石油高騰が招いた”第2のウッドショック”到来…!「家が建てられない」建築業界が震える《意外な実態》

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「石油漬けの木材」という意外な現実

イラン情勢で日本経済は危うくなっている。ペルシャ湾が封鎖された途端、ガソリンや軽油、重油の価格が急騰し、プラスチックの生産までが滞りがちになった。燃料が手に入らないと流通業界の悲鳴が上がる。温泉の加熱ができないと休業する旅館も現われた。ビニール手袋が消えて衛生管理が保てないと医療現場まで混乱が拡散している。

石油の輸入が滞れば、燃料やプラスチック関連が影響を受けるのは理解できる。だが意外なところまで影響は広がりそうだ。とくに建築業界で危機感が高まっている。様々な建材の価格が高騰しているうえに、木材の調達も厳しくなると予想されるからだ。ウッドショックの再来を予測する声もある。

木材および木質建材の生産が、石油危機によって厳しくなると聞いても、すぐに想像できないかもしれない。しかし改めて木材の生産現場を見ると、“石油漬けの木材”“石油で建てられた木造住宅”という、意外な現実が浮かび上がって来る。

必要量の木材が手に入らない可能性

まず前回のウッドショックについて振り返っておこう。2021年から約2年間にわたって木材輸入価格が急上昇した現象だ。輸入木材価格が、いきなり1.5〜2倍に急騰し、国産材もそれに釣られて値上がりした。

これは新型コロナウイルスの感染拡大が引き金となり、アメリカで木材生産が滞ったにも関わらずステイホーム現象で建築需要が高まったために起きた現象だった。米材(アメリカ、カナダで産出される木材)の不足は世界中に波及し、日本でも深刻な状況になった。木造住宅で使われる木質建材に、米材の占める割合が高かったからだ。

ただし、木材や木製品の価格は上がったものの、高値を覚悟すれば手に入らないことはなかった。しかし今回の石油危機の影響は、価格以前に必要量を調達できなくなる……と建築業界の関係者は戦々恐々だ。

世間のイメージからすると、木材は石油と対極にあって、むしろプラスチックの代替素材、あるいはバイオマスエネルギーとして化石燃料の不足分を補えるのではと考える人もいるかもしれない。しかし、実は木材こそ石油なくして生産できない代物である。

重機がないと成り立たない

木材を生産する林業と聞くと、チェーンソーで立木を伐って倒すイメージが強いだろう。しかし、現代の林業は、世界中でほとんど高性能林業機械と呼ぶ重機に頼っている。

まず森林地帯をブルドーザーで切り開いて作業道を建設する。道ができると、そこに乗用の林業機械を入れて行く。伐採は、この重機に取り付けられた自在に動くアームを伸ばして行う。アームが立木をつかみ、自動で伐採するのだ。

さらに切った木を再びアームでつかんで枝を払い、長さを揃えて切断して丸太にする。その丸太を一か所に集めてから運搬車両に積み込んで山から下ろす。さらに森から搬出した丸太を巨大トラックに積み直して、木材市場や製材工場などに運ぶわけだ。

林業の仕事は、ずっと重機に乗って地面に足をつけないでも行えるとさえ言われるのだ。木材市場や製材工場でも、丸太の仕分けなど移動に重機が活躍する。そんな一連の作業を行うには軽油など燃料が欠かせない。いずれも莫大な燃料を食う車両ばかりである。

機械化が遅れていた日本の林業現場も、21世紀に入って急速に高性能林業機械の導入が進み、今やこれらの重機なくして林業はほとんど成り立たなくなってきた。しかし重機の燃料価格が高騰すれば経営を圧迫してしまう。現場によってはコストが引き合わず、作業を中止せざるを得なくなるだろう。

後編記事『石油ショックが続けば風呂もキッチンも作れない…莫大な石油なしでは成り立たない「日本の住宅建築業界が直面している衝撃すぎる現実」』に続く。

【つづきを読む】石油ショックが続けば風呂もキッチンも作れない…莫大な石油なしでは成り立たない「日本の住宅建築業界が直面している衝撃すぎる現実」