【2月13日はNISAの日】新NISAで「老後2,000万円」は間に合う?65歳までに必要な年代別の〈毎月の積立額〉をFPが試算
本日2月13日は「NISA(ニーサ)」の日。物価高が続き、将来のお金への不安が高まるなか、「老後にはいくら必要なのだろう?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで注目したいのが「新NISA」です。運用益が非課税になるため、老後資金づくりをより効率的に進められます。本記事では、65歳までに2,000万円を目指す場合、毎月いくら積み立てればよいのかを、20代・30代・40代・50代の年代別にFPがシミュレーションします。
「老後2,000万円問題」の背景と本質
「老後2,000万円問題」は、2019年に金融庁の報告書で示された試算がきっかけで広く知られるようになったテーマです。この試算では、夫婦2人の標準的な老後生活(約30年間)において、年金だけでは毎月約5万円の赤字が生じ、トータルで約2,000万円の取り崩しが必要になるとされています。
もちろん、老後に必要な資金は、各家庭のライフスタイルや受け取れる年金額によって異なります。そのため、さらに多くの資金が必要になるケースもあれば、年金額が多い方や、十分な貯金がある方にとっては、必ずしも2,000万円が必要とは限りません。
しかし、この「2,000万円」という金額は、老後に向けた資産形成の一つの目安としてわかりやすく、多くの方にとって目標に設定しやすい金額といえるでしょう。
資産形成を加速させる「新NISA」のメリットとは
老後資金づくりに限らず、これから資産形成を始めるなら、2024年からスタートした「新NISA」がおすすめです。新NISAには、次のようなメリットがあります。
■「新NISA」の主なメリット
・運用益が非課税:通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、新NISAなら運用益や配当金が非課税
・非課税保有期間が無期限:旧NISAでは非課税期間に制限がありましたが、新NISAでは無期限で保有が可能
・年間投資枠が拡大:つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、合計年間360万円まで投資可能
・生涯投資枠1,800万円:最大1,800万円まで非課税で投資可能(うち成長投資枠は1,200万円まで)
たとえば、35年間の運用で500万円の売却益が出た場合、通常の課税口座なら約100万円が税金として差し引かれ、手元に残るのは約400万円です。しかし、新NISAであれば、500万円をそのまま受け取ることができます。
また、新NISAのつみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たす長期・積立・分散投資に適した投資信託とETFに限られています。手数料が低く、初心者でも始めやすい商品が揃っているため、資産形成の第一歩としてもおすすめです。
このような税制優遇制度を上手に活用することで、資産形成のスピードを高めることにもつながります。
【年代別に試算】65歳までに2,000万円を達成するための「毎月の積立額」
それでは、各年代から新NISAで投資信託の積み立てを始めた場合、65歳までに2,000万円を達成するには毎月いくら積み立てる必要があるでしょうか。金融庁の「つみたてシミュレーター」を活用して試算します。
投資対象は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のようなインデックスファンドを想定し、利回りは「年率3%・5%・7%」の3パターンでシミュレーションを行います。
なお、2025年の上昇率は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が+20.5%、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が+15.7%でしたが、毎年同じペースで上昇することはあり得ません。+15%の年もあれば、−10%となる年もあります。
長期的に見ると、年間の平均リターンは4〜5%程度に落ち着く傾向があるため、ここでは保守的な3%のケースを含め、幅広く試算します。
パターン1:20歳でスタートした場合(投資期間45年)
20歳から新NISAで積立投資を始めた場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。なお、NISA口座は18歳以上であれば開設できます。
■毎月の積立額(20歳スタートの場合)
・想定利回り3%:約18,000円
・想定利回り5%:約10,000円
・想定利回り7%:約5,500円
20歳から始める最大のメリットは、複利効果を最大限に活かせる点です。運用期間が45年と長いため、利回り3%なら毎月約18,000円、利回り5%なら約10,000円の積立額で2,000万円に届く計算になります。
大学生のうちは難しいかもしれませんが、新社会人として働き始めるタイミングで、「毎月1万円は最初からないもの」と考えて積立投資を行う習慣をつければ、老後資金の大部分を準備できる可能性があります。
パターン2:30歳でスタートした場合(投資期間35年)
30歳から新NISAで積立投資を始めた場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。
■毎月の積立額(30歳スタートの場合)
・想定利回り3%:約27,000円
・想定利回り5%:約18,000円
・想定利回り7%:約12,000円
30歳から始めても、運用期間はまだ35年あります。利回り3%なら毎月約27,000円、5%なら約18,000円の積立額で2,000万円に到達する計算になります。
30代は、結婚や家の購入、子育てなどライフイベントが重なりやすい時期です。しかし、ボーナスを活用するなど、この時期から老後資金の積み立てを習慣化しておけば、将来のお金の不安を軽減できるはずです。
家計の見直しをして、まずは無理のない金額から始めることが大切です。
パターン3:40歳でスタートした場合(投資期間25年)
40歳から新NISAで積立投資を始めた場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。
■毎月の積立額(40歳スタートの場合)
・想定利回り3%:約45,000円
・想定利回り5%:約34,000円
・想定利回り7%:約25,000円
40歳から始める場合、投資期間は25年となり、必要な毎月の積立額は一気に増えます。利回り3%なら毎月約45,000円、5%なら約34,000円の積立額でようやく2,000万円に届く計算となり、家計への負担は小さくありません。
そのため、状況に応じて積立額を一時的に減らしたり、場合によっては一部を売却して現金化したりするなど、無理のない範囲で継続することが大切です。50代になり、教育費の負担が減るなど家計に余裕が生まれたタイミングで積立額をカバーすることも一つの戦略です。
新NISAはいつでも売却可能で、売却した分の非課税投資枠は翌年に復活するため、ライフステージに応じて柔軟に対応しましょう。
パターン4:50歳でスタートした場合(投資期間15年)
50歳から新NISAで積立投資を始めた場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。
■毎月の積立額(50歳スタートの場合)
・想定利回り3%:約88,000円
・想定利回り5%:約75,000円
・想定利回り7%:約64,000円
50歳から始める場合、投資期間は15年と短くなるため、毎月の積立額はさらに大きくなります。利回り3%なら毎月約88,000円、5%なら約75,000円、7%でも約64,000円の積立額でようやく2,000万円に届く計算です。
ただし、50歳からのスタートでも諦める必要はありません。会社員であれば年収は30代や40代よりも高く、子どもが社会人になって独立していれば、教育費の負担が減るタイミングでもあります。
家計に余裕が生まれるタイミングを活かし、無理のない範囲で積み立てを始めることで、老後資金の土台を築くことは十分に可能です。
人生は今日が一番若い日…今から始める老後資金づくり
新NISAで老後資金2,000万円を目指す場合の毎月の積立額を試算してきました。
共通していえるのは、早く始めるほど毎月の負担を抑えられるということです。年齢が上がるにつれて必要な積立額は増えていきます。また、NISA口座を利用していなければ、必要な投資額はさらに大きくなっていました。
しかし、大切なのは金額の大小ではなく、まずは一歩を踏み出して継続することです。
もし65歳時点で2,000万円に届かず、1,500万円にとどまったとしても、老後生活には大きなゆとりが生まれるはずです。不足分については、資産をすぐに取り崩さず運用を続ける、働く期間を延ばす、公的年金の受給開始時期を繰り下げるといった選択肢で補うことも可能です。
人生は今日が一番若い日です。後悔のないよう、今できることから始めてみてはいかがでしょうか。
ファイナンシャルプランナー
近藤 章仁
〈出典〉
金融庁:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
金融庁:NISAを知る
金融庁:つみたてシミュレーター
SBI証券:NISA つみたて投資枠 取り扱い No.1 オルカンを上回った 1年リターンランキングは?
