車種や用途によってタイヤの特性はさまざま

 タイヤに興味がない人にとっては、どれも同じに見えて、価格の違いぐらいしか関心がないかもしれないが、見た目があんまり変わらなくても値段が違うということは、それだけ中身が違うということを意味している。

 具体的にはゴム(コンパウンド)が違う、構造が違う、トレッドパターンが違う、なにより目的が違うので、設計が違う。タイヤに限ったことではないが、クルマの設計は相反する要素をいかに両立させるかが課題となっている。

 タイヤの場合、乗り心地がいいように柔らかい構造にすれば剛性感はなくなるし、燃費のいい転がり抵抗の少ないタイヤを作れば、グリップ力は失われる。ドライ路面に特化した溝のないレース用のスリックタイヤは雨になるとお手上げだし、雪に強いスタッドレスは暑い夏は苦手……。

 ユーザーはオールマイティの性能を求めるかもしれないが、あちらを立てればこちらが立たずという厳しい条件のなかでタイヤ作りは行われているので、タイヤメーカーは用途別にいくつかの種類を用意して対応しているというわけだ。

 グリップの良さでいえばスポーツタイヤが一番だが、スポーツタイヤのなかにもドライグリップに特化したものもあれば、ドライ&ウエット性能のバランスを重視したもの、そこそこのグリップ力でコントロール性の良さを追求したもの……といろいろある。

 ほかにコンフォート重視のタイヤもあれば、ミニバン専用タイヤもあるし、燃費優先のエコタイヤもあれば、SUV専用タイヤと各種のラインアップがあり、さらにそのなかでも特性の違うタイヤが選べたりする。そのためユーザーはそれぞれのタイヤの長所と短所を知ったうえで、自分にあったタイヤをチョイスするのが肝要だ。

 タイヤメーカーのカタログを見ると、

・ドライグリップ
・ウエットグリップ
・直進安定性
・静粛性
・乗り心地
・低燃費性能
・ライフ性能

 などの項目を星印や五段階評価などでわかりやすく記した性能比較表やポジショニングマップなどが載っているので、これらを参考にするといいだろう。

タイヤのラベリングはわかりやすい指標となる

 このなかで、ウエット性能だけは犠牲にしてもらいたくない。日本の場合、年間の3分の1は雨の日で、しかも雨の日の事故は晴れの日に比べ4倍も多く発生しているというデータがあるからだ。

 とくに「転がり抵抗性能」と「ウエットグリップ性能」の両立が難しいエコタイヤに関しては、業界団体のJATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)が、タイヤの性能がひと目で分かるラベリング制度を導入しているので、これを見比べてみてほしい。

 このJATMAの低燃費タイヤのラベリングでは、ウエット性能をa〜dまで4段階で評価。「d」は論外として、「a」と「c」でも、ウエット路面での速度100km/hからのブレーキングテストでは、制動距離がクルマ1.5台分、約16%も違いがある。

 ウエット性能で決め手となるのは、ゴムの柔らかさ(コンパウンド)と溝の深さとカタチ(シーランド比が大きく、しかも太い縦方向のストレートグルーブが多いほど排水性はいい)。もうひとつ、空気圧が適正であることも肝心だ。

 またどんな高性能タイヤでも、摩耗が進めば溝が浅くなってウエット性能は低下してくるし、年数が経てばゴムが硬くなって性能は落ちる。そういう意味で、定期的なメンテナンスと交換も忘れずに。