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流れが変わり始めている

クルマのデザインを見ると、その時代に何が求められていたのかがよくわかります。これまでEVのデザインは、効率や先進性を優先した『都会的な乗り物』として表現されることが多く、アウトドアや冒険といったイメージとは少し距離がありました。

【画像】新しい時代を象徴する2台のEV!スバル・トレイルシーカーとトヨタbZ4Xツーリング 全84枚

けれど2026年の今、その流れが変わり始めています。


スバルとトヨタ協業によるEV第2弾、トレイルシーカー(下)とbZ4Xツーリング(上)。    スバル/トヨタ自動車

一充電で700kmを超えるモデルが現れ、EVでも長距離移動が現実的になったことで、求められるデザインも変化してきました。両社の協業EV第2弾、『スバル・トレイルシーカー』と『トヨタbZ4X ツーリング』は、まさにそんな新しい時代を象徴する存在です。

トレイルシーカーはワゴン的な美しさとSUVらしい力強さを両立

トレイルシーカーを最初に見て感じたのは、『これはアウトバックの後継的な存在ではないか』ということです。欧州では『Eアウトバック』と言う名前で売られているくらいですから、スバル自身もそう考えているのでしょう。

最低地上高210mmのソルテラをベースにしながら、リアオーバーハングを約155mm延長したことで、サイドシルエットは驚くほど伸びやかになりました。ベース車よりもバランスが良く、ワゴン的な美しさとSUVらしい力強さを両立しています。


ベースのソルテラからリアを伸ばしリアゲートを立て、ルーフレールを搭載したトレイルシーカーのデザインは、まさにアウトバックそのもの。    スバル

また、リアゲートが立っているので機能性が大きく増し、スバルらしい『どこにでも行ける感』が強くなりました。現行型アウトバックが日本市場では展開されていない今、このトレイルシーカーがその役割を担っていくようにも感じます。

フロントまわりは、ベース車であるソルテラよりもラギッドな表現に変更され、よりSUV的でタフな印象になりました。グリル周辺のデザインは全体の流れからするとややスタティック過ぎる様に見えますが、『自然の中へ入っていくクルマ』というメッセージは非常に明快です。

スバルらしいシンプルで潔いデザイン

ヘッドランプはソルテラと共通で十分な存在感があり、全体としての完成度は高いと感じます。リアは非常にシンプルな横一文字のコンビランプを採用。最近よくある見慣れたデザインであるものの、奥行方向にしっかり断面を持たせているため立体感があります。

このくらいシンプルで潔いデザインのほうが、むしろスバルらしさを感じさせますね。


リアは非常にシンプルな横一文字のコンビランプを採用。奥行方向にしっかり断面を持たせて立体感があります。    スバル

全車標準装備のルーフレールも重要なポイントです。しっかりフローティングされた機能的な造形は、これがあるだけでシルエット全体が変わり、クルマの価値がまったく別物になります。ベース車からリアを伸ばし、ルーフレールを付けるだけでここまで印象が変わるのか、と改めてデザインの面白さを感じました。

ソルテラにはあまり惹かれなかった人でも、このトレイルシーカーには強く興味を持つ方が多いのではないでしょうか。

bZ4Xツーリングは『やりすぎない上手さ』が秀逸

一方で、トヨタ版となるbZ4Xツーリングは、トレイルシーカーほどベース車から印象を変えていませんが、それがむしろトヨタらしいと感じます。

フロントはbZ4Xと同様ハンマーヘッドデザインを採用し、基本的なデザインは継承。そのうえで、バンパー下端の樹脂パーツのみを専用品に変更し、アウトドア感を自然にプラスしています。


トヨタbZ4Xツーリングのフロントはベース車からほとんど変わらりませんが、バンパー下端デザインを変更することで、ボディ全体と相まって適度なアドベンチャー感を演出しています。    トヨタ自動車

この『やりすぎない上手さ』は非常に秀逸で、都会的で洗練された印象を残しながら、しっかりラギッドな雰囲気も持たせています。最小限の変更で最大限の効果を出しているデザインですよね。

もちろん、こちらもリアを伸ばしたことによる効果は非常に大きいです。従来のbZ4Xよりも安定感があり、またルーフレールとの組み合わせで、かなりアドベンチャー感のあるシルエットになっています。

機能感を前面に出した造形

特にこのフローティングタイプのルーフレールは単なる機能部品ではなく、デザインの主役と言ってもいい存在。おそらくスバルとの協業がなければ、ここまで機能感を前面に出した造形にはならなかったでしょう。

インテリアは薄型のインパネと大型14インチディスプレイを中心とした、非常に現代的な空間。特に印象的なのが、センターコンソールに設置されたスマホ2台分のワイヤレス充電スペースです。


フローティングタイプのルーフレールは単なる機能部品ではなく、デザインの主役と言ってもいい存在です。    トヨタ自動車

これは海外製EVでよく見かける装備ですが、実際かなり便利で、長距離移動を前提にした使い勝手の良さを感じさせますね。ちなみにこれらはトレイルシーカーでも同様の装備を持っています。

結果として、ただのbZ4Xのワゴン版ではなく、『ツーリング』という名前にふさわしい付加価値を持った1台になっています。

EVにも『クルマらしい自由』を

これまでEVにアドベンチャーテイストのクルマが少なかった理由は、単純に『遠くへ行けなかった』からだと思います。航続距離が短く、充電時間も長い。だからEVはどうしても近距離用、街乗り用という発想になりやすかったのでしょう。

しかし今では、一充電で700kmをカタログスペックに掲げるクルマが多く登場し、急速充電性能も大きく進化。こうなると、EVの役割は大きく変わります。


トレイルシーカーのインテリア。トレンドである薄型のインパネに、14インチディスプレイ、2台分のスマホ非接触充電器など充実した装備で、長距離移動を想定した機能やデザインになっています。    スバル

週末に自然へ出かける。家族で長距離旅行に行く。キャンプ道具をたくさん積んで、趣味を楽しむ。そうした『クルマらしい自由』を、EVでも当たり前に楽しめるようになりそうです。この2台は、単なる新型車ではなく、EVの価値観そのものを変えていく存在なのかもしれませんね。