朝から倦怠感を感じて、気分が落ち込むことってありますよね。じつはそれ、鉄分不足による自律神経の乱れが原因かもしれません。とくに女性や子どもは、「健康診断ではわからない“隠れ貧血”のケース」もあるそう。今回、自律神経との関係が深い起立性調節障害の専門医で、Health&Cureクリニック赤坂の院長、山口里恵先生に、隠れ貧血や鉄分不足を改善する「生活習慣のコツ」について、教えてもらいました。

健康診断で見落とされがちな「隠れ貧血」とは?

朝起きられないのは鉄分不足のせいかもしれません。一般的な健康診断や人間ドックでヘモグロビンの値が正常でも、じつは体の“貯蔵鉄”であるフェリチンの値が低い状態で、貧血症状がでている人がいる、と山口里恵先生は指摘します。

「貯蔵鉄というと、文字どおり“体の鉄の貯金”みたいなイメージですが、ここ数年で健康状態に直結されていることが認知され始めています。血液検査の項目に入れるかどうかは、症状を診て医師の裁量による部分が多いのですが、来院される人の紹介状を見ていると、フェリチンを計測している医師や病院も増えてきている印象です」(山口先生、以下同)

女性や子どもに「隠れ貧血」が多いワケ

とくに、生理のある女性や鉄をたくさん使う成長期のお子さんは、フェリチン(貯蔵鉄)の低下という隠れ貧血からくる、自律神経の不調によって、朝のだるさや倦怠感が続くケースが多い、と山口先生は言います。

「女性や成長を続ける子どもたちは、100ng/mL以上のフェリチン値を保たないと、貧血症状は消失しません」

また、フェリチンは、「鉄欠乏性貧血」の診断の指標にもなっている項目だそう。

「朝だけでなく、慢性的な倦怠感やめまい、動悸や顔面蒼白などの貧血のような症状が出たら、医師に『フェリチンの値も調べてみたい』と打診してみるのも有効な手段かもしれません」

「隠れ貧血」解消に効果的な生活習慣は

山口先生によると、鉄分不足からくる自律神経の乱れは、食生活を整え、場合によっては適切な貧血の治療をすることで、1か月程度から変化が期待できると言います。

「鉄分の吸収を意識した食生活と鉄の補充療法を取り入れることで、徐々に症状が改善すしていきます」

朝起きられなかった子どもの場合、「あれ、朝起こしやすい気がする」「朝の顔色がいい」と感じることが増えたら、ゆるやかに症状がよくなっている兆しだそう。

「個人差はありますが、3か月目くらいには本人も朝のつらさから解放された実感が持てるケースが多いですね」

●屋外で活動する時間を増やすことが大切

また、屋外での活動量を増やすことも自律神経を整えるうえで大切なポイントだそう。

「寝室のカーテンをあけて太陽の光を入れるのは、自律神経のバランスを整えるのにおすすめ。太陽は体によい作用があり、朝日には体内時計をリセットさせてくれる目覚めの効果が、夕日にはリラックス効果があります」

また、筋肉があった方が、自律神経が整いやすいというエビデンスも。

「毎日は無理でも、週末は家族で森林浴や海水浴に行ったりするのもいいでしょう。自然の中での有酸素運動というのは、体のリズムを整える作用があります」

●朝のだるさが続いたら医師に相談を

とくに春は、新しい生活環境や激しい寒暖差によるストレスで自律神経が乱れやすくなる時季でもある、と山口先生は言います。

「生活習慣を見直しても症状が改善しないときは、病院で貧血の検査をすることが大切です」

また、子どもの隠れ貧血に気づかず、朝から始まる子どもの不調に「なまけ癖がついてしまった」「根性がない」「育て方が悪いのか」などと悩む親御さんも多いそう。

「この症状は、フェリチン(貯蔵鉄)の低下が原因なので、適切に医療介入していけば改善できます。朝起きられないなど、自律神経が乱れているような症状があるときには、一度、鉄分不足を疑ってみてもよいかもしれません」