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センチュリーに「スイングドア」

先日、新たなボディタイプのモデルが追加発表されたトヨタ・センチュリー。日本が誇るショーファーカーだ。

【画像】ど迫力 トヨタ・センチュリー 歴代と比較【詳細】 全196枚

トヨタとしてはSUVではなく、あくまで顧客が求める形状を追求していった結果、こういったボディ形状になったということ。一見するだけではわからないこだわりが多くつまっているようだ。


トヨタ・センチュリーGRMN    神村聖

その発表会場では、カタログなどにも掲載されているベースモデルのほか、コンセプトモデルとしてスポーティな装いを纏ったGRMN仕様も登場していた。

このGRMN、外観からも大径でスポーティなホイールや、そこからチラリと見える大型で赤くペイントされたブレーキキャリパーなど一目で通常モデルとの違いが認識できた。

プレゼンテーションの中で、後部座席のドアにも選択肢があることに触れたとき、こちらのモデルの左後席ドアが静かに横方向に開いたのである。

現時点ではカタログに通常のヒンジドア以外の選択肢があることは触れられていないが、要望があればカスタマーが求める世界に1台だけの仕様も提案するとアナウンスされているため、GRMN仕様はもちろんのこと、このスイングドア仕様もオーダーすることができるということなのだろう。

ただこのスイングドアひとつとっても、実はセンチュリーの細かなこだわりが詰まった凝った仕様となっていたのである。

スライドドアではなくスイングドア

横方向に開くドアということで、一部では「スライドドア」という呼称も使われていたが、プレゼンテーションでは「スイングドア」という風に表現されていた。

どちらでも表現としては間違っていないようにも思えるが、実は機構に違いがある。


トヨタ・ヴォクシーに採用されるスライドドアのレール。    池之平昌信

スイングドアはローラーを用いてドアを横方向に開閉するもの。スイングドアとはリンク機構を用いてドアを横方向に振るようなイメージで開閉するものとなっているのだ。

一般的なスライドドアとは、ミニバンやワンボックスカーなどに採用されているもので、スイングドアとはマイクロバスなどでよく見るものを想像してもらえればわかりやすいかもしれない。

もちろんセンチュリーのスイングドアは、マイクロバスのもののように大きな音を立てて荒々しく開閉するものではないが、動き的には同様のものとなる。

なお、一部メーカーでは一般的なヒンジを用いて扇型に開閉するドアのことをスイングドアと呼称するケースもあるようだ。しかしトヨタとしては前述したようにマイクロバスの扉のような動きをするものをスイングドアと呼んでいるとのことだ(なお、トヨタのマイクロバスのコースターでは「グライドドア」と呼称)。

スイングドアの開閉形状とその呼び名の違いについてはご理解いただけたかと思う。

ではなぜトヨタはセンチュリーのドアの選択肢のひとつにスイングドアを採用したのだろうか?

スイングドアをセンチュリーに採用した理由

一般的なスライドドアには、前述したようにローラーが用いられている。そしてそのローラーは扉の上下と中間あたりに位置しており、スライドドア装着車のボディサイドにはそのローラーが通るレールが設置されている。

アルファード/ヴェルファイアのように上級ミニバンでは、うまくサイドウインドウとの間にレール部を設けるなどして目立たなくはしているものの、どうしてもボディ外観にレールが存在することは避けられない。


スイングドアを組み合わせるトヨタ・センチュリーGRMN。    神村聖

一方センチュリーは通常の生産ラインとは異なる仕上げラインを設定し、「几帳面」と呼ばれる精度の高いキャラクターラインを用いるなど美観にも拘っているため、スライドドアレールをボディ外観に設けるのは言語道断だったというワケだ。

そして上下にもローラーを備えるようにするとなると、その分ドア開口部を狭くするか、ボディ形状を改める必要があるが、これもセンチュリーという車両のキャラクターを考えれば選択肢から当然外れることになるワケで、スイングドアとなったのはある意味必然と言えるだろう。

またいくらセンチュリークラスの車両とはいえ、通常ドアとスイングドアでボディを作り分けるのも非効率であるため、モノコックボディは1種類で2つのドア形状を盛り込むための策ともなっていることは間違いない。

ただ、プレゼンテーション時の動きを見る限り、ショーファーカーに相応しい静かで無駄のない開閉動作をしていた。スイングドアのリンク形状は非常に凝ったものとなっていることは想像に難くなく、実際にこの仕様を追加で注文するときのエクストラコストがどのくらいになるのかは、庶民として気になるところである。