木村拓哉53歳、“かっこいいヒーロー”からの脱却。嫌われ者を演じる『教場』での覚悟
その最新作となる『教場III』は、前編となるNetflix映画『教場 Reunion』と、2月20日より劇場公開される『教場 Requiem』の2部作となっています。主演を務める木村拓哉さんの“白髪”も話題となった本作に、筆者はこれまでとは違う覚悟を感じました。
長年に渡り、ドラマで高視聴率を連発してきた木村さんですが、あまりに華がありすぎるがゆえ、どんな職業を演じても最終的には“カッコいいヒーロー”になってしまい、「何をやってもキムタク」と評されてしまうこともありました。
しかし、アラフィフに突入したここ数年は、『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)で脱獄犯となったり、映画『TOKYOタクシー』では、約30年ぶりに主演ではなく助演に回り平凡なタクシー運転手に扮するなど、これまでのイメージを覆してきました。
その中でも特に、“脱”「何をやってもキムタク」のきっかけとなったのが、『教場』シリーズの風間公親役ではないでしょうか。白髪で仏頂面の風間は、警察学校で「警察官として適性のない者をふるいにかける」ために、学生の少しの嘘も見逃さず、厳しく退校届を突きつける冷徹な鬼教官です。
これまでの木村さんが演じてきた役では、犯罪者など明確な悪以外、他人に迷惑をかけたりルール違反をするような問題児でも、バッサリと見捨てるということは無かったと思います。特にそれが若者だった場合、問題行動の原因を探って改心させてきたからこそ、木村さんは“カッコいいヒーロー”であり続けてきました。
◆嫌われることも厭わない“風間公親”に没入
一方、風間は声色も低く渋く、感情が無いかのように必要最小限なことしか発さず、全身から近寄りがたい圧がみなぎっています。この『教場』は人の命に係わる警察官を育てる場所ですから、その資格が無いと判断すれば、風間はけっこう早めに見切りをつけ退校させていきます。風間にも根底に温情が無いわけではありませんが、基本的には“救い上げる”のではなく“ふるい落とす”ことを優先します。
表面的に見れば視聴者に嫌われても仕方ないほどの無慈悲さですが、木村さん自身、演じながらそんなことを気にしているとは思えないほど、風間公親に没入していきました。
◆異例のダークヒーローは「不可能だと思っていた」
好評を博していたSPドラマ版を経て、月9枠でのドラマ『風間公親−教場0−』放送時には、「月9という枠で、この題材をやるのは不可能だと思っていた」と語っていた木村さん。
教場シリーズに登場していたのは、川口春奈さん、大島優子さん、目黒蓮さんなど、今見返してもそうそうたる面々です。さらに赤楚衛二さん、新垣結衣さん、白石麻衣さんら豪華キャストを迎えた月9版『教場0』でも警察学校でのリアルを緻密に炙り出し、異例のダークヒーロー・風間公親は鮮烈なインパクトを残しました。
今回、映画の前編がNetflix、後編が劇場版と前例がないことについても、木村さんは「じゃあ、やるでしょ」と意欲あるコメントを寄せました。53歳となった今でも、いや今だからこそ、これまでの予定調和を打ち砕き、新たな頂へとチャレンジを続ける姿を見せてくれています。
◆成功すれば「木村拓哉から始まった」という前例となる
その『教場 Reunion』は、Netflixで独占配信と、既存会員以外には心理的ハードルが少し高く感じられる公開の仕方となりましたが、月額で言えば劇場映画チケット代より安価なので、映画版『教場』がどんなものか、お試しで見るにはちょうどいいとも言えます。

