「秋分」に味わう極上の塩ゆで落花生 生の殻付き落花生を見つけたら、ぜひ塩ゆでに
『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。「秋分」編をお楽しみください。
秋分の頃に出回るのが落花生
「この手づくり記事は、とても手間のかかるものが多いですね……」
とある知人の読者から、最近そんなメッセージをいただきました。
たしかにそのとおりでした。ここ2回を振り返っても、「ゆず胡椒」(18回)、「いかの塩辛」(17回)と、手間が半端なくかかりました。特にいかの塩辛では、熟成させたり、冷凍したりで、完成までが5日がかり。暇なジジイの趣味の手作りとはいえ、大変申し訳なく思っております。
この連載の趣旨は、かの牛丼と同じく、「うまい、やすい」を目標にしておりますが、もうひとつの「早い」については、実際できておりません。その反省から、今回は超簡単がテーマです。はい。「ゆでるだけ」の手作り酒肴を紹介させていただきます。
折しも「秋分」(しゅうぶん。今年は9月23日から10月7日まで)。古くからの生活暦である二十四節気の一つですが、日の出は真東から上り、日の入りは真西へと沈む季節の節目です。つまり、昼夜の長さは等しく、以降は夜の訪れが日に日に早まります。まさに、「秋の日は釣瓶(つるべ)落し」となるわけです。
そんな秋分の頃に出回るのが落花生です。落花生……要するに殻付きのピーナッツですね。煎ったものがいつでも手に入りますので、ここでは新落花生と呼びますが、こちらは煎られていない生のもの。秋分の前後から10月くらいまでという秋だけの味覚です。

生の殻付き新落花生は9月から10月初旬に出回る
オイラは、この新落花生の塩ゆでが大好物。これで、秋を嚙みしめているのです。世間で秋の味覚と言えば、「サンマ、栗、松茸」でしょう。それが、オイラの手づくり連載では、「スルメイカ、青ゆず、落花生」となりました。早い話、オイラの好物を出回り順に紹介したまでです。好き勝手させていただいており、感謝するばかりです。

塩ゆでにむいているのは「おおまさり」という豆の大きな品種
塩ゆで落花生はホクホクとした食感
さて、その落花生、日本一の産地である千葉県のものは、概して遅いのです。多くは10月〜11月が出回りの時期。なかでも有名な八街(やちまた)産の「半立(はんだち)」という落花生は晩生で11月以降となります。こちらは煎って食べるのに最高の品種です。
とはいえ、そこまで待っていられないのが、老い先短いジジイの性(さが)。そんなことで、オイラは例によって街中やデパ地下の八百屋さんに出没し、新落花生を探し回りました。なにしろ、日本で消費される落花生の9割ほどが、中国などの外国産。そのなかで、流通量もわずかな生の新落花生を見つけるのは至難のワザなのです。あちこち行脚して見つけたのが、静岡産の新落花生でした。

生の殻付き新落花生静岡産はデパ地下で425g1000〜1500円だった
「おおまさり」という品種で、殻の中には大粒の豆がびっしり2粒。通常の2倍くらいの大きさです。ホクホクとした食感から、塩ゆでして食べるのに特に向いているそうです。
最近は、この塩ゆで落花生のおいしさが知られ、ネット販売も盛んです。そして、手作り派がそのゆで方を、レシピサイトにもたくさん投稿されております。そこでのレシピはおおむね「30〜40分ゆでる」「塩はゆでる水の量の3〜4%」というもの。
おそらくは、市販の塩ゆで落花生がかなりやわらかく、塩味も相当きいているものが多いためでしょうが、血圧高めのジジイとしては、もっと塩分をおさえ、豆はかたゆでとしたいところ。いちいち贅沢な66歳ですが、幸い歯はまだ普通の状態でございます。
「塩分控えめ、豆かため」での新落花生のゆで方
そんなことで、「塩分控えめ、豆かため」の新落花生のゆで方です。最初に申し上げたとおり、今回はゆでるだけ。そのうえで、オイラなりの工夫とともにご紹介いたします。
●新落花生の塩ゆで(仕込み編)
1)手に入れた生の殻付き新落花生は、洗う前に半日ほど陰干しする。※乾燥させるためです。

生の新落花生は洗う前に殻のまま少し乾燥させる
2)少し乾燥させた新落花生は水でよく洗う。水を入れ替えながら4〜5回洗う。※新落花生は土から掘り起こした状態で出荷されていますので、洗うたびに水が茶色く濁ります。なので濁らなくなるまで洗うことで、ゆで上がり後の土くささがなくなります。

ゆでる前の下準備は洗うだけだが水を取り替えながら4〜5回は洗いたい

殻の表面に乾燥した土が多いときは殻をこするようにして土を落とす
●新落花生の塩ゆで(調理編)
1)大きめの鍋に水1500mlを入れ、新落花生(425g)は殻のまま水からゆでる。

新落花生は水から加え鍋に火を入れる
2)鍋に火を入れたら粗塩大さじ1弱(約13g)を加え、豆が浮き上がらないようにアルミ箔をかけ、ふたをする。※水に対しての塩分量は0.9%ほど。この量でも十分塩味がききます。火は中火。アルミ箔をかけるのは、落しぶたのかわりです。

今回は水1500mlに新落花生425g。粗塩は大さじ1弱(約13g)で塩分は0.9%

豆が浮き上がらないようにアルミ箔をのせてからふたをする
3)鍋が沸騰してきたら中弱火にし、10分ほどゆでて火を止める。※ゆで上がったら、まず新落花生を試し割りして、豆のやわらかさを味見しましょう。そのうえで、好みの状態までゆで時間を調節してください。

ゆで時間は沸騰してから10分ほど。かたゆでの仕上がりとなる

10分ゆでたら試し割りをして豆のやわらかさを味見し、ゆで時間を調節する
4)好みのゆで加減になったらザルに上げて水けをきり、さます。これで出来上がり。

好みのやわらかさになったらザルに上げ水けをきりながらさます
補足)塩ゆでした新落花生は、殻をむいたうえで冷凍保存も大丈夫です。ジップロックなどの冷凍保存袋に豆をかさならないように入れ、冷凍します。解凍の際は食べる量だけを取り出し、小皿に10分ほど置いておけば食べ頃となります。

冷凍保存の際は殻をむいたうえでジップロックなどに重ならないように入れ冷凍する

冷凍した新落花生は食べる量を小皿に盛れば10分ほどで解凍され食べ頃になる
文・写真/沢田浩
さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。
