NASA(アメリカ航空宇宙局)は現地時間2026年2月19日深夜、有人月周回ミッション「Artemis II(アルテミスII)」の実施に向けて、大型ロケット「SLS(Space Launch System=スペース・ローンチ・システム)」と新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の第2回ウェットドレスリハーサル(WDR)を完了しました。


NASAによると、今回の試験成功を受けて、2026年3月にもArtemis IIミッションの打ち上げが行われる見通しとなりました。直近の打ち上げウィンドウは、アメリカ東部標準時2026年3月6日20時29分(日本時間翌7日10時29分)からの120分間です。3月はこの他にも現地時間で7日・8日・9日・11日に打ち上げ機会が設定されています。


【▲ ケネディ宇宙センター39B射点でライトアップされたArtemis II(アルテミスII)ミッションのSLS(スペース・ローンチ・システム)。2026年1月18日撮影(Credit: NASA/Brandon Hancock)】

第1回リハーサルの課題を克服し燃料漏れを大幅に改善

WDRは、実際の打ち上げと同じ手順で推進剤(液体水素と液体酸素)を充填するとともに、カウントダウンや打ち上げ中止時の手順までを一通り確認する、打ち上げ前の重要な地上試験です。


NASAによれば、2026年1月末から2月上旬にかけて行われた第1回WDRでは、SLSに燃料の液体水素を充填するための接続部で漏洩が発生し、模擬打ち上げ時刻の5分15秒前で試験が中断されていました。


分子が非常に小さく漏れやすい液体水素を極低温・高圧の環境下で制御するのは非常に難しいとされ、2022年に実施されたSLSとOrionの無人飛行試験ミッション「Artemis I(アルテミスI)」のWDRでも同様の問題が発生していました。


第1回WDRの結果を受けて、NASAは接続部のシールを交換した上で、今回の第2回WDRに臨みました。打ち上げディレクターを務めるCharlie Blackwell-Thompson氏は、リハーサル完了後の現地時間2月20日に開催された記者会見において、新しいシールが非常に良好に機能したと報告しています。急速充填中の燃料漏洩率はわずか0.4%に留まり、前回のArtemis Iミッション時よりも優れた結果を示したということです。


通信トラブルを乗り越えてターミナルカウントを完了

今回のWDRでは発射管制センターとの地上通信が一時途絶するトラブルが発生しましたが、管制チームはバックアップの通信手段へ移行することで、推進剤の充填作業を安全に継続しました。


また、試験終盤には、打ち上げ直前の手順であるターミナルカウントが計画通り2回実施されました。意図的にカウントダウンを停止して時計を巻き戻すリサイクル手順も行われ、予定されたすべての試験目標を達成したとNASAは報告しています。


今後の予定と打ち上げに向けた最終準備

冒頭でも触れた通り、Artemis IIミッションは最短で現地時間2026年3月6日にも打ち上げが実施される見通しです。Reid Wiseman宇宙飛行士らArtemis IIのクルー4名は、現地時間2026年2月20日からテキサス州ヒューストンで隔離期間に入りました。


NASA探査システム開発ミッション局の局長代行を務めるLori Glaze氏によれば、今後はWDRのデータ分析や飛行準備完了審査が行われます。また、発射台ではSLSロケット側の飛行中断システムの再テストが予定されています。


こうした最終準備が順調に進めば、NASAは「Apollo 17(アポロ17号)」以来およそ半世紀ぶりに人類が月周辺へと向かうArtemis IIミッションを実施する方針です。Artemis IIの詳細については以下の関連記事をご参照ください。


NASAがアルテミスIIミッションのロケット「SLS」を射点へ移動 1月末以降に打ち上げリハーサルを予定(2026年1月18日)

 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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NASA - Artemis (NASA Blogs)