三菱、三井、住友…令和の今でも残る「財閥の性格」、最も「体育会系」なグループの名前
日本三大財閥と呼ばれる、三菱、三井、住友。戦後に解体され、形式上はバラバラになったものの、令和の今でも脈々と受け継がれる「グループの性格」があるという。『教養としての三菱・三井・住友』の著者、山川清弘氏が、それぞれの「性格の違い」を解説する。
とにかく「大きな話」が好きな「三菱グループ」
三菱、三井、住友の3グループは、戦後に解体され、形式上はバラバラになったはずです。けれども、それぞれの中心企業や関係会社を見ていると、「グループの性格」は明らかに存在していると感じます。
いわばDNAのようなものでしょうか。広報対応や経営者の語り口、企業史に残された言葉を読んでいると、「ああ、やっぱり三菱っぽいな」「これは三井の人の発想だ」と感じることが少なくありません。
三菱グループは、とにかく「大きな話」が好きな印象があります。グループを代表するのは三菱商事や三菱重工業、三菱UFJ銀行など、いずれも日本を代表する巨大企業です。
総帥的存在はいないとされつつも、やはり三菱商事が音頭を取り、グループ全体を引っ張る構図が見えてきます。
「三菱の人はプライドが高い」という話を聞くこともありますが、それはたしかに否定しきれません。歴史的にも、岩崎弥太郎以来の「国家観」や「使命感」に根差すものです。スケールが大きく、視座が高く、日本をどうするか、世界をどう動かすかという視点で考える人が多いように感じます。
また、「組織の三菱」ならではの動きを感じる場面も。三菱グループの会社とのやりとりでは、担当者不在でも情報が共有されているのでスムーズに話が進む、という声を聞きました。
一方で、「話が大きすぎて現場がついてこない」といったこともあります。けれども、時代が大きく動く局面では、三菱グループのような強烈な推進力が頼りになる場面も多いのではないでしょうか。
クールでスマート、先進的な「三井グループ」
三井は、どこか「合理主義的」で「クール」な印象があります。これは、創業者・三井高利の精神にも由来するのでしょうか。三井グループには、「過度に感情に流されない」「利益と倫理を両立させる」という冷静な視点が感じられます。
財閥解体後も三井物産や三井不動産などが中心となり、個別にビジネスを磨きつつも、三井グループの緩やかな連携を保っています。
特徴的なのは、「連帯感はあるが、無理に一枚岩になろうとはしない」柔軟な組織感覚です。
三井財閥の成熟には、番頭を中心とした「個社主義」が欠かせませんでした。その考えが今も息づいているのでしょう。よく聞く「三井系列との接待にはサッポロビールで」のような不文律も、三井がいちばん気にしないイメージがあります。
イノベーションへの意識も強く、デジタル技術やグローバル投資にも積極的。若い経営者や、新卒採用に固執しない多様な人材の登用でも、三菱や住友より一歩先を行っている印象を受けます。
真面目で「体育会系」ノリもある「住友グループ」
住友グループの特徴は、「愚直なまでに真面目」であるということです。特に、住友家法に代表される倫理観──「信用を重んじ、確実を旨とし、浮利に走らず」──は、今でもグループ企業の経営理念に息づいています。
住友グループの会社のウェブサイトを見ていると、きちんと倫理や使命に言及している企業が多く、「儲け第一主義」とは一線を画しているように感じます。
また、住友グループは三菱グループとはまた違った精神的な結びつきや、「住友」の誇りを感じる場面が多く、「酒の場で親睦を深める」といった、やや体育会系なノリも住友らしさにつながっているようです。
反面、「慎重すぎる」「スピード感に欠ける」といった批判もあります。かつて別子銅山の煙害対策や林業復旧など、社会との共生を重視してきた歴史があり、今でも「住友らしい」とされるのは、社会課題に対する誠実な向き合い方です。
大阪・関西万博の住友館もその一例でしょう。これは、グループ各社が「未来の社会課題」をテーマに協力し合って作り上げており、住友の精神を象徴する場になっています。
このように見てくると、3大グループはそれぞれ全く異なる性格と企業文化を持ちながら、日本経済の一翼を担ってきたことがわかります。
どれが良い、悪いではなく、それぞれが時代や社会の中で異なる役割を果たしてきたことこそが、日本の産業界の奥深さを物語っているように思います。
ビジネス関連記事をもっと読む→決定的技術「IOWN」を持つNTT、なぜ株価は上がらないのか?経営陣がいまだ語れない投資家が求める「たったひとつのこと」
【もっと読む】決定的技術「IOWN」を持つNTT、なぜ株価は上がらないのか?経営陣がいまだ語れない投資家が求める「たったひとつのこと」
