東京23区の火葬 官民の価格差を埋めるには
東京都内の火葬場について、住民から料金などに対する不満の声が相次いでいるという。
遺族らが故人と別れる最後の場として、適正に運営されているか。行政は改善策を考えねばならない。
東京都内には、島嶼(とうしょ)部を除くと火葬場が18か所ある。このうち23区内の9か所は、公営が2か所、民営が7か所で、うち6か所は同一企業が運営している。
火葬場は1968年の旧厚生省の通知に基づき、原則として自治体が運営することになっている。ただ、墓地埋葬法に基づいて自治体が許可すれば、宗教法人や民間などの運営も認められる。
23区内にある民間の火葬場は、戦前から営まれている経緯もあり、各区が許可している。
近年、問題となっているのは、この民間が運営している火葬場の料金だ。公営の2か所が4万円台と5万円台なのに対し、民間の7か所はいずれも8万円台だ。
民間もかつては5万円台だったが、火葬炉の燃料費や人件費の高騰に伴って値上げしたという。
区民からは「公共性の高い施設なのに、住んでいる地域によって価格が異なるのは不公平だ」といった声が上がっているという。
こうした指摘を踏まえ、東京都は今年度、有識者らでつくる検討会を設置し、火葬場のあり方について議論することにしている。
公共性の高い施設を民間に委ねる以上、行政が運営に責任を持つのは当然だ。事業者が火葬料を改定する場合、自治体が認可する仕組みとするのは一案だろう。
墓地埋葬法は火葬場の管理について、市や区などが事業者に報告を求めることができる、と定めている。公衆衛生上の問題がある時などは許可の取り消しも認めているが、火葬料など価格設定に関与する権限は明記されていない。
自治体の責任や権限を明記し、火葬場に対する指導を行いやすくする法改正も検討課題となる。
火葬や葬儀を巡る問題は都内に限った話ではない。
火葬場は全国に約1300か所あるが、混雑が原因で、亡くなった人をなかなか火葬できない「火葬待ち」が起きることは珍しくない。各地で遺族と業者が、料金のほか、葬儀の質などに関してトラブルになるケースも目立つ。
少子高齢化が進み、死者数が出生数を上回る「多死社会」を迎えている。人の死生観は様々だが、最後の儀式を穏やかに執り行いたい人は多いはずだ。行政は様々な問題点を解消する必要がある。
