今冬にバルサに加入した(左から)フェラン、オーバメヤン、トラオレ。(C)Getty Images

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 バルセロナはいくつかの課題を抱えている。昨年11月に監督に就任して以来、シャビがその中でも特に問題視していたのが攻撃力の不足だ。

 アラベス戦(ラ・リーガ第22節)でもそれは明らかだった。バルサが1−0で勝利したとはいえ、ルーク・デヨングやアブデよりもホセルやルイス・リオハという降格争いをしているライバルチームのアタッカー陣のほうが相手DFの脅威となっていた。

「フォワードとウイングの獲得。それがシャビが再三リクエストしていたことだ」というクラブ内部からの証言が示すように、冬の移籍市場におけるバルサの方針は明確だった。シャビが守備よりも攻撃を好むのは、ヨハン・クライフの哲学の源流であると自負しているからだ。「1−0で勝つよりも、5−4で勝つほうがいい」。言うまでもなくクライフの名言の一つだ。

 実は冬の移籍市場で、カンプ・ノウにもう1人アタッカーが来る可能性があった。その選手とは最終的にリバプールに移籍したルイス・ディアスだ。しかしウスマンヌ・デンベレ、契約が満了する6月以前の退団を拒否したため、すでに入団に合意していたにもかかわらず、ポルトのウイングの獲得を諦めざるを得なかった。しかし「アダマ(トラオレ)、フェラン(トーレス)、(ピエール=エメリク)オーバメヤンがいれば話は別だ」と、あるクラブ関係者の楽観的な見通しを語る。
 
 シャビが新戦力の人選において重視していた条件が、シーズンの佳境を迎え連戦が続く中でも、スムーズにチームに適応できるだけの戦術理解力を備えているというものだった。

 その点、前出の関係者の言葉を借りれば、「(ジョゼップ)グアルディオラに鍛えられてきただけあって飲み込みが早い」というフェラン・トーレスはその条件に合致し、同じことはカンテラ育ちのトラオレ、リュディ・ガルシア、ユルゲン・クロップ、トーマス・トゥヘル、ミケル・アルテタという一流の指導者の下でプレーしてきたオーバメヤンにも言える。

「サッカーにおいて才能、レジリエンス(逆境や困難に対応する力)、メンタルの強さに匹敵する重要な要素がある。それが過去にどのような監督から指導を受けてきたかという点だ」。これもクラブ内部からの証言だ。

 スペースをアタックし、ボールを保持する。シャビが3トップに求める役割はこれだ。狙いは、中央のFWが相手DFを引き付け、左右ウイングが弾丸のようにその背後を突き、それらの動きによって生まれたスペースと時間を中盤の選手が活用するというものだ。この場合はもちろん前線の3人にスピードがあったほうが威力が高まる。
 その可能性の一端が見られたのがアトレティコ・マドリー戦で、シャビも試合後、「中盤で優位性を作るために3−4−3と3−5−2という2つのシステムの練習に取り組んできたんだ。狙いはスペースを活用することだった。その意味で、ペドリとガビをライン間でボールを引き出し、(ダニエウ)アウベスが優位性を生み出してくれた」と振り返っている。

 セルヒオ・ブスケッツに加え、ダニエウ・アウベス、さらにジョルディ・アルバが中盤でボールを出し入れすることでパスコースを増やし、ピッチ上に数多くのトライアングルを作る。そう、ジョゼップ・グアルディオラがバイエルン監督時代にフィリップ・ラームを活用し“特許”を取得したアイデアだ。
 
 バルサがパスを繋ぎ始めると、アトレティコはパスコースを閉じようと中央の守備を固めてきた。しかしそれこそがシャビの狙いで、その瞬間に両ウイングのトラオレとガビが構えるサイドに展開し、特にトラオレは1対1で強さを発揮した。トラオレのクロスをガビがヘディングで叩き込むというその2人が絡んだ2点目はまさにそうした流れで生まれたゴールだった。

 こうしてサイドでも優位性を作ることがまたピッチ中央でのボールの循環を促し、そしてそれがシャビ曰く、「ターニングポイントになる」という4−2の勝利に繋がった。両翼を広げたシャビ・バルサがリスタートを切ったのだ。

文●ジョルディ・キシャーノ(エル・パイス紙バルサ番)
翻訳●下村正幸

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