高市早苗首相の公式Xより

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トランプ米大統領が「イランへの攻撃を2週間停止することに同意する」と発表したことで、事態収束への希望が見え始めた中東情勢。イランのアラグチ外相も「2週間の間、イラン軍との調整により、ホルムズ海峡の安全な通行は可能になる」と明らかにした。

このまま最終的な合意が実現すればよいが、イスラエルの動向にも注視が必要で、日本としても完全に安心できる状態ではない。仮に緊迫した中東情勢が続いた場合、原油の輸入の9割を中東に頼る日本が、このままではエネルギー不足に陥るのでは、との懸念もぬぐいきれてはいない状態だ。

原油の供給不安について高市早苗首相は「年を越えて石油の供給を確保できるめどがついた」と強調。国民にエネルギーの節約を呼びかける可能性については「あらゆる可能性を排除せず、臨機応変に対応していく」と述べるにとどめている。

「強い経済」を重視する高市首相としては、ガソリン価格の補助などを実施し国民生活への影響を最小限に抑えたい考えだ。しかし足元の与党内からは「『価格を下げるからガソリンをこれまで通り使ってくれ』というメッセージより、節約を呼びかけることのほうが大事では」と疑問の声が出始めた。

「ガソリンや電気の節約となると考えられるのは、程度はともかくコロナ禍のような『STAY HOME』『不要不急の外出自粛』の呼びかけです。政府はとくに大型連休に消費が冷え込むようなことは避けたいと考えていますが、『年明けまでの原油は確保しているから』と甘い見通しを立てた結果、中東情勢が好転せず、後から国民生活への影響が甚大になったのでは、高市首相の責任が問われます」(全国紙政治部記者)

コロナ対応で支持率を下げた菅義偉元首相

実際に永田町では、数年前の危機と重ねて高市政権の行方を心配する向きも……。

「非常時の対応で国民の支持を一気に失った例としては、菅義偉元首相のコロナ対応が思い出されます。菅氏は当時、国民の不安が強かったにもかかわらず東京五輪開催にこだわったり、感染拡大を十分に抑えられなかったりして、支持率が一気に急落しました。菅氏も高市氏と同様、もともと党内基盤が弱かったので、国民の支持を失ったら一気に総裁選不出馬まで追い込まれました。早くも『中東情勢への対応を誤ると、高市政権がいつまで続くか』という話もちらほら永田町では飛び交っています」(自民関係者)

こうした中で、今不安視されているのが、「高市首相が周囲の声を聞かない」という問題だ。

「高市首相はもともと1人でじっくり政策を考えるタイプ。今は木原稔官房長官や飯田祐二首席秘書官といった、ごく一部の官邸幹部の話しか聞かない状態が続いています。コロナ禍のときも、安倍晋三元首相や菅元首相は、官邸以外とのコミュニケーションが難しくなり一部の声しか耳に届かない状態になって、対策を誤ったことが指摘されました。高市首相も同じ轍(てつ)を踏まないか……」(官邸関係者)

相変わらず高い支持率を維持している高市首相だが、自身の「おこもり」スタイルを貫いたまま、国民生活に直結する危機を乗り切ることができるか。

文/中村まほ 内外タイムス