「不合格でも大儲け」外食チェーンが『ジョブチューン』出演に必死になる理由…王将が放送直後「創業以来、過去最高売上」を記録していた

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日本企業の多くが決算期を迎える中、こと外食チェーンの決算資料でたびたび“ある番組”が取り上げられていることをご存じだろうか。その番組こそ、毎週土曜日に放送されているTBS系バラエティ番組『ジョブチューン 〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!』だ。

同番組といえば、過去に番組の企画をめぐってたびたび炎上騒動が起きたことは記憶に新しい。それでも、外食チェーンの多くはそんなリスクも承知の上で『ジョブチューン』への出演に必死になっているという――。なぜなら出演による“経済効果”は想像以上のものだからだ。

【前編記事】『人気者に異常事態「餃子の王将」今年から“怒涛の客離れ”を起こしていた…3ヵ月連続「売上高マイナス」に陥った理由』よりつづく。

「餃子の王将回」放送直後、過去最高売上を記録

2013年2月にスタートした『ジョブチューン 〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!』(以下、『ジョブチューン』)は、MCを務めるネプチューンと職業を意味する「ジョブ」を掛け合わせたタイトル通り、当初は「各業界のプロフェッショナルが週替わりで登場し、仕事の裏側をぶっちゃける」といったコンセプトで放送されていた。

それが2019年頃、「VS超一流料理人」と題した企画がヒット。それを境にして以降、同企画が番組のメインとなり、放送から10年以上経った今も安定した視聴率を稼ぐ人気番組となっている。

この「VS超一流料理人」という企画、外食や小売チェーン店の商品・メニューをその道の一流と言われる料理らがジャッジし、合否を判定するというものだが、たびたび世間を賑わしてきた。というのも、一流料理人たちの講評に対して「辛辣すぎる」「具体性に欠ける」といった声が視聴者から噴出し、時には炎上騒動に発展したからだ。

当然、出演する外食チェーン店にとっては、炎上騒動には巻き込まれたくないだろうし、自社の商品に“不合格”の烙印を押されることも避けたいはず。ところが、そんなデメリットもどこ吹く風、彼らはこぞって『ジョブチューン』への出演を熱望し、業界関係者曰く「もはや順番待ちの状態にある」という。

その理由はいたってシンプル――出演がもたらす“経済効果”がケタ違いだからだ。実際、『ジョブチューン』の出演によって過去最大の売上を記録した外食チェーンすらある。外食業界に詳しい中村コンサルタント代表の中村清志はこう話す。

「中華チェーン『餃子の王将』は、近年客離れに苦しみ、売上高の伸び率も低調にあります。そんな中、今年1月24日放送の『ジョブチューン』内で『餃子の王将×超一流中華料理人』が放送されると、1月31日には1日当たりの売上高では創業以来、過去最高売上となる4億6400万円を記録するほど反響を呼びました」

どんなCMよりも「宣伝になる」

「餃子の王将」は過去、何度も『ジョブチューン』に取り上げられている外食チェーンのひとつ。2025年1月の出演回では、看板メニューの「餃子」や「炒飯」を筆頭に、全10品中6品が満場一致の合格と過去最多を記録(合格9品、不合格1品)し、話題を集めた。

そして今回の放送では、今年から新規リニューアルを行ったプレミアムメニュー「極王シリーズ」がジャッジの対象に。合格数こそ全10品中9品とキープ、「極王餃子の王将ラーメン」や「極王酢豚」など4品が満場一致となるものの、満場一致の数は減少。また、「極王エビチリ」が不合格になる、やや手厳しい結果となった。

それでも、放送直後に売り上げが急増したあたり、宣伝効果としては大満足といったところだろう。前出の中村氏が続ける。

「これまで安定成長を遂げてきた『餃子の王将』ですが、2年間で5回もの値上げを実施したことで、集客も決して楽な状態ではありません。ここ最近の出店動向を見ていると、直営店舗は順調ながら、FC店舗はその数を減らしています。また、関東圏では『日高屋』『幸楽苑』など競合チェーンに後塵を拝している点など、課題も山積みです。

そうした中で、新たに投入した“切り札”ともいえる高付加価値商品極『極王シリーズ』を広くPRできたのは同チェーンにとって大きいはず。既存とは違う、『多少高くても高品質な料理が食べたい』顧客層を開拓することで、客数の減少を客単価の上昇で補うことを狙っているのです」

もはや企業にとって『ジョブチューン』は、いちバラエティ番組という枠を超え、テレビCMやYouTubeの案件などをも凌駕する“集客装置”になっているのかもしれない。

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