姫路の「えきそば」は普通の「蕎麦」ではない、いったい何なのか 国宝「姫路城」の“城下町”には当然のごとく美味しいグルメがあった!

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あけましておめでとうございます。2026年も全国各地の美味しいグルメをお届けします。どうぞお付き合いください。今年最初のシリーズは、新年にめでたい「国宝五城と城下町グルメ」です。日本には現存天守(江戸時代またはそれ以前に建設され、現代まで保存されている天守)が12城あります。その中で国宝に指定されているお城は5つ。東から松本城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城の五城です。筆者はお城見学によく行きますが、歴史や建造物というよりもご当地グルメに惹かれます。お城が建つと人が集まり、城下町には美味しい名物料理が生まれました。約400年を経ていまに残る絶品グルメとは?どうぞご期待下さい。

姫路城

『ボナンザ』で満足のご当地グルメ「姫路おでん」と「チャンポン焼き」

シリーズ第1弾は、1931(昭和6)年、五城の中でも一番早く国宝に指定された姫路城から始めたいと思います。お城訪問の前にまずは腹ごしらえ。兵庫県姫路市の城下町グルメからご紹介しましょう。

最初にご案内するのは、2つの姫路グルメを味わえる『ボナンザ』です。姫路駅を背に姫路城を正面に眺める、大手前通りのビル2階に店を構えています。同地で育った年の近い知人から教えてもらいました。彼が高校時代から通っている地元の名店のようです。

ボナンザ

同店でいだだく姫路グルメ、まずは「姫路おでん」からいただきたいと思います。「姫路おでん」の特長は生姜醤油でいただくこと。小皿に生姜醤油をつくって食べるようにポスターにも書いてありました。注文したのは玉子、糸こん、厚揚げの3品。出汁はかつおや昆布ベースと普通のおでんです。ところが、お作法にのっとり生醤油につけて食べてみると抜群に旨い。やはり日本人は生姜醤油が好きです。駅周辺には「姫路おでん」の専門店も多いですが、十分に満足できる一皿でした。

ボナンザ(姫路おでん)

続いていただいたのは「チャンポン焼」です。長崎ちゃんぽんの変化版かと思いきや、何と焼きうどんと焼きそばのハーフ&ハーフでした。太い麺と細い麺が口の中で不思議な食感を生み、とても美味しくいただきました。

ボナンザ(チャンポン焼)

姫路のソウルフードだ!『まねきのえきそば』

続いてご紹介するのは、姫路の「ご当地グルメ」というよりも「姫路のソウルフード」と言ったほうが適切かも知れません。『まねきのえきそば』です。初めて聞く方は「何それ?」って感じかと思います。確かに「えきそば」が「ソウルフード」とは驚きますよね。

ただ、姫路の「えきそば」はただものではありません。まずは駅ナカ、というよりも在来線のホームに2店、駅近くに2店の店舗を構える、いわゆるドミナント(集中出店)企業です(笑)。

まねきのえきそば(在来線ホームにある店舗の外観)

特長は、駅そばといえば普通は「蕎麦」ですが、「まねきのえきそば」は「中華麺」が使われていること。店頭にも「和風だしと中華麺の絶妙な組み合わせ」と書いてあるように、出汁は和風の少し塩辛いスープで、柔らかめの中華麺と良く合います。ついつい、おいなりさんも注文してしまいました。駅のホームにある駅そば、日本の原風景として、いつまでも残って欲しいものです。

ねきのえきそば(天ぷらえきそば)

まねきのえきそば(いなり)

おススメ!地方競馬の姫路競馬場

さて、当シリーズでは、国宝五城を見学した際に訪問して欲しい、観光地・エンタメもご紹介します。

姫路競馬場

この界隈のお薦めは、地方競馬の姫路競馬場です。年間の開催回数は少ないですが、レトロで素朴な感じが地方競馬ファンにはたまりません。「えきそば」も「姫路おでん」も場内売店の名物料理になっており1カ所で姫路グルメを楽しめます。競馬ファンの方もそうでない方も姫路観光の折にぜひ立ちお寄りください。

姫路競馬場内売店(駅そば)

姫路競馬場内売店(姫路おでん)

1993年、日本初の世界文化遺産「姫路城」

それでは姫路城の紹介にうつりましょう。『ボナンザ』で食事を終え、ほろ酔い気分で姫路城に向かいました。近づくにつれてその威容が迫ってきます。それにしても白鷺城(はくろじょう、しらさぎじょう)とも呼ばれる姫路城の美しさたるや、見るたびにため息が出ます。重厚かつ重層的な外観はどの角度で見ても、どこを切り取っても美しい。

その意味ではモーツアルトの天上の音楽、マイケル・ジョーダンの芸術的なバスケットボールのプレー、富士山の壮麗な姿、にも似た神々しさを感じます。よくこの建造物が400年の長きにわたり残っていたものです。1993(平成5)年12月、奈良の法隆寺とともに日本初の世界文化遺産になったのもうなずけます。

姫路城

姫路城の中で、個人的にお薦めしたいのは西の丸です。観光客のお目当てはもちろん天守閣。ならばとちょいと遠回りして「西の丸」から回ったところ、比較的空いていました。ゆっくり歩いていると句碑らしきものがあります。なかなか解読が難しい字体で、最後の「夢の跡」は読めますが他はよくわかりません。え?「夏草や兵どもが夢の跡」?と思ったものの、まさか中尊寺(岩手県平泉町)で詠んだ松尾芭蕉の句がここにあるのも不思議です。

西の丸にある句碑

句碑「千姫の 春やむかしの 夢の跡」

近くにいたお城の関係者に聞いてみたところ、「千姫の 春やむかしの 夢の跡」とあるようです。姫路地方の俳句の黎明期を支えた梶子節(かじ・しせつ)さんという方が、1933年(昭和8年)3月に詠んだ句とか。

さて「千姫」。歴史に詳しい方はご存じかも知れませんが、徳川幕府二代将軍、徳川秀忠と江(浅井長政とお市の方の三女)の長女として生まれ、後に豊臣秀頼(太閤豊臣秀吉の三男)に嫁ぎます。その後、大阪夏の陣で秀頼と死別したあとは、初代姫路藩主であった本多忠刻と再婚し姫路城で約10年間過ごしました。何とも数奇な運命に導かれた千姫。西の丸は「西の丸櫓郡(やぐらぐん)」として約240メートルもの長い廊下が続いています。名付けて「百軒廊下」。そこには忠刻や千姫もかつて住んでおり、衣装部屋や化粧室なども残されています。その中には、「千姫八幡宮(せんひめはちまんぐう)」を望む部屋もありました。千姫が夫・忠刻との幸せを願って姫路城近くの男山(おとこやま)に建立したお宮で、千姫は朝夕ここから祈りを捧げていたそうです。

何ともロマンチックな歴史を持つ「千姫八幡宮」に早速行ってみました。姫路城から「千姫の小径」を歩いて約15分。ほどなくお宮に到着。とても小さな、けれど愛らしいお宮でした。忠刻と千姫の羽子板も神社の両サイドにありました。2人の仲睦まじい様子が目に浮かびます。

千姫八幡宮

「千姫の小路」に現れたシラサギ、幸運が訪れるかも

現地では「千姫を大河ドラマに!」というのぼりもありました。戦国時代の数奇な運命を生き抜いた千姫とその舞台の一つである姫路城のドラマ、とても面白そうです。ぜひ実現すればいいなぁ、と思いながら歩いている途中、「千姫の小径」に現れたのは本物のシラサギです。こんなことってあるんですね。

「千姫の小径」で見たシラサギ

シラサギを見ると幸運が訪れる、運を引き寄せる、と古くから信じられているとか。千姫とシラサギのご利益(ごりやく)が皆さまにも届きますように。今年もどうぞよろしくお願いします。

文・写真/十朱伸吾

おとなの週末Web専属ライター。全国のご当地グルメを求めて40年余。2013年には、“47都道府県食べ歩き”を達成した。訪れた飲食店は1万軒をゆうに超える。旅と食とお酒をこよなく愛するオプチミスト。特にビールには一家言あり。競馬と写真とゴルフも趣味。週1の自転車ツーリングとサウナでダイエットにも成功した。好きな言葉は「発想力は移動時間に比例する」。

【画像】これが、絶品の姫路グルメ! 美しい姫路城とともにどうぞ(19枚)