) 株「調整局面入り」 日本株: イラン戦闘長期化と地域拡大、日本の影響拡大->株売りへ
●2.米国株:原油高が米国インフレ加速・米国経済の後退へ
1)NYダウ・ナスダック総合は短期的には「反騰する」可能性がある ・NYダウ・ナスダック総合は▲10%下落し「調整局面」入りしたため、市場の悲観姿勢がピークに近づいている可能性がある。 ・このため、イラン情勢の改善で投機筋は買い手に回る余地が大きくなっている。2)原油高が米国インフレ加速・米国経済の後退へ ・米国のガソリン価格が2022年以来初めて1ガロン当たり平均で4ドルを突破。 ・ガソリン価格上昇で、企業の輸送費や包装費が積み上がり、食料品価格にも波及し始めた。 ・原油高で米国のインフレが前年比で今年初めの+2%台から+4.2%に上昇するという予測が出てきた。
3)トランプの場当たり的措置 (1)カーグ島空爆。
(2)EU・英国に艦船派遣を求めるが、反応なし。むしろ、EU/英国は米国・イスラエルのイラン攻撃を非難した。スペイン、イタリア、フランス等は米国軍に基地提供・領空飛行を拒否した。 ・トランプ米国大統領は今回のイラン攻撃について、NATO加盟国に事前通告をせず。 ・したがって、NATOはイラン攻撃を「有事」だと認めていない。有事でないため、基地・領空の利用を認めなかったという。
(3)イランをホルムズ海峡を「武器化」させて、事実上の海峡封鎖に追い込んだ。
4)トランプのイラン攻撃の一方的宣言も、問題が山積み・自分に都合の良い解釈 (1)イランとの合意は? (2)イスラエルのネタニヤフ首相との合意? (3)ホルムズ海峡の封鎖解除と安全確保の見通し?
5)トランプ氏は「泥沼化」に焦り (1)ホルムズ海峡を封鎖に追い込んだのはトランプ氏だ。 (2)米国の戦費として34兆円を議会に要請。 (3)戦闘終結の道筋は不透明。 ・筋書きのない戦闘をしている。(無計画にもほどがある) 6)信じ難いほど無責任なトランプ氏 (1)トランプ氏のSNSで「ホルムズ海峡の封鎖で燃料を得られなくなった全ての国は、勇気を出してホルムズ海峡に行き、石油を取ってこい」と投稿した。 ・トランプ氏は、同盟諸国に事前了解も取らず、無視し「独断専行」してイスラエルとの合意だけでイラン攻撃を行ったことを忘れている。
(2)米国はNATO脱退を検討表明の意向とトランプ氏は4/1ロイター通信に示した。
(3)トランプ氏「合意があろうと、なかろうと米国軍は撤退する」と主張。
(4)フランスなどホルムズ海峡を利用する連中が、イランの相手をすればいい。
7)イランが優位 (1)原油輸送の要衝である2海峡ともに封鎖できる ・ホルムズ海峡 ・・ペルシャ湾の出口、イランが封鎖 ・バブエルマンデブ海峡・・紅海の出口、イエメンのフーシ派は親イラン
(2)イランがホルムズ海峡通過の通行料(1隻、最大200万ドル(約3億円))を徴収となると年間で約11兆円程度が見込める。イラン側に莫大な利益を与える結果となれば、トランプ氏の勝利とならない。この膨大な通行料は中東産原油輸入国の負担となるため、輸入各国にとってインフレ(物価上昇)を上乗せすることになる。
(3)イランのペゼシュキアン大統領は3/31、EUのコスタ大統領と電話会談し「戦争を終結させる意思はある」が「再び攻撃を受けない確実な保証が条件」。
8)トランプ氏は「敗北とみなされないイラン終結」を模索 (1)イラン優位にもかかわらず強気一辺倒のトランプ氏 ・トランプ氏は4/1、SNSに投稿し「イランの新体制の大統領が米国に停戦を求めてきた」と表明した。 (2)トランプ氏は「目標は達成された」と主張し、一方的に撤収する可能性を示唆。
9)トランプ氏周辺の疑惑 (1)ウォーシュ元FRB理事を次期FRB議長に指名したが、エプスタイン関係が浮上 ・連邦上院の承認を得るのに苦戦を予想。 ・ウォーシュ自身の指名取り下げする可能性。
(2)インサイダー疑惑 ・トランプ氏のイラン攻撃に関する発表15分前に(1)株式先物(2)原油先物市場で異常に高い取引があった。原油先物で5.8億ドル(約925億円)と、通常取引の9倍もの商いがあった。インサイダー取引の疑いが出ている。
(3)トランプ氏の娘婿クシュナー氏の中東ビジネスでの利益相反取引の疑念 ・クシュナー氏はユダヤ教信者で、米国では不動産業を営んでいる。彼は、トランプ政権を代表してイスラエルのネタニヤフ首相と協議している。その後に、米国・イスラエルのイラン攻撃が実行された。 ・クシュナー氏の運用ビジネスの資産が昨年に+30%増加している。
10)欧州連合(EU)は米国から離反し、自立へ (1)米国がアメリカ大陸に戻り、EU各国と中東諸国で「米国抜き」の秩序の再構築を目指すことになるだろう。 (2)イラン攻撃の結果、米国は威信を大きく傷付けられることから避けられない。 ・米国のトリプル安(株・債券・ドル)の動きに注視。「重要な最新情報」は日本時間4/2・10時に演説(米国4/1・午後9時)
11)トランプ大統領は日本時間4/2午前10時に「国民向け演説」 (1)トランプ氏のイラン攻撃成果の自慢発表会に終始した。 ・イランは崩壊して、石器時代となった。 ・今後2〜3週間は激しい戦闘を継続する。 ・ガソリン価格高はイランの責任だが、間もなく下落する。 ・ホルムズ海峡の開放は利用している国がやれ。 (2)NATO脱退には、言及しなかった。
●3.米国3月SM製造業総合景況指数は52.7、予想52.3・前月52.4と小幅上昇(ブルームバーグ)
1)仕入れ価格指数は+7.8上昇し78.3、ここ2カ月で+19.3上昇し、約10年ぶりの大幅な伸びとなった。イラン戦争による原油価格の高騰が要因となっている。●4.原油先物下落3/31、イラン大統領の一定の保証あれば戦争終結発言報道(ロイター)
●5.NYダウ、3/31に+1,125ドル高と大幅続伸、中東戦闘終結に期待(時事通信)
●6.トランプ大統領、ホルムズ海峡封鎖の影響を受ける国に対し、「米国から石油を購入するか自分で海峡まで石油を取りに行け!」と3/31に主張(日テレ)
1)「石油は自分で手に入れろ!」とトランプ氏、石油不足の各国を突き放す(毎日新聞)■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)3/30、上海総合+9高、3,923 2)3/31、上海総合▲31安、3,891 3)4/01、上海総合+56高、3,948●2.中国、燃料・肥料輸出の再開を求める近隣諸国に冷淡、自国需要を優先(ロイター)
1)バングラディシュ、フィリピン、オーストラリア、タイなど多くの国々が中国を主な供給源としてきたが、現在は輸出禁止措置に直面している。●3.3/30の上海総合指数は続伸、政府系資金の流入が相場をサポート(フィスコ)
1)朝方は中東情勢の緊迫化を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株価指数は前営業日比で一時▲1%近く下落した。米国軍の地上部隊増強や、中東での軍事的緊張の高まりが、不透明感を意識させた。 2)その後、政府系資金の流入が意識され、銀行やエネルギーなど大型国有企業株が下支えし、株価指数は持ち直した。■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)3/30、日経平均▲1,487円安、51,885円 2)3/31、日経平均▲822円安、51,063円 3)4/01、日経平均+2,675円高、53,739円●2.日本株 : 海外勢の日本株買い⇒売り一辺倒になる可能性に注意
1)海外投機筋は依然として「買い」姿勢 ・3/30は、日経平均は▲2,800円超下げたところで海外投機筋は買いをいれた。海外投機家筋による買い支えもあり、終値は▲1,400円台で終えた。 ・例年、4月は海外投資家の資金が流入してきた。 ・4/1の日経平均の記録的上昇も、海外勢が主導した上昇。取引終了間際まで海外勢が買い上がったもよう。2)トランプ大統領「明日、国民向け演説」、イラン攻撃の撤退「期待」で大幅上昇 4/1、日経平均は一時+2,675円の値上がり・上昇率は+5.24%高。 ・上昇幅は過去4番目の大きさ。
3)日経平均寄与上位5銘柄の寄与度 (1)3/30、日経平均下落▲1,487円安、下落寄与額は▲650円安、占有率43.71% ・寄与銘柄 寄与下げ幅 株価下げ幅 アドバンテスト ▲306円安 ▲1,145円安 ソフトバンクG ▲204 ▲245 TDK ▲55 ▲110 東京エレクトロン ▲45 ▲450 ファナック ▲40 ▲242 合計 ▲650
(2)3/31日経平均下落▲822円安、下落寄与額は▲548円安、占有率66.66% ・寄与銘柄 寄与下げ幅 株価下げ幅 東京エレクトロン ▲161円安 ▲1,610円安 アドバンテスト ▲159 ▲595 ソフトバンクG ▲110 ▲137 フジクラ ▲83 ▲415 三菱商事 ▲35 ▲352 合計 ▲548
(3)4/01日経平均上昇+2,675円高、上昇寄与額は+1,134円高、占有率42.39% ・寄与銘柄 寄与上げ幅 株価上げ幅 アドバンテスト +524円高 +2,170円高 東京エレクトロン +206 +2,050 ソフトバンクG +168 +209 ファーストリテイ +164 +2,040 フジクラ + 72 +356 合計 +1,134
・3/30〜4/01の3日間で、日経平均の上げ下げともに半導体・人工知能(AI)関連銘柄の占有率は約4割〜6割程度で推移している。このことから売買銘柄の広がりが見て取られる。ただ、ハイテク銘柄のウエートの低下が気になる。
4)米国軍のイラン撤収でも、ホルムズ海峡は閉鎖状態が続くため、問題は長期化 ・米国軍が一方的にイラン攻撃撤収しても、ホルムズ海峡の無害通航の保証はない。 ・原油輸入の安定化には程遠い。 ・原油高と原油輸入減で、日本経済の減速とインフレが懸念される。このため、海外勢の日本株買いが一転して「売り一辺倒」に陥る可能性もあり、慎重にも慎重な判断が求められそうだ。
●3.三菱マテリアル、レアアースなど重要鉱物リサイクル事業の米国エレメント・テクノロジーに出資し、協業する覚書を締結(共同通信)
●4.日東電工、発行済み株式の2.97%・500億円上限に自社株買い(ロイター)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
(休載)執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
