マンガ界の鬼才・永井豪が大展覧会「永井GO展」を開催

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9月14日(土)から9月29日(日)までの期間、上野の森美術館(東京・上野)にて、マンガ界の鬼才・永井豪の画業50年“突破”を記念した大展覧会「永井GO展」が開催される。

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社会現象を巻き起こした「ハレンチ学園」、マンガ界の歴史に燦然と名を残すロボットマンガの金字塔「マジンガーZ」など、さまざまなジャンルの作品を世に送り出してきた永井豪。これまでに発表した作品は350を超え、その無限ともいえる想像力は現在もとどまることを知らない。

同展覧会は、そんな永井のデビュー作から最新作まで、貴重な直筆マンガ原稿、カラーイラストなど600点以上をジャンル別に紹介。この他、「マジンガーZ」「デビルマン」の世界観をイメージしたエリアや、普段は表に出ることのない秘蔵資料、仕事場再現コーナーも展開する。

開催日の前日に行われた内覧会に登場した永井は、お色気や暴力的表現などが社会問題とされた時代から、文部科学大臣賞をもらうまでに至った、画業50年を振り返ってコメント。

「表現の自由の追求と社会の変化についてどう思うか?」と問われると、「いろんなものをダメダメといわれてきました。ギャグ漫画でデビューした頃は、女の子の水着姿だけでダメと言われた。自分がおかしいのか世の中がおかしいのかと悩んだこともありましたが、次第に私の過激さがかわいいと捉えられるようになった」と分析。しかし、「過激が自分のスタイルなので、今でも過激を探しているが、世の中が変わり、最近では世の中の方が過激になってしまい、何をやってもおとなしく見えるようになってしまった」と、世間との逆転現象についてボヤいた。

また、「50年で最大のピンチ」を問われると、「何度もあり、辞めたいと思うこともありましたが、結局自分には漫画しかない、続けるしかないという気持ちで続けてきました。過激と思われ、各社の編集長と次々と喧嘩をし、連載は中止になったのですが、その度に次の雑誌をと変えて連載を続けてきた。編集部が変わると表現も変わるので、自分の新しい一面に気づくことができたんです。ピンチをチャンスに変えてきました」と、雑誌を変える度に見つけたチャンスをものにしてきた経緯を語った。

さらに「一番思い入れのある作品は?」との問いには、「『デビルマン』。ギャグ漫画から、初めてストーリー漫画を描いた作品なので。ストーリー漫画家としてここで成功しなければという気持ち、また、TVアニメも同時進行で進んでいたことでさまざまなジレンマもあった」との回答。「インスピレーションの源になっている作品は?」との問いには「子どもの頃、美しいヌードを書きたいと参考にしたのは教科書に載っていたビーナス。美術館を巡るようになったのはプロになってから。ギュスターヴ・モローの絵画も好きで、ファンタジーの要素や現実にないもの、神話の世界を描いた作品に惹かれます」と答えた。

最後に永井は「50年漫画の世界に没頭してきました。その集大成をたくさんの人に見てもらえるのが嬉しいです!」と笑顔に。「仕事場の再現は完璧。(壁の)イタズラ描きも飾ってもらって!」と運営者に呼びかけるなどし、写真撮影会ではコミカルなポーズも披露していた。(東京ウォーカー(全国版)・Raira)