<龍泉洞/岩手県>
水面がドラゴンブルーに輝く鍾乳洞。一番深い水深は98mで、吸い込まれそう(『60代から夢をかなえる ひとり旅』/すばる舎)

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さまざまなことから解放されたシニア女性の老後の新しい趣味として、最近注目を集めているのが「ひとり旅」。人気シニアブロガーのショコラさんも、67歳でパートをやめ年金暮らしに入った後、定期的におひとりさまツアーやひとり旅に出かけています。そんなひとり旅の写真とともに、ひとり旅を気楽に始める方法を提案した著書『60代から夢をかなえる ひとり旅』から、一部を抜粋して紹介します。

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想像以上に快適だった「ひとり参加」ツアー

67歳になり、ついにパート先を退職しました。仕事をやめたらあちこち行きたいと考えていた、いよいよ夢の実現です。

最初の行き先は岩手の龍泉洞でした。

施設に入居する90代の母に面会したときのこと。

母は、私たち子どもが独立した50代から70代の初めまで、年をとっても仲のいい自分のきょうだいたちと連れ立って、国内各地によく旅行に行っていました。


<龍泉洞/岩手県>天然記念物のコウモリが飛ぶのを見ながら。急階段の40分の道のり、別世界のような景色を堪能(『60代から夢をかなえる ひとり旅』/すばる舎)

仕事をやめ、どこかに旅行したいと思っていた私は、「今まで行ったなかで一番よかったところはどこ?」と、ふとした話の流れのなかで母に尋ねてみました。

「地底湖よ。東北のほうだったけれど、とにかく青い色がきれいで忘れられない。絶対行ったほうがいいよ」

それが母の返答でした。

え? 地底湖って何?

尋ね返しても、年老いた母は数十年前のことを詳しく憶えていません。ネットで検索したところ、岩手県にある龍泉洞のことだとわかりました。

早速、龍泉洞までの交通手段を調べましたが、東北新幹線の盛岡駅を降りた後は電車がなく、本数が少ないバス便があるだけ。

レンタカーを借りて、車で行く方法もありますが、すっかりペーパードライバーになった今、知らない土地でのひとりの運転はとても自信がない……。その後の移動も、宿泊場所を探すのが大変そう。 でも、調べてみた龍泉洞はとても魅力的で、なんとか行ってみたい。そこで、旅行会社のクラブツーリズム(クラツー)を利用することに。

ウェブサイトで龍泉洞へ行くツアーを検索したところ、「ひとり参加限定」のものがあり、これだ!と思い申し込みました。


『60代から夢をかなえる ひとり旅』(ショコラ:著/すばる舎)

今までにも友人たちと、何度かツアー旅行に参加したことはありましたが、ひとりで参加するのは初めて。様子がわからず不安がありました。集合場所の東京駅で、添乗員さんが持っている旗を見つけたとき、ホッとしたのを憶えています。

参加者は11名。女性8名、男性3名でした。9月の平日だったので、参加者は全員同年輩のシニア層。

ある女性は、70歳を記念して、初めてひとり参加ツアーに参加したとのこと。

奥様に先立たれ、年金生活で普段は質素に暮らしながら、時々ひとり参加のツアーに参加しているという、80歳の男性も。

また、リタイア後の同年代の男性は、ツアーは移動の交通もホテルも自分では何もせず、目的地に連れて行ってもらえるのがラクで、いろいろなところへツアーを利用して行っているそう。

反面、ツアーは時間に縛られ、自由がきかないところがある。だから、ツアーで行ってよかったところは、その後ひとりでまた行って、ゆっくり旅行している……そんな話も聞き、お金があればそういう使い方もあるのだな、と印象深かったです。


<三陸鉄道/岩手県>岩手県の沿岸部を縦断する、レトロな車両の鉄道。テーブルのある居心地のよい席から海や山を眺めて(『60代から夢をかなえる ひとり旅』/すばる舎)

ひとり参加限定ツアーでは、集合場所から全員が初対面。

たがいに名前を名乗ることもなく、バス席はひとりで2席分利用、部屋はもちろんひとり1部屋。プライバシーは保たれています。

食事だけは4人テーブルにつきましたが、話がはずんで、楽しい時間を過ごせました。 観光先では、集合時間までひとりでめぐるのもよし、誰かと一緒に回るのもよしと、ひとり旅のような気楽さもあります。

帰宅後、龍泉洞で撮った写真をプリントアウトし、施設にいる母に見せると、「そうよ! ここよ。地底湖だわ、懐かしい」と。

数十年前の高齢者は、携帯どころかカメラも持たず、そのときの写真が残っていませんでした。洞窟のなかの記憶がよみがえったようで、とても喜んでくれたこと、母が見たのと同じ風景を見られたことが私もうれしかったです。

このツアーは「ひとり参加限定」で、再度の利用はしていないのですが、他にも「ひとり参加可能」ツアーがあり、こちらは国内、海外と2回参加しました。

この経験から「ひとり参加限定」と「ひとり参加可能」のツアーの違い、メリットとデメリットを自分なりに感じています。

この先も、ツアーとの二刀流でひとり旅を楽しみたいと思います。

※本稿は、『60代から夢をかなえる ひとり旅』(ショコラ:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。