この記事をまとめると

■4代目インサイトの販売が決まった

■中国で販売されている「e:NS2」をベースに日本仕様にして販売される

■これから登場するホンダのEVへバトンをつなぐ橋渡し的なポジションを担う

4代目インサイトが目指すところとは

 2026年4月16日に正式発表された新型4代目ホンダ・インサイト。BEV(バッテリー式電気自動車)のミドルラージクロスオーバーSUVとして3度目の復活を果たす、その経緯と狙いは。そして日本での展開は。商品企画を担当した本田技研工業の小田建主任に聞いた。

──新型インサイトを日本へ導入することにした狙いは?

 小田さん:日本のホンダとしてもBEVのラインアップを拡充していくことが必要だと考えています。とくにこのアッパーミドルSUV市場の成長性を鑑み、かつグローバルリソースを活用してどのクルマが展開できるかを踏まえて、日本市場で「インサイト」という名で上陸させることを決めました。

──アッパーミドルSUVというカテゴリーは、市場のボリュームが大きいと。

 小田さん:そうですね。足もとでは軽BEV市場にN-ONE e:を投入しましたが、これからは軽ではない乗用BEV市場にも我々ホンダの存在感を作っていかなければならないということで、2番目に市場規模が大きいアッパーミドルSUVを投入することにしました。

──新型インサイトのベースとなったのは、中国向けの……。

 小田さん:e:NS2ですね。

──これを日本に導入しようと選んだ決め手は?

 小田さん:このインサイトがもっている商品性が、日本市場のニーズにも合うことと、グローバルリソースの稼働状況も踏まえて、選定しました。

──ホンダさんに限らず中国でのBEV販売の苦戦がいろんな所で報じられていますが……。

 小田さん:投資したリソースを最大限、ほかの市場でも活用していくという発想に基づいていますね。

──生産工場は?

 小田さん:武漢の工場で作られています。開発は広州のHMCT(本田技研科技(中国)有限公司)になります。

──「インサイト」という車名をこのモデルに使用したのはなぜでしょうか? インサイトは過去3代とも、先進性は高かったものの販売の面では伸び悩んだという印象があります。

 小田さん:我々としては、ガソリン車からハイブリッド車、ハイブリッド車からBEVへ、という転換点で歴史を刻んできたクルマですので、今回のBEV展開を踏まえて「インサイト」としました。いろいろ議論はありましたが、レガシーネームを作ることで、ホンダとしてもそうしたメッセージを伝えたいと考えました。

──ホンダさんのメッセージとしては、とくにどういう点を強調したいですか?

 小田さん:先日のビジネスアップデートでもお伝えしましたが、長期的に見るとカーボンニュートラルのためにはBEVが最適解ということもあります。ハイブリッド車を選ぶお客さまもいれば、BEVを選ぶお客さまもいると思いますので、後者の方にお乗りいただきたいと思っています。

ホンダのBEVがもつ魅力を広げるための1台

──2025年にN-VAN e:とN-ONE e:が発売され、2027年には「Honda 0 α」の日本やインドでの発売が予定されています。インサイトはその橋渡しというお話がありましたが、ターゲットユーザーはアーリーアダプターというよりむしろ保守的な層に感じました。

 小田さん:全体のパワープラットフォームの市場特性としては、まだまだBEVは過渡期、1%くらいなので、その時間軸においては早い(=アーリー)方々に選んでいただくことを考えています。

──e:NS2は中国では2024年に発売されていますが、その後に発売された「イエ」シリーズを導入してもよかったのでは……?

 小田さん:リソースと商品特性もそうですが、スピーディに日本へ投入する必要もあって、こちらを選びました。

──日本市場向けの変更点は?

 小田さん:法規対応の面でCHAdeMOと右ハンドルに対応しています。考え方としては、日本導入にあたっての工数を最小限にする、つまり開発のコストと期間をなるべく抑える前提で進めています。

──新型インサイトは1グレード・FFのみになるでしょうか?

 小田さん:はい。ただ、「Honda ON」というECサイトでは、ホワイト内装のものを専売します。

──3000台限定販売にしたのはなぜですか?

 小田さん:市場性や競合車の動向を踏まえて、そのように決定しました。

──裏を返すと、その3000台を売り切ったら別のBEVを日本へ導入する可能性があるんでしょうか?

 小田さん:現時点では考えておりません。その先は「Honda 0 α」になりますので。

──では本当に橋渡し役という位置付けなんですね。

 小田さん:ICV(内燃機関車)からBEVへの乗り換えを促すために、デザインや走りにICVのテイストを残している面もあります。

──「0」シリーズはBEVとして見ても新奇性がデザイン・メカニズムとも強いと感じられます。

 小田さん:「0」シリーズは移動体としてのクルマをゼロから見直したという大前提があります。一方でインサイトにはICVの要素が多く残っています。それぞれ求めるお客さまはいると思いますので、そういった意味を込めてBEVラインアップを拡充したいと考えました。

──新型インサイトのようにコンサバティブなBEVを今後ラインアップする予定はないということでしょうか?

 小田さん:現時点でお答えできませんが、2026年度にはSuper-ONEも投入しますので、市場動向を見ながら決めていきたいと思います。

──さらなるラインアップ拡大にも期待しています。ありがとうございました!