JAXAの火星衛星探査計画「MMX」の探査機が種子島に到着 2026年度打ち上げ予定
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年4月1日、火星衛星探査計画「MMX」の探査機が種子島宇宙センターに搬入されたことを発表しました。探査機はこれまで三菱電機鎌倉製作所で製造や試験が進められてきましたが、今後は2026年度の打ち上げに向けて、種子島宇宙センターにて最終的な試験が行われます。

三菱電機鎌倉製作所から種子島宇宙センターへ
ISAS(JAXA宇宙科学研究所)によると、MMX探査機は2026年3月28日未明に三菱電機の鎌倉製作所を出発。種子島には3月31日に専用船で到着し、種子島宇宙センター内の第2衛星組立棟(STA2)への搬入が完了したということです。
今後はSTA2において、探査機のシステムプロトフライト試験(PFT:実際の宇宙空間や打ち上げ時の環境を模擬して機能を確認する総合的な試験)が実施される予定です。

世界初の火星圏サンプルリターンを目指すミッション
「MMX(Martian Moons eXploration)」は、火星の衛星Phobos(フォボス)の表面から10グラム以上の砂や岩石などの表面物質(レゴリス)を採取して地球に持ち帰るという、世界初の「火星圏からのサンプルリターン」を目指すミッションです。
ミッションの主な目的は、火星の衛星の起源を解明すること。火星を周回する小惑星のような衛星PhobosとDeimos(ダイモス)を巡っては、過去の火星で起きた大規模な天体衝突によって形成されたとする「巨大衝突説」と、飛来した小惑星が火星の重力に捕らえられたとする「捕獲説」の2つが提唱されています。MMXは2つの説のどちらが正しいのかを明らかにするとともに、火星圏全体の進化の過程を探ることに挑みます。
地球と火星圏の往復という困難なミッションを限られた量の推進剤で達成するため、探査機は火星圏到着時に分離する「往路モジュール」、観測や着陸を担う「探査モジュール」、サンプルを載せて地球に帰還する「復路モジュール」という3つのモジュールで構成されています。
地上から打ち上げられる多段式のロケットと同じように、ミッションのフェーズごとに不要になったモジュールを順次切り離していくことで、必要なエネルギーを最小限に抑える設計となっています。


仏独共同開発のローバーやスーパーハイビジョンカメラも搭載
MMX探査機には国際的な協力のもと、様々な機器が搭載されています。
たとえば、CNES(フランス国立宇宙研究センター)とDLR(ドイツ航空宇宙センター)が共同開発したローバー「IDEFIX(イデフィックス)」は、探査機本体に先駆けてPhobosに着陸して、安全なサンプル採取に向けた事前の表面探査を行う予定です。

また、探査機にはNHK(日本放送協会)とJAXAが共同開発したスーパーハイビジョンカメラ「SHV」も搭載されており、火星圏の高精細な4Kおよび8K映像の撮影と地球への伝送が行われる予定です。
なお、MMX探査機は2026年度に日本の「H3」ロケットでの打ち上げが計画されています。H3ロケットについては、2025年12月の8号機打ち上げ失敗に伴う原因究明が現在も進行中ですが、世界初となる困難なミッションの成功に向けて、種子島宇宙センターではMMX探査機の最終的な試験や準備が着実に進められています。約5年にわたる壮大な宇宙探査の旅の始まりに、今から期待が高まります。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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