メルセデス・ベンツ新型『Cクラス』発表! 歴代初のEV、航続距離762kmを達成 BMW i3に真っ向勝負
内燃機関モデルと並行販売
メルセデス・ベンツは、『Cクラス』としては歴代初となるEVモデルを発表した。これは長年愛されてきた同車の「史上最もスポーティな」バージョンとされ、先日発表されたBMW i3に直接対抗するモデルとなる。
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新型Cクラスは『GLC with EQテクノロジー』のセダン版にあたり、新開発のMB.EAプラットフォームを採用。EVモデルと内燃機関搭載モデルのデザインを統一するという新戦略に基づいて設計された2台目のモデルである。

新型CクラスEV メルセデス・ベンツ
今年後半に欧州で発売される予定で、当初はデュアルモーター搭載の『C 400 4マティック』仕様が投入され、航続距離は762km、価格は6万ポンド(約1290万円)未満となる見込み。その後、ロングレンジのシングルモーター仕様や高性能モデルなど、複数のバージョンが順次追加される予定だ。
内燃機関搭載の現行Cクラスは、新型EVの外観に近づけるようスタイリングが微調整された上で、販売が継続される。ただし、機械的にはまったく無関係だ。ラインナップにおいて、新型車は『CLA with EQテクノロジー』の上位に位置づけられる。
新しいデザイン戦略を導入
従来の『EQE』や『EQS』は独特なフォルムとワンボウシルエットを採用しているが、新型Cクラスは内燃機関モデルに近いデザインとなっている。
メルセデス・ベンツのエクステリアデザイン責任者であるロバート・レズニック氏は、同社のスタイリングにおける転換点であり、今後はパワートレインに応じて大きく形状が変わることはなくなるだろうと述べた。

新型CクラスEV メルセデス・ベンツ
2020年のEQS発表時の方針に言及し、レズニック氏は次のようにコメントしている。
「(当時の)メルセデス・ベンツは、2つの異なる世界があると語りました。EVは独自の外観を持つというものです。しかし、それから6年が経った今、再び融合しつつあります」
「内燃機関モデルとEVモデルの間に区別はありません。この新型車は、内燃機関モデルと同じ高さのフロントエンドを持っているのです。以前の(EVの)ように低くはなく、より高いステータスと存在感を備えています」
その「存在感」を重視した結果、大型のイルミネーション付きフロントグリルが採用された。GLCと共通のデザインで、レズニック氏によれば、競争が激化する市場においてモデルを際立たせるために設計されたものだという。内燃機関モデルも今後、こうした新しいフロントデザインを採用していく。
フロントグリルを「アイコン」に
レズニック氏は「最終的には、アイコンが違いを生みます。そして間違いなく、メルセデスのグリルはアイコンです」と語っている。
「他にもいくつかのグリルがありますが、どれも象徴的です。AMGの高性能モデルには縦型スラットを備えたV字型グリルがあり、Gクラスには水平ルーバーのグリルがあり、マイバッハ専用のグリルもあります。いずれも、数本の線でスケッチすれば、おそらくメルセデスのグリルだと分かるでしょう」

新型CクラスEV メルセデス・ベンツ
「これが他ブランドとの最も強力な差別化要因の1つです。世の中は目まぐるしく変化しており、最近では数多くの新ブランドが登場していますが、そのほとんどはこうした象徴的な要素を持っていません。なぜなら、彼らには歴史的遺産がないからです」
レズニック氏によると、内燃機関モデルに比べて必然的に車高が高くなるが、その点を目立たなくすることがデザイナーにとっての重要な課題だったという。
「大きなバッテリーをどこかに配置しなければならないとなると、当然ながら車高に影響が出ます。実際、車高は約60mm高くなります。最初の目標は、その高さをどう目立たなくするかというものでした」
歴代セダンと異なるシルエット
そこでたどり着いたのが、一連の「シンプルな工夫」だった。車体のサイドプロファイルの視覚的なボリュームを軽減するツートンのトリムパネル、大径ホイール、そしてCクラス初となる「3ウィンドウ」のガラスエリアだ。後者の3枚窓は、流線型のクーペスタイルのリアエンドへとつながっている。
レズニック氏は、これまでのCクラス・セダンに見られた伝統的な3ボックス形状から脱却したこの「GTリアエンド」が、美的役割だけでなく機能的な役割も果たすと語った。
「空気抵抗係数は非常に優れたものです。わたしはデザイナーですから具体的な数値は明かせませんが、非常に優れているということは言えます」
メルセデス・ベンツによると、空気抵抗の低減により「極めて静かな車内」を実現しながら、高速巡航時の燃費向上にもつながるという。
ディスプレイ中心のインテリア
新型CクラスEVのインテリアは、幅993mmの大型ディスプレイ「ハイパースクリーン」(オプション)が主役となる。ディスプレイは1000個のLEDで構成され、スライダーを使って特定のエリアの明るさを個別に調整することもできる。
助手席乗員はストリーミングサービスの利用、ゲームのプレイ、各種車載システムの操作が可能で、一方のドライバーにはナビゲーション、オーディオ、空調のメニューが表示される。

新型CクラスEV メルセデス・ベンツ
標準装備されるのは、やや控えめな「スーパースクリーン」だ。レイアウトは同じだが、3つの独立したスクリーンで構成されており、ドライバーの注意散漫を最小限に抑えるため、助手席側のディスプレイは運転席からは見えないようになっている。
ハイパースクリーンおよびスーパースクリーンはいずれも、最新版MBUXインフォテインメント・システムを搭載する。ChatGPT、グーグル・ジェミニ、マイクロソフトのAI技術を「独自のマルチエージェントアプローチ」で活用し、「車両とドライバーの関係を革新する」とされている。
音声コントロール機能では「友人のように」話しかけることができ、複雑かつ多段階の会話が可能で、短期記憶も保持できる。
こうした先進的なデジタル機能を重視しつつ、物理的な操作系も残している。例えば、センターコンソールには新しいコントロールパネルが設けられ、ボタンや音量調節用のローラーが配置されている。ステアリングホイールには、速度制限機能やクルーズコントロール用のロッカースイッチが備わる。
ボディサイズ
新型CクラスEVのボディサイズは、全長4883mm、全幅1892mm、全高1503mmと、内燃機関搭載の現行Cクラスとほぼ同等だ。しかし、ホイールベースは97mm延長されて2962mmとなり、後部座席の足元スペースが大幅に拡大している。メルセデス・ベンツによると、これはEV専用プラットフォームの利点だという。
また、ルーフラインが高くなったことで、床下にバッテリーが搭載されているにもかかわらず、ヘッドルームも前席で22mm、後席で11mm拡大している。
トランク容量は470Lで、現行型よりわずかに増えた。ボンネット下には充電ケーブルや汚れたブーツなどを収納できる101Lの収納スペースが設けられている。
V8モデルと同等の加速性能
前述の通り、最初に投入されるのはデュアルモーター搭載のC 400 4マティックという仕様だ。最高出力489psと最大トルク81.5kg-mを発生し、0-100km/h加速タイムは4.1秒。参考までに、これはV8エンジン搭載AMG C 63と同等の速さだ。
電力は94.5kWhのバッテリーに蓄えられ、WLTPサイクルでの公称航続距離は762km。最大330kWでの急速充電に対応する800Vシステムを採用し、わずか10分で325km分の航続距離を回復できるという。欧州では400Vインバーターも用意されるため、一般的な低出力の公共充電器も利用できる。

新型CクラスEV メルセデス・ベンツ
今後ラインナップに加わるモデルとしては、航続距離約800kmの後輪駆動バージョンがあり、その他のバッテリーや出力オプションも順次展開される予定だ。
スポーティかつ快適な走り
プラットフォームはGLC with EQテクノロジーと共通で、中型EV向けのMB.EAを採用。現行CクラスのMRAや、より小型のCLAおよび『GLB』を支えるMMAとは大きく異なる。
メルセデス・ベンツは新プラットフォームの洗練性と走行性能を強調し、Sクラスに匹敵する快適なクルージングを実現しつつ、「比類なき敏捷性と精度であらゆるコーナーを攻める」ことができるとしている。「史上最もスポーティなCクラス」とのことだ。
走りの要となるのは、オプションのエアマティック・アダプティブサスペンションだ。リアルタイムのクラウドデータを活用し、前方の路面の凹凸やスピードバンプに備えてシャシーを自動的に最適化することができる。また、リアステアリング・システムでは後輪を最大4.5度まで切り、高速時の安定性と低速時の取り回しの両方を高める。
その他の新機能としては、リアモーター用の2速トランスミッションが挙げられる。あらゆる速度域で最適な加速力を確保しつつ、巡航時の効率性を高めるものだ。
四輪駆動の4マティック仕様では、アクセルを踏み込んだ時やドライブモードに応じてフロントアクスルのモーターを作動させる。それ以外の時は駆動系から切り離され、フロントアクスルでのエネルギー損失を最大90%低減できるという。
