【政界】米イスラエルのイラン攻撃で経済・安保情勢は不透明な中、問われる首相の舵取り
「アリバイ作り」加担警戒
与党は予算案の3月13日の衆院通過を目指すため、一時は土曜日の7日まで使う提案をした。休日審議を嫌った野党の反発を受けて引っ込めたが、その後も委員長の坂本が採決の前提となる公聴会などの日程を職権で次々と決めた。「強権的」の印象はぬぐえない。
一方、高市にとって想定通りにはいかない事態も生じている。社会保障と税の一体改革を検討する政府と与野党の「国民会議」のつまずきだ。2月26日の初会合に参加した政党は、与党の自民と日本維新の会以外の野党では、「チームみらい」の1党にとどまった。
高市が正式に国民会議の構想を表明したのは昨年10月24日の所信表明演説だった。政権発足直後の当時は衆参ともに少数与党で、中道改革連合に合流する前の立民や、国民民主党などの協力がなければ何事も前に進まない状況だった。
立民も国民民主も国民会議の趣旨には賛同していた。しかし衆院選を経て状況は一変した。政府は国民会議への参加要件を「消費税が社会保障の貴重な財源であるとの認識を有し、給付付き税額控除の実現に取り組む政党」と定義した。消費税廃止を掲げる参政党とれいわ新選組、一律5%への引き下げを主張する共産党などは「排除」したが、中道と国民民主は問題なく参加するだろうと踏んでいた。
お粗末なのは、初会合の開催前に立民と公明に声掛けすらしていなかったことだ。衆院の立民、公明両党の所属議員の大半は1月に中道に参加したが、将来的に合流する予定の参院の立民と公明は現在、独立した党として存続している。政府としては、中道に声掛けをした時点で立民と公明への打診は不要と判断したとみられる。
立民と公明は昨年9月、自民とともに給付付き税額控除の導入に向けた協議を進めてきた関係にある。翌10月の公明の連立政権離脱と維新の連立入りがあった後の12月も、自民、維新、立民、公明の4党で協議を続けてきた。それを単なる「誤認」(高市)で済まそうとするあたりは政府の本気度を疑わせ、国民会議を消費税減税のためのアリバイ作りの場にしようとする意図が見え隠れする。
結局、警戒していた中道、立民、公明の3党も国民会議に参加する運びとなったが、会議の運営の主導権は政府与党が握る。「結論ありき」の強権を発動すれば、野党の反発を招く可能性もある。
尾を引くイラン情勢
そんな状況の中で発生した米国とイスラエルによるイラン攻撃は、日本にもさまざまな影を落とす。さっそく反応したのはマーケットだ。
イラン攻撃直前の2月27日、東京株式市場の日経平均株価は4日続伸の5万8850円で取引を終え、過去最高値を更新した。6万円突破も時間の問題とみられていたが、週末のイラン攻撃を挟んだ3月2日の日経平均株価は、原油高などへの懸念から一時1500円を超えて下落。その後も乱高下が続き、3月9日には一時4200円超も下がった。
日本に輸入される原油の約9割が通過するホルムズ海峡が事実上封鎖されたことによって今後、ガソリンを含めた物価の上昇が懸念される。高市は国会答弁で原油の調達先の拡大を検討すると表明したが、一朝一夕で確保できるものではない。
高市は、状況によっては26年度補正予算案の編成を排除しない考えを示し、高騰が予想されるガソリンや電気・ガス料金への対策も検討していると明らかにした。
だが、イラン攻撃の意義を強調する米大統領のトランプ自身、戦闘の終結やイランの新体制構築といった「出口戦略」を描けていないとみられている。戦闘状態が長期化すれば、終わりの見えない経済対策が必要になりそうだ。
