主人公が「悲しみ」に暮れるシーンは物語を劇的に盛り上げる良薬!感情表現は直接的に書かないのがポイント!?【プロの小説家が教えるクリエイターのための語彙力図鑑】

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主人公が「悲しみ」に暮れるシーンは物語を劇的に盛り上げる良薬!感情表現は直接的に書かないのがポイント!?

かなしみ [英:Sadness ]

悲しみの意味

よくないことが起こり、またはそれを見聞きして、沈んだ気持ちになること。

悲しみの類語

哀情 悲嘆 傷心 哀切 哀愁 憂愁など

悲しみにおける体(フィジカル)の反応

表情が暗くなる
眉をひそめる
涙が零れる
ため息が出る
頭を抱える
体が重くなる
一歩も動けない
嗚咽を漏らす
頭が痛い
うなだれる
心臓が痛い
喉が詰まる
しゃくり上げる
集中できない
うろたえる
声が出ない

悲しみにおける心(メンタル)の反応

気持ちが沈む
メンタルがへこむ
切ない気持ち
気分がどんよりする
塞ぎこむ
途方に暮れる
悶々とする
ネガティブになる
辛くてしんどい
疲れを感じる
ショックを受ける
落ちこむ
気が滅入る
物思いに耽る
胸が締めつけられる
ちっとも楽しくない

感情表現は直接的に書かず心身の変化を具体的に描き切る

主人公が「悲しみ」に暮れるシーンは、物語を劇的に盛り上げる素晴らしい良薬だとお考えください。言い換えるなら、主人公を天下無双で完全無欠に設定してはいけません。典型的ヒーローのウルトラマンは諸般の事情から3分間しか地球上で活動できません。鉄腕アトムは無敵を謳いながら、磁力とバッテリー切れに勝てません。どうせならそんな弱点を撤廃し、さっさと敵をやっつければいいのに、と思う方もいるでしょう。

それは間違いです。ピンチに陥りながら敵を倒してこそ、勝利への爽快感と満足感が倍増します。苦難や災禍によって主人公が「悲しみ」に打ちひしがれてこそ、ラストのハッピーエンドを感動的に演出できます。しかし、ただ「悲しみ」を描けばいいわけではありません。たとえば、『洋二郎はひどく悲しんだ。』という一文を書くとします。そのままだと多くの読者は「へえ。そうですか」でスルーしてしまします。では左のページの表現を用い、次のように書き換えてみます。

気がつけば洋二郎は涙を零していた。しゃくり上げるだけで声すら出ない。途方に暮れ、もはや一歩もその場から動けそうになかった。

「悲しみ」という語彙を使わずとも「悲しみ」が伝わってきます。喜怒哀楽すべてに該当しますが「悲しい」(形容詞)「悲しみ」(名詞)と、そのままを直接的に書いても読者の気持ちを揺さぶりません。一方、心身にどのような変化をきたすかを具体的に描き切れば臨場感を高め、心の機微をリアルに伝える良薬として効果てきめん。物語を劇的に盛り上げ、創作を成功へと導くでしょう。

出典:『プロの小説家が教えるクリエイターのための語彙力図鑑』秀島迅