ルールを守って乗ることが大切だ(bee / PIXTA)※写真はイメージ

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「すみませんでした…」

5月下旬、路上で得意げにバイクを空ぶかししていた若者らが、作業着姿の男性にピシャリと注意された途端、態度を一変させ、消え入るような声で謝罪する動画がXで話題となった。投稿は5月29日時点で1250万回以上表示されており、「ビビって謝るならやるなよ」「イキってたのに急にしょぼくれててだせぇ…」などのリプライが寄せられている。

こうした爆音バイクに悩まされている人は少なくなく、SNSには「クソダサい改造したバイクが目の前でブンブンうるさい」「うるさすぎて窓開けて寝れん」「絶滅させてほしい」「こんなに騒音に困ってる人が居るのになんで厳しい罰則にしてくれないのだろうか」など、さまざまな悩みの声が吐露されている。

このように、エンジン音が不自然に大きな車両は「不正改造車」にあたる可能性があり、法律上、取り締まりの対象となっている。

不正改造車とは?

国土交通省は不正改造について、一部の自動車ユーザーが「かっこいい」「目立ちたい」との身勝手な理由で行っていることが多いと考えられる、との見解を示している。しかし、その結果として騒音などで生活環境が悪化したり、道路交通の秩序が脅かされたりする現状があり、「多くの人が、不正改造車が社会的に排除されることを強く求めています」とも指摘する。

法律上、自動車(バイクなどの二輪車も含む)は、安全・環境基準である「保安基準」に適合していなければ公道を走行できない。不正改造とは、この保安基準に適合しなくなるような改造、装置の取り付けや取り外しなどを指す。

主な不正改造の例は以下の通りである。

1.灯火類の灯火の色等
2.運転席および助手席の窓ガラスへの着色フィルムの貼り付け
3.ディーゼル自動車の排出する黒煙
4.タイヤおよびホイールの車体(フェンダー)外へのはみ出し
5.突入防止装置の切断・取り外し 荷台さし枠の取り付け
6.消音器(マフラー)の切断・取り外し
7.前面ガラス等への装飾板の取り付け
8.基準外のウイングの取り付け
9.速度抑制装置(スピードリミッター)の解除・取り外し

不正改造に対する罰則

不正改造は犯罪であり、改造を行った者と、その車両を使用する者の両方に罰則が科せられる。

不正改造の実施者
保安基準に適合しなくなる改造を行った場合、「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が科せられる。(道路運送車両法99条の2、108条) 不正改造車の使用者
不正改造車を使用している場合、地方運輸局長から整備命令が出される。この命令に従わないと、車両の使用停止命令や「50万円以下の罰金」の対象となる。(道路運送車両法54条の2、108条、109条) 命を奪いかねない不正改造車の危険性

不正改造は、騒音などの迷惑行為にとどまらず、時として重大な事故を引き起こす。

■タイヤが脱落し4歳女児が意識不明に(北海道札幌市)
2023年11月、札幌市西区で、不正改造された4WD車のタイヤが走行中に脱落し、歩道を歩いていた当時4歳の女の子を直撃。被害を受けた女の子は現在に至るまで、意識不明の重体となっている。

この事故で有罪判決(執行猶予付き)を受けた男(52)は、その後「賠償金を稼ぐため」と無免許運転を繰り返し、今年2月に再び逮捕。5月8日には拘禁刑1年の実刑判決が下され、前回裁判の懲役3年と合わせて刑期は4年となり、執行猶予が取り消される可能性もあるという。

■「ニセ覆面パトカー」が事故、同乗者が重傷(東京都練馬区)
2025年12月、東京都練馬区で赤色灯をつけサイレンを鳴らしながら走行していた車が電柱に衝突する事故が発生した。この車は不正に改造された「ニセ覆面パトカー」で、運転していた無職の男(23)は飲酒運転の状態であった。この事故で、同乗していた知人女性が胸骨骨折のけがをした。

警視庁の捜査によると、男は約12分間、約10キロにわたり「緊急走行」を装い、速度超過や信号無視など計15回の違反を繰り返していた。男は「人と違う車に乗りたいと思って改造を依頼した」と話しており、改造を請け負った同級生の男性会社員(22)も逮捕された。

警視庁の担当者は、こうした行為が「平穏に走行する一般車両に急ブレーキや無理な車線変更を強いることになり、歩行者も危険にさらす。本物の捜査や救急活動と誤認され、周囲へ混乱を招くこともある」とコメントしている。

6月は「不正改造車を排除する運動」強化月間

国土交通省は、不正改造車を社会から排除するため、毎年6月を「不正改造車を排除する運動」の強化月間とし、警察や関係機関と連携の上、街頭検査や運輸支局の構内での検査を実施。関東運輸局では昨年、合計3601台の車両を検査し、64台に整備命令書を交付した。

主な不正改造の内容は以下の通り。

点滅灯火や灯光の色が不適切な灯火(44件) 騒音基準を満たさないマフラー(38件) 車体外にはみ出すタイヤ(26件)

また、自動車整備士養成施設での出前講座や研修会などを通じて、不正改造防止のための周知活動も積極的に行っている。

不正改造車の通報窓口

国土交通省は、不正改造車に関する情報提供を受け付ける「不正改造車・迷惑黒煙車情報提供窓口」を設置している。

寄せられた情報は、関係機関と連携し、不正改造車を排除するための啓発活動などに活用される。情報提供は、管轄の運輸局のウェブサイトにある通報フォーム(Webまたはメール)のほか、電話やFAXでも可能だ(詳細は国交省公式サイト「不正改造車・迷惑黒煙車情報提供窓口」で要確認)。

不正改造は、単なる迷惑行為ではなく、他人の命を脅かす危険な犯罪だ。社会全体で不正改造を「しない」「させない」意識を持つとともに、危険な車両を見かけた際は、情報提供窓口を活用することも、安全な交通社会の実現につながる。