編隊を組んでアラビア海を航行する米空母エイブラハム・リンカーンなどの艦船/Petty Officer 1st Class Jesse Mo/US Navy via CNN Newsource

(CNN)イランとの戦争開始から6週間後、米国のトランプ大統領は海軍に対し、この紛争において最も困難な任務を与えた。それはイランの港湾の封鎖と、戦略的に重要なホルムズ海峡から同国製の機雷を除去することだ。

米中央軍(CENTCOM)によると、封鎖命令は13日午前10時(米東部時間)から、海峡内外のイランのすべての港湾に適用される。イランは戦争勃発以来、世界のエネルギー貿易にとって極めて重要な航路であるホルムズ海峡を支配下に置いている。

トランプ氏はこの任務の範囲がさらに拡大し、ペルシャ湾外にも及ぶ可能性があることを示唆した。

「私はまた、イランに通航料を支払った国際水域内のすべての船舶を捜索し、拿捕(だほ)するよう海軍に指示した。違法な通航料を支払う者は、公海を安全に航行することはできない」。トランプ氏は12日にそう述べ、イランが船舶に通航料を課す措置に言及した。

この作戦の目的は、エネルギー貿易からの資金の流れを断つことでイランへの圧力を最大限に高めることにある。しかし、この戦争に起因する世界的なエネルギー危機を解決するには、もう一つ困難な課題が待ち受けている。それはイランが敷設した機雷の除去だ。

トランプ氏は11日、海軍が海峡での掃海作戦を開始したと発表した。CENTCOMもこれを認め、ミサイル駆逐艦2隻が海峡に入り、「機雷除去のための環境整備」を開始したと述べた。

今回の作戦は、この紛争における戦場が空から海へと移行したことを示している。これまで、この紛争は主に空戦で行われてきた。開戦初期に米潜水艦がスリランカ沖でイラン海軍のフリゲート艦を撃沈したことはあったが、これは例外的な作戦だった。

空母から発進する海軍機も作戦に参加してきたが、トランプ氏が現在海軍に求めている任務は複雑さや危険度でこれらを上回る。

以下に、その内容を見ていこう。

封鎖とは何か

封鎖は軍事力による戦争と同様に、経済戦争の手段でもある。

「海戦法に関するニューポート・マニュアル」は、封鎖を「海上における密輸品の拿捕、および敵国の財産の拿捕または破壊」と定義している。

同マニュアルは、「これらの手段を通じ、敵国から輸出による経済的収入や輸入による利益を得る機会を奪う。こうした収入や利益は敵国の戦争遂行の支えとなる」と述べている。

封鎖を合法的に実施するには、以下の規則に従わなければならない。

・封鎖は宣言、通知されなければならない。つまり、影響を受ける可能性のある船舶に警告を発する必要がある。

・封鎖は効果的でなければならない。つまり、米国は封鎖を実施するための艦船と航空機を保有していなければならない。

・封鎖は公平でなければならない。つまり、どの国の船舶にも影響を与える必要がある。

・封鎖は民間人だけを標的にしてはならないが、民間人への被害は許容される。

・中立港へのアクセスを妨害してはならず、ホルムズ海峡のような海峡を封鎖してはならない。トランプ氏はイランと無関係の国際船舶の航行については同海峡は開放されていると述べている。

米国は効果的に実行できるのか

元米海軍大佐でアナリストのカール・シュスター氏は、イランの港湾を石油タンカーやその他の商船に対して封鎖することは、「手続き上は困難だが、米国が制海権を握っていれば現実的だ」と述べた。当該の港湾は、ほぼすべてがホルムズ海峡からペルシャ湾内に位置する。

しかし、米国は必ずしも制海権を握っているわけではない。

アナリストらの指摘によれば、イランは依然として機雷、ミサイル搭載可能な小型艇(数は不明)、水上ドローン(無人機)、空中ドローン、地上配備型巡航ミサイル、肩撃ち式対空ミサイルなどを用いて反撃する能力を持っている。肩撃ち式対空ミサイルは海上で船舶を護衛するヘリコプターや戦闘機を標的にできる。

韓国国防研究院の研究員で元韓国潜水艦士官のユ・ジフン氏は、イランが反撃手段を持っていることから、この封鎖は「高リスク」だと述べている。

「イランがこれを主権侵害、あるいは事実上の海上戦の拡大とみなせば、局地的な軍事衝突の可能性が高まるだろう」(ユ氏)

米退役海軍大将のジェームズ・スタブリディス氏は、CNNの取材に対し、国防総省はホルムズ海峡の入り口を哨戒するために、ペルシャ湾外に空母打撃群2個と水上艦艇約12隻が必要になると考えていると述べた。

ペルシャ湾内では、少なくとも米駆逐艦6隻に加え、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアといった米同盟国の海軍の支援が必要になると同氏は指摘。「海峡の両側を封じ込める必要がある」とした。

シュスター氏によると、米海軍は商船を制圧するために10〜14人からなる臨検チームを訓練している。各チームには「当直士官」がおり、乗船後には事実上商船の船長として行動し、「停泊地または港に誘導して拿捕する」。

しかし、これらすべてには時間がかかる。

シュスター氏によれば海峡内に配備されている米駆逐艦6隻のうち、2隻は臨検任務に投入され、残りの4隻はイランが阻止を試みた場合に備えて近距離に待機する。

上記の2隻の駆逐艦は合わせて1日に最大6隻の船舶を拿捕できる可能性があるという。

米・イスラエルのイラン攻撃以前、ホルムズ海峡は1日に約130隻の船舶が通過していた。世界の石油と天然ガスの約5分の1は同海峡を通って運ばれるとされる。

「海上捕獲法」とは何か

ローウィ国際政策研究所の非常勤研究員で、元オーストラリア海軍士官のジェニファー・パーカー氏は、イランの船舶輸送を阻止しようとする米国にとって、拿捕という手段が最も可能性の高い選択肢だと述べている。これは国際的な「海上捕獲法」に該当するという。

ニューポート・マニュアルによれば、「海上交戦国」は中立水域外において敵国の商船および貨物を拿捕することができる。また、「中立」商船が「密輸品を積載している場合」にも、臨検、捜索、進路変更、拿捕を行うことが可能だ。

海上捕獲法はさらに、中立商船が「敵の軍事行動または戦争遂行に効果的な貢献をしている」場合、場所を問わず軍事目標として攻撃され得るとも規定している。

「実際には(明言されているような)封鎖ではなく、むしろ海上捕獲法に基づく船舶への選択的な干渉によって航路に影響を与える公算が大きい。そこにはイランの支配力を弱め、経済的影響力を行使する狙いがある」とパーカー氏はX(旧ツイッター)に投稿した。

歴史的に封鎖は国家の沿岸近くで実施されてきたが、現代の諜報(ちょうほう)、捜索、偵察活動は、より遠距離での作戦を可能にしている。キングス・カレッジ・ロンドンの戦争戦略学教授、アレッシオ・パタラーノ氏はそう指摘する。

同氏によれば作戦をイランから遠く離れた場所で開始し、状況に応じて徐々に接近していくことも可能だという。そうした動きはイラン側の小型船舶や短距離兵器が優位性を発揮するのを当面阻止できると、同氏はみている。

機雷と掃海

開戦直後、米情報機関関係者2人がCNNに対し、イランがホルムズ海峡に少数の機雷を敷設し始めたと語った。

米駆逐艦2隻が週末に同海峡を通過したが、シュスター氏はこれらの艦艇が実際に機雷除去作業を行った公算は小さいと指摘。海峡通過はそうした航行が可能であり、機雷が敷設されていないことを示すための行動だった可能性が高いとした。

シュスター氏によれば実際の掃海作業は、水中ドローン、機雷掃海装置を搭載した沿岸戦闘艦、ヘリコプターによって行われる公算が大きい。また機雷には様々な種類があるため、米軍艦艇によって探知されなかったものや作動しなかったものがあった可能性もあるという。

イランが海峡に配備し得る機雷の種類は以下の通り。

・第2次世界大戦の映画で見られるような、スパイク付きの接触機雷。

・船舶が海水中を航行する際に発生する静電気によって起爆する感応機雷。

・船舶が水中を通過する際の水の「磁気特性」の変化に反応する磁気機雷。

・船舶が通過する際に発生する音に反応する音響機雷。

・破壊対象の船舶からの発生が想定される圧力に水圧が変化すると起爆する水圧機雷。

シュスター氏によると、上記の複数の種類を組み合わせた、特に対処困難な機雷も存在するという。

機雷の処理については、二つの主要な方法があるとシュスター氏は説明した。

係留式機雷の場合、掃海作業では機雷を海底に固定しているケーブルを切断する機構が用いられる。切断された機雷は水面に浮上し、そこで破壊される。

海底機雷の場合、掃海艇は船舶の音響、電気、磁気特性を模倣し、安全に爆破できる装置を曳航(えいこう)する。

しかし、シュスター氏によると、掃海技術は複雑な機雷や圧力機雷には効果がない。

これらの機雷は水中ドローンに搭載されたソナーや、ドローンまたはヘリコプターに搭載されたレーザーで探知することで、安全に破壊することができる。

アナリストらはまた、米国の掃海能力には限界があるとも指摘する。

米海軍は昨年、ペルシャ湾のバーレーンに配備されていた4隻の特殊掃海艇を退役させた。

掃海任務は機雷掃海装置を搭載した3隻の沿岸戦闘艦に引き継がれたが、これらの艦艇の所在は明らかにされていない。先月、そのうち2隻がシンガポールで目撃された。

アナリストらによると、ホルムズ海峡の機雷を徹底的に掃海するには、米国は自国の戦力以外にも目を向ける必要があるかもしれないという。

「米海軍はおそらく、従来の想定以上に同盟国や提携国に頼ることになるだろう」とパタラーノ氏は述べた。