左から柚香光さん、當真あみさん、市川染五郎さん、石黒賢さん

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2026年4月24日のNHK『あさイチ』プレミアムトークに市川染五郎さんが出演。5月から始まる舞台『ハムレット』について語ります。今回は製作発表記者会見をレポートした2026年3月6日の記事を再配信します。**********シェイクスピアの四大悲劇の一つで、人間の苦悩を描いた傑作として愛されてきた『ハムレット』が、5月9日から東京、大阪、愛知で上演されます。2月24日、都内で製作発表記者会見が開かれ、主役のハムレットを演じる歌舞伎俳優・市川染五郎さんのほか、主要キャストの當真あみさん、石黒賢さん、元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香光さんが出席。会見の様子をお届けします(取材・文:婦人公論.jp編集部 写真提供:松竹) 

【写真】「透き通るような、後ろが見えるくらいの透明感」の當真あみさん

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親子3代でハムレット 

『ハムレット』は、デンマーク王子・ハムレットが、父である王を毒殺して王位に就き、王の妻である自らの母親を妃とした叔父に復讐を誓う物語。ハムレットの恋人・オフィーリア役を當真さん、母親・ガートルード役を柚香さん、叔父・クローディアス役を石黒さんが演じます。 

青を基調とした衣装と舞台に協賛する高級宝飾品ブランド「ブシュロン」のジュエリーを身につけたキャストの4人は、参加した100人の観客らに拍手で迎えられ登壇。フォトセッションを終えると、それぞれが舞台への意気込みを語りました。 

ハムレットは、染五郎さんの祖父・2代目松本白鸚さんと父・10代目松本幸四郎さんも過去に演じた役柄。染五郎さんは白鸚さんがハムレットを演じた時に身につけていたという指輪を譲り受け、初のハムレットに臨みます。 

染五郎さんは「本当にハムレットという作品は、私の家にとりましてとても大切な作品でございまして、その作品に挑戦させていただく第一歩を踏み出せることをとてもうれしく思っております」とあいさつ。 

祖父から受け継いだ指輪について「本番でもつけたいと思って譲ってもらいました。お守り代わりのような感じで、今日もつけさせていただいております」と話しました。 

先輩俳優からのアドバイスは…

2021年のデビュー以降、ドラマや映画を中心に活躍する19歳の當真さん。今作が舞台初挑戦で「舞台に出演させていただくということを1年ほど前に聞いてから、一日1回思い浮かぶくらいずっと緊張、というか頭の中にあって…」と告白。 

「以前ドラマでご一緒させていただいた上白石萌音さんの舞台を最近見に行って、その時に『舞台をやるんです』ってお話をしたら『本当に楽しんで』とおっしゃっていただいて」と先輩からのアドバイスを明かし、 

「緊張もすると思うけど、でもやっぱり舞台の空気も含めてすごく楽しいと思うので、自分の中で固めず、いろんなことを柔軟に受け止めて楽しみたいです」 と思いを口にしました。 

シェイクスピアは理解するのが難しいものと… 

「まさか私がシェイクスピアの作品に出演することになると思いもしませんでした」と語ったのは、ハムレットの叔父・クローディアスを演じる石黒賢さん。 

「シェイクスピア作品は、誤解を恐れず申し上げれば、なかなか理解することが難しいものなのかなと漠然と思っていた時期はありましたが、改めて松岡和子さんが翻訳された原作を読み、言葉の使い方が素晴らしいなと感じました。 

本当に人間の本質的なことを端的についているという意味において、読み物として当然面白いし、この活字で書かれたものを舞台という3Dに立ち上げたときに、我々は非常に重い責任を負っているなと、改めて身が引き締まる思いがします」と決意を新たにしました。 

演出家のデヴィット・ルヴォーさんについて聞かれると「失礼ながら私はあまり多くは存じておりませんが、下調べをするのも嫌なので、本当に稽古の初日にお会いするのが楽しみです。もし『シェイクスピアについてどう思っているんだ』って突っ込まれたら怖いなと思っています」と話し、会場の笑いを誘っていました。 


シェイクスピア作品への出演について「新しい試みに胸が躍っていると同時におののいています」と語る石黒賢さん 

初のせりふ劇にヒヤヒヤ?

ガートルード役の柚香光さんは2009年に宝塚歌劇団に入団し、19年に花組男役トップスターに就任。24年5月の退団後、ダンサーや俳優として活動を始め、今回が初めてのストレートプレイ(せりふ劇)出演となります。 

柚香さんは「宝塚歌劇でもいろんな舞台をお届けさせていただきましたが『いつかストレートプレイに挑戦できたら』と夢に描いていました。まさか卒業してこんなに早く、この機会をいただけると思ってもいなかったので、本当にお話を伺った時はもう『ひゃー!』って。今もちょっとヒヤヒヤしてるところではあるんです」と茶目っ気たっぷりに話しつつ、 

「本日皆さまとお目にかかって、こんなに素晴らしい方々とご一緒できるのは、本当に光栄でありがたくて、なんて幸せなことなんだろうと。私も全身全霊でガートルードという役を舞台上で作っていきたいなと思っております」と語りました。 


「宝塚を卒業してから、鬼になったり、のちに王になる女子高生になったり、常に舞台で剣を持って戦っていたので、今回は全くガラッと雰囲気が変わります」と柚香光さん

祖父や父からは… 

この日、司会を務めたフリーアナウンサーの中井美穂さんから「指輪を受け取った時(祖父の白鸚さんから)お言葉はあったりしたんですか?」と問われると「ハムレットの最後の試合のシーンのために祖父も父もフェンシングを習ったそうで『フェンシングやらなきゃね』ということだけ言われました」と染五郎さん。 

「歌舞伎の外のお仕事に関してはアドバイスされることはあまりないんですけれども、稽古に入った段階から、何か発見や疑問が見つかれば、経験者である祖父と父にはいろいろ話を聞きたいです。 

シェイクスピア劇というもの自体への向き合い方といいますか、取り組み方、いろいろなものもそこから感じられたらいいなと思っています」と話しました。 


深い青のスーツに身を包んだ市川染五郎さん。「現代に生きるハムレットを目指したい」と話します

共演者の印象を聞かれた染五郎さんは…

中井さんから各共演者の印象を聞かれた染五郎さん。當真さんを「本当に透き通るような、後ろが見えるくらいの透明感。そこにまず圧倒されました」と独特の表現で絶賛すると、 

一方の當真さんは「染五郎さんとお会いするのは初めてですが、舞台を一度だけ見に行かせていただいたことがありまして。ずっと一つの物事に向かって続けられている姿と、それを柔軟にどんどん変えていくところが本当に素晴らしい方だなと」と笑顔を見せていました。 

柚香さんについては「宝塚でトップスターを務めていたオーラをすごく感じましたし、そんな柚香さんの息子でいられるように頑張りたいなと」と染五郎さん。 

それに対して柚香さんは「染五郎さんと親子役をさせていただけるということで、とても光栄に思っています。宝塚で女性だけの中で男性を演じてきた自分と、歌舞伎界でご活用されている染五郎さん。何か特別な、2人にしかない親子関係を作っていけるんじゃないかなと意気込んでおります」と応えました。 

石黒さんと染五郎さんは舞台では敵対する間柄ですが「本当にお優しくて、裏でもちょくちょくお話しさせていただきました」と明かし、和やかな空気が流れていました。 


フォトセッションで写真撮影に応じる出演者

「これ、ハムレット?!」とびっくりの…

記者との質疑応答で「ハムレットの象徴的なセリフ『To be, or not to be 』は、様々な訳の表現があると思いますが、染五郎さんにとってどんな言葉に置き換えられるでしょうか」と問われた染五郎さんは、 

「『生きるべきか、死ぬべきか』という訳もありますが、それよりも自分がどうあるべきかという自分への問いかけであり、どう生きたらいいのかという解釈が、自分の中では今の段階ではしっくりきています」とコメント。 

また「ハムレットのイメージからすると斬新なビジュアルが発表されておりますが、これを見た時、また撮影の時に感じられたことなどあれば」という質問には、 

「衣装合わせの時にびっくりしました。『これ、ハムレット?』って思って。でも実際にロケで海岸で撮影したんですけども、少し曇り空で、その下にゴツゴツした岩があって、そこに荒波が打ちつけているというシチュエーションで撮影して。それがハムレットの一つのところにとどまっていない感情といいますか、どんどん揺れ動いていく感情というものをすごく表したポスターになったのかなと思います」と話しました。 


公開された『ハムレット』のパンフレット表面

デンマークの城に足を運び…

最後に一言ずつメッセージを求められたキャストの面々は、それぞれ以下のように答えました。 

「自分で改めていろんなことが整理されて、『ハムレットに取り組むぞ』という思いをいただけたように思っております。私の実年齢と一回り以上も違うとされるガートルードを演じることは自分にとっては挑戦です。皆さまに柚香にガートルードをさせてよかったと思っていただけるように作ってまいります」(柚香さん) 

「本当に私にとって大きなチャレンジです。お話にもありましたけど、石黒を呼んでよかったなと思っていただけるように。そしてやっぱりお芝居は、お客さんが自分の時間とお金を使って足を運んできてくださるものですから、お客様の誠意にちゃんと応えなきゃいけないなと思っています。なので、死ぬ気で頑張ります」(石黒さん) 

「こうしてこの場に立たせていただいて、いよいよハムレットという作品が動き出すんだなというのを強く感じていて、とてもワクワクしています。見に来てくださる皆さまにも、そういう気持ちをたくさん届けていけるように頑張っていきますので、よろしくお願いいたします」(當真さん) 

「ハムレットは若者の苦悩を描いた作品だと思われがちですが、デンマークの王子として生まれ落ちた環境の中でどう生きればいいのかと悩み葛藤する男の話だと思っています。きっちりとハムレットという人物の本質、心の部分を積み上げていきたいと思っております。 

また先日、ハムレットに登場するエルシノア城のモデルになったデンマークのクロンボー城に行ってきました。ハムレットの時代の空気ですとか、実際のシチュエーションを感じてきたところですので、そうした自分の経験や感じたものを注ぎ込みながら作っていけたらと思っています」(染五郎さん) 


公開された『ハムレット』のパンフレットの中面

『ハムレット』は5月9日〜30日まで、東京・日生劇場。6月5日〜14日まで、大阪・SkyシアターMBS。6月20日〜21日まで、愛知 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール。