NASAが有人月周回ミッション「アルテミスII」の飛行準備審査を完了 最短で現地時間4月1日打ち上げへ
NASA(アメリカ航空宇宙局)は現地時間2026年3月12日、アポロ計画以来となる有人月周回ミッション「Artemis II(アルテミスII)」の飛行準備審査(FRR:Flight Readiness Review)を完了し、現地時間2026年4月1日の打ち上げに向けた準備作業を継続することを発表しました。

飛行準備審査が完了、打ち上げに向け「Go」
NASAの発表および同日に開催された記者会見によれば、2日間にわたる飛行準備審査において、すべての関連チームがArtemis IIミッションの打ち上げに向けて「Go(進行)」の判断を下しました。
NASA探査システム開発ミッション局の局長代行を務めるLori Glaze氏によれば、審査には本ミッションで新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」に搭乗予定のReid Wiseman宇宙飛行士をはじめとする4名のクルーもオンラインで参加し、機体の状態やミッションに潜むリスク、そして今後の道筋について、透明性の高い徹底的な議論が交わされたといいます。
ヘリウム供給問題の対策と射点への再移動準備
Artemis IIは、Orion宇宙船に初めて宇宙飛行士が搭乗し、大型ロケット「SLS(Space Launch System=スペース・ローンチ・システム)」で打ち上げられた後に地球と月周辺を往復する約10日間のミッションです。アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター39B射点では、これまでに2回のウェットドレスリハーサル(WDR: Wet Dress Rehearsal、推進剤充填を伴う打ち上げリハーサル)が行われました。
ところが、2026年2月下旬にSLSロケットの上段(2段目)でのヘリウム供給に問題が確認されたため、修復と点検のためにSLSを射点からVAB(ロケット組立棟)へと戻すロールバックが実施されました。VABでの詳細な調査の結果、地上システムからロケットへヘリウムを供給する接続部(クイックディスコネクト)内のシールがずれ、ガスの経路を塞いでいたことが原因だと判明しています。
NASA探査地上システムプログラムマネージャーのShawn Quinn氏によれば、原因となったシールを取り除き、代わりとなる別のシール(二次シール)を補強するよう設計を変更したことで、厳しいテストをクリアできたといいます。また、VABでの滞在期間を利用した作業として、SLS側の飛行中断システムなどのバッテリー交換を完了し、現在は同システムの再テストを進めているということです。
NASAは、VABでの最終的なテストと点検を終えた後、現地時間2026年3月19日にもSLSロケットとOrion宇宙船を再び射点へ移動(ロールアウト)させることを目標としています。なお、再度のウェットドレスリハーサルは実施されず、次に推進剤を充填するのは打ち上げ当日になる見通しです。
打ち上げは最短で4月1日 新たな打ち上げ機会も追加
今後の射点での作業が順調に進めば、NASAは最短でアメリカ東部夏時間2026年4月1日18時24分(日本時間翌2日7時24分)から120分間の時間帯に、Artemis IIミッションの打ち上げを目指します。
また、Lori Glaze氏によれば、事前の軌道分析を重ねた結果、新たに現地時間2026年4月2日も打ち上げ予備日として追加されました。この追加によって、Artemis IIの打ち上げ機会は2026年4月1日から6日までの6日間で、最大4回確保できる見込みです(何らかの理由で打ち上げが延期される可能性を考慮した回数)。
歴史的な飛行を担う4名のクルーは、現地時間2026年3月18日から事前の隔離期間に入り、3月27日にはフロリダ州のケネディ宇宙センターに到着する予定です。NASA飛行運用局の責任者を務めるNorm Knight氏は「クルーは極めて良好な状態にあり、地上チームに全幅の信頼を寄せている」と述べており、およそ半世紀ぶりとなる月周辺への有人飛行に向けた準備が整いつつあります。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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