菓子類の小売金額が4兆円突破だが…増収を手放しで喜べないメーカーの懐事情
全日本菓子協会によると、2025年における菓子類の小売金額は、前年比5.7%増の4兆996億円となり、4兆円を突破した。総生産数量は約197万トンと、前年比0.8%の微減にとどまったが、メーカー各社による価格改定(値上げ)に伴い、市場価格が押し上げられた。特にカカオ価格の高騰に見舞われたチョコレートは、数量ベースで9%減少したものの、小売金額では約13%増えた。
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市場規模は21年まで生産数量約190万トン・小売金額約3.3兆円前後を推移しており、直近の5年間で数量・金額が増加した形だ。
個別企業の動向を見ると、「じゃがりこ」を生産するカルビーの国内スナック菓子売上高は、20年度の1757億円から24年度には2254億円に拡大。25年度は第3四半期時点で前年比5.5%増を記録する。
森永製菓の菓子食品事業も、20年度の733億円から24年度の844億円に成長し、25年度は第3四半期時点で同6.6%の増収となった。両社とも値上げを実施したが、売れ行きは好調だという。江崎グリコなど各社は増収が続く。近年の菓子需要拡大についてコンビニ業界関係者は次のように話す。
「価格や量を重視するPB(プライベートブランド)商品に加え、物価高に対応した健康志向やプチ贅沢志向の商品が売れている。特に若年層や女性の需要が顕著で、昼時にパンやおにぎりと合わせて買う客が目立つ。都市部ではインバウンドによる消費も大きい」
宣伝広告でアイドルの起用が相次いだことも影響しているという。不二家は20年9月以降の5年間、テレビCMで「Snow Man」を起用。ケーキ店のほか、「カントリーマアム」の売り上げに貢献したようだ。ロッテもBTSなど韓国アイドルを起用する。
一方で、お昼時の需要が伸びているように手放しで喜べない事情もある。
「食事の代替として菓子類を選ぶ人が増え、ビスケットやチョコ、グミなど腹の膨れやすいものが売れている。外食が1000円を超え、弁当も500円を上回るなか、菓子類を組み合わせれば1食500円以下に抑えることができる」(食品スーパー関係者)
売り上げは好調だが、インフレによるコスト増が各社を圧迫している。
コロナ禍以降、カルビーの営業利益率は10%台から9%台に低下し、今期は7.7%の見込み。江崎グリコも原価・人件費などの上昇により営業利益率は以前の5%台から2%台に減少。明治ホールディングスの食品事業も同9%から8%に減少した。
明治は値上げのほか、「きのこの山」など主力製品の内容量を縮小。江崎グリコも「ポッキー」で同様の対応をとった。各社は“ステルス値上げ”を断行したが、カカオ豆の高騰などコスト高を吸収しきれていない。
25年の総生産数量に見られる微減は、こうした「容量削減」の影響を反映しているのかもしれない。
(山口伸/ライター)
