「児童まんがの名匠 太田じろうの世界」

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―はじめに―
昭和30年代、児童漫画には当時人気を博した作品も数多いが、まだアニメ化がなかった時代の作品は埋もれていくものも多い。ちなみに、国産テレビアニメ第1号は昭和38年の『鉄腕アトム』。
また、多くの作品は雑誌掲載のみで単行本にならないものがほとんどだったため、なかなか過去の作品に触れることができなかった。そうした昭和の児童漫画家の中でも、太田じろうは近年発見された原稿をもとに、東京や新潟などで原画展を開催してきており、今回初めて九州で展示会が開催されると聞き、早速、北九州の『児童まんがの名匠 太田じろうの世界』(6月1日まで開催)の初日へ訪れた。

>>>「児童まんがの名匠 太田じろうの世界」展示の様子をチェック!(写真8点)

北九州市の小倉駅新幹線口を出る。メーテルに鉄郎、ハーロックの銅像を横目に、目指すは「あるあるCity」! 松本零士は少年時代を北九州市で過ごしており、北九州市漫画ミュージアムの初代名誉館長だ。
早速ビルに入り、漫画ミュージアムのほかのフロアはなにかなと見ると、このビル、なんとおたくビル! サブカルチャーをメインとしたビルだった。
アニメ、マンガ、ホビー、トレカ、アイドル、コスプレ、メイド喫茶、ゲーム、カラオケとなんでもそろっているという、一度入ったらなかなか出られなくなりそうだ。

エントランスを入るとそこには等身大ハーロック。わたせせいぞう・松本零士常設展示、「漫画の七不思議」「漫画の街・北九州」などの展示を見つつ、漫画タイムトンネルを抜けて進んでいく。

「コレクションひろば」が見えたら、すぐ右が「あしたのギャラリー」!

『児童まんがの名匠 太田じろうの世界』に到着!

スタンドポップ、プロフィール、そして原画の「こりすのぽっこちゃん」。
アニメージュプラスでもたびたび取り上げていた太田じろうは、昭和に活躍した漫画家。児童向け漫画「こりすのぽっこちゃん」は代表作で、テレビ人形劇として放送されたり、多くのキャラクターグッズ(銀行の貯金や文具、靴など多岐にわたる)になり、昭和30年代半ばの人気キャラクターだった。
アクリルケース内には当時のグッズなどの展示も。

この時代の漫画原稿は掲載される雑誌と同じ大きさ。細かく描かれ、発色もきれいに残っている原稿がすばらしい。
特に「ちんらいちゃん」の原画はカラー、2色印刷用、モノクロ。よく見るといろんな手法で描かれている原稿も見どころのひとつ。
大人向け「リイドコミック」表紙イラストは、漫画原稿とは違ってその迫力の大きさもすばらしい!

最後は、昭和世代だけでなく、幅広い世代に知られている学研「まんが人物日本史」シリーズ。漫画家太田じろうを知らずとも、『西郷隆盛』、『徳川吉宗』、『福沢諭吉』などでその絵を目にしたこともあるかと思う。九州にゆかりのある『西郷隆盛』、『福沢諭吉』。貴重な原画やラフなども必見だ。これら貴重な原画や資料は、印刷では出ない色や細密な描写をぜひ実際に見て頂きたいと強く思う。

最後に物販コーナーはエントランス横のスペースに。図録や復刻単行本、いろんなぽっこちゃんグッズが勢揃い。直接商品を見て購入できるのは展示会でのたのしみ。

このほかにも膨大な量の漫画が読める閲覧コーナーやイベントコーナー、更に下のフロア(5階)では企画展示室がある。現在は名誉館長わたせせいぞうの「画業50周年記念 わたせせいぞうの世界展」を開催中(5月11日まで)。
この企画展覧会チケットを購入することで、6階の常設展エリアも観覧できる。

最後に、この展示の担当学芸員石井茜さんからいただいた、コメントを紹介しよう。
「太田じろうを一言で表すならば『とてつもなく絵のうまい作家』。キュートな魅力を持つキャラクターや、優しくユーモアあふれる物語を支えるのは、圧倒的な画力です。確かなデッサン力に裏付けられた的確で巧みなデフォルメ、説得力のある背景、立体的な構図など、見れば見るほどその表現力に気付かされます。
ぜひ、作家の息づかいを感じられる原画を間近にご覧頂き、「名匠」たるゆえんを目の当たりにして頂ければと思います」