『ばけばけ』写真提供=NHK

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 現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』。第3週では、親からの愛情に恵まれず、“自分”というものをどう見つめていくべきか葛藤する雨清水家の三男・三之丞の姿が描かれた。三之丞を演じるのは、出演作が途切れない板垣李光人。複雑な役柄への向き合い方や、両親役を演じる堤真一、北川景子との共演、そして初めてとなる朝ドラ出演への思いを聞いた。

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●板垣李光人と北川景子は顔のパーツの比率が同じ?

――初の朝ドラ出演となりましたが、出演が決まった時の気持ちや、周囲の反響はいかがでしたか?

板垣李光人(以下、板垣):やはり朝ドラと大河ドラマは、俳優として特別なものだと感じていたので、話をいただいたときはとても嬉しかったです。以前、仕事でお会いした方に「ドラマはあまり観ないけれど、朝ドラだけは観ている」とおっしゃっていただいたことがあり、本当に多くの方に愛されている特別な作品なのだと改めて実感しました。実際に自分が出演している放送を、朝リアルタイムで観るのも、夜にドラマを観ることが多い自分にとっては新鮮な気持ちです。

――両親役の堤真一さん、北川景子さんとの共演は?

板垣:お二人が両親を演じてくださると聞いたときは、すごく嬉しかったです。北川さんとは今回で3回目の共演になります。初めてご一緒した映画『約束のネバーランド』でも“親子”という関係性だったので、また家族としてご一緒できて光栄です。堤さんの作品もこれまでたくさん拝見していました。「北川さんと顔のパーツの比率が同じみたい」という感想も頂き、親子に見えているのなら嬉しいなと思いました。

――撮影現場での、堤さんや北川さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。

板垣:堤さんが演じる父・傳と三之丞は、劇中でほとんど目が合わないのですが、その関係性が現場でも自然と反映されていたように感じます。顔合わせの時にはご挨拶させていただいたのですが、撮影に入ってからは、あえてあまり深く話さないようにしていました。それが親子の絶妙な空気感や、気持ちのすれ違いといった部分に繋がったのかなと感じています。一方、母・タエを演じる北川さんとは今も一緒に撮影することが多くて、最近観た作品の話をしたりして、楽しく過ごしています。

――板垣さんが演じる三之丞は、武家の三男坊であるため親に目をかけてもらえず、不憫なキャラクターとして描かれていました。彼の存在意義をどのように捉えていますか?

板垣:脚本を読んだときから、「ただかわいそうなキャラクターにはしたくない」という思いがありました。この物語には、貧しいながらも家族の絆が強い松野家と、広い屋敷でどこか心の距離が遠い雨清水家という対比があります。その中で三之丞は、視聴者の方から見れば「かわいそう」に映るかもしれません。しかし、父が亡くなった後、彼なりに自分の中で強く生きようともがく様子が描かれていきます。そのひたむきさ、健気さといった部分が、今後の物語のスパイスの一つになっていくのではないかと思います。

――三之丞が父・傳に長年の思いをぶつけるシーンは非常に印象的でした。どんな気持ちで臨みましたか?

板垣:あのシーンは、この時代の価値観に翻弄された雨清水家の、確かにそこにあったはずの親子の愛をしっかり見せたいと思っていました。父上と母上のことが好きだからこそ、「だったら私も外で育ちたかった」という言葉が出てきたのだと。あのセリフをどう届けるかで、伝わり方が全く変わってしまうと感じていました。北川さんも「母親として、三之丞に愛情がないわけがない」とおっしゃっていて、同じ思いでいてくださったのが心強かったです。堤さんのお芝居を受けて、あの瞬間、やっと家族三人が一つの線で結ばれたような感覚があり、悲しくもありながら、どこか温かさも感じられるシーンになったと思います。

●タエと三之丞の新たな生き方も今後の見どころ

――本作のキャッチコピーは「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」です。このテーマについてどう感じますか?

板垣:嬉しいことも悲しいことも、人生で起こるすべてをひっくるめて包み込んでくれるような、この作品の温かさが最大の魅力だと感じています。学校や仕事に行く前に、少ししんどい気持ちを抱えている人たちをも優しく包んでくれるような、そんな空気感が素敵だなと。

――ちなみに、最近「うらめしいな」と思ったことはありましたか?

板垣:撮影で森に行く機会が多いのですが、もともと虫が苦手なので最初は「うらめしいな」と思っていました(笑)。でも、3日くらい経つとだんだん慣れてきてしまって。最初は嫌だったものが、少し愛おしく思えてくるような感覚は、まさにこのドラマのテーマのようだなと感じました。

――最後に、今後の見どころを教えてください。

板垣:今後も三之丞が「かわいそう」と思われるような出来事は起こります。ですが、父亡き後、母と二人でどう生きていくのか、そして姉だとわかったトキとどう向き合っていくのか、何もできないなりに必死に強くあろうとする姿が描かれていきます。お互いの未熟な部分に気づき合いながら、彼らがどう成長していくのか、その心の機微を見守っていただけたら嬉しいです。たくましくユーモラスな松野家と、どこか不器用な雨清水家の対比も、より一層はっきりしてくるので、ぜひ注目していただきたいです。(文=石井達也)