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急速に広まるAI。気がつけばさまざまなサービスにAI機能が追加されており、ネット検索感覚で日常的にAIに質問をしている人も増えています。

適応能力が高く、テックネイティブである若者はさぞかしAIを利用しているだろうと思いきや…。若者のAI使用率は頭打ち傾向にあるとする興味深い調査が公開されました。

そこには、将来への不安から、AIを完全に受け入れることも、逆に拒否することもできない若者たちの姿があります。

AIに感じるのは不安と怒り

世論調査を行うギャラップが、14歳から29歳、1500人以上を対象に行った最新調査を公開。2025年の同調査と比べ、若者世代のAI利用は大きな増加も減少もない横ばい状態にあることがわかりました。

若者世代でAI使用が増加していないことの背景にあるのは、AI技術がもたらす影響への不安。AIに対して若者が抱く感情トップは、不安と怒り。わくわくや希望という感情は調査では最下位となっています。

マイナス感情が去年より高まり、プラス感情が低くなっているのが今年の調査の特徴といえます。

若者世代の10人に4人は、AIの普及においてその影響力に不安を感じています。

AIを使わないと回答したうち60%がAIに不安を、2%が希望を感じると回答。また、AIを日々使うと回答した人でも、うち28%が不安を感じていると答えました。使う人の間では38%が希望も感じているのが、せめてもの救いかも。

AIが普及するにつれ、メンタルヘルス、戦争、政治、就職、環境といったさまざまな分野にAIが与える影響の報道が増えており、若者世代の空気感がシフトしたのもこれらの影響を受けていると思われます。いまだかつてない規模のAIデーターセンター建設に反対の声が増えているのも、同じ理由からでしょう。

AIが自殺を助長したというニュースは、とくに若者にとって大きなショックとなったでしょう。

また、企業のAI活用で、学校卒業後に初めて就くエントリーレベルの仕事が失われている、就職が難しくなっているというレポートも不安要素の1つ。現に、アイルランド政府は、若者の雇用低下とAI導入の関係性を指摘していますし、米FRBのパウエル議長もアメリカの新卒雇用率が低下しているのはAIに関連している可能性があると認めています。

となれば、若者がAIに不安と怒りを感じるのも当然のことと理解できます。

AIへの信頼低下

調査に回答したすでに就職済みの若者も、AIにいい印象をもつ人は多くありません。

38%がクリエイティブにおいてAIはメリットよりデメリットが多いと回答、42%は批判的思考においても同じだと回答しました。また、AIによって仕事がよりスピーディになると答えた人は去年よりも10%減少(一方で56%はできると回答)。AIによって学習スピードが高まると考える人も7%減って46%、過半数を下回りました。

また、AIへの信頼感も低下しており、回答者の大半が、AIのみで完成したものより人間の手によってできたものを信じると回答。

AI生成による仕事を100%信頼できると回答したのはたった3%でした。AIのサポートありで人間が作ったものを信じると回答したのは28%、人間のみで作り上げたものの方を好むと回答したのは69%。

調査で明らかになった若者世代のAIへの信頼低下。作業効率アピールだけでは、AI企業が今後成長していくのは難しいのかもしれません。

この世代はこれからの10年の大きな労働力となるため、ギャラップの調査は彼らのAI導入が業界全体のAI普及に大きく影響すると解説。テック企業は、AI関連にすでに何十億ドルという莫大な資金を投じているため、AI市場の成長が想定から大きく外れた場合、それはアメリカ経済の大コケを意味することになるかもしれません。

AI関連企業の中には、次の経済の担い手となる若者が抱くAIへの空気感をいち早く感じ取っている人もいます。

例えば、Nvidiaトップのジェンスン・フアンCEOは、AIによるフル自動化には大いに反対しており、企業経営陣が利益最大化のため雇用を停止する姿勢は信じがたいと批判しています。一方で、OpenAIは、AI活用で週休3日が可能と語っており、のん気というか、若者世代への危機感はまだ感じていないのかもしれません。

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