9試合ぶりにスタメン復帰を果たした朴。試合は敗戦も、特長を発揮した。写真:永島裕基

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[J1百年構想リーグEAST第10節]横浜FM 1−3 FC東京/4月11日/日産スタジアム

 9試合ぶりのスタメン復帰。彼がいるといないでは、やはり違う。

 ビルドアップの技術、ハイラインを敷く守備陣の背後のケア、ピッチ内で積極的にコミュニケーションを取るリーダーシップ。FC東京戦は横浜F・マリノスのGK朴一圭の特長が際立っていた。

 特に目を引いたのが、ゲームコントロール能力だ。立ち上がり、横浜FMはロングボールを使って相手の背後を取り、何度か決定機を作った。そのなかで朴は的確な指示を送ると同時に、攻撃のスイッチを入れていた。

 例えば12分の場面。横浜FMは最終ラインからビルドアップで前進を試みるが、FC東京のハイプレスを回避するため、左SBの加藤蓮が朴にバックパスをする。すると、右足のアウトでトラップした背番号1は、前線に動けと言わんばかりのジェスチャーをしながら、右CBの井上太聖に横パスを送る。そして井上のロングフィードから、最後は天野純が決定機を迎えた。

 22分に天野のシュートがクロスバーを叩いたシーンも、始まりは朴から。この時は攻め込まれていて、谷村海那以外の全員がペナルティエリアまで戻っていた。その状況を見た守護神は、キャッチしたボールを足もとに落としてゲームを落ち着かせ、時間を作る。これがあったからこそ山根陸と渡辺皓太、天野らが空いたスペースを見つけられただろうし、彼らのパス交換から好機に繋がったのだろう。
 
「僕自身、ゲームを作ったり、流れを読むことには長けていると思っているので、今の状況で何をすると良い方向に回るのか。それを感じ取って、その時々でプレースタイルを少し変えています」

 そう語る朴は、さらにこう続ける。

「アグレッシブなスタイルは、チームメイトに勇気を与えられると思っているんです。だから僕は、背後にボールを出されたら勇気を持って前に出ていく。そうすると(守備陣は僕の前で)潰しにいきやすくなるし、限定しやすくもなる。(アグレッシブさが)与えられるものは大きいと思うんですよね。自分が試合に出た時にどうしたらチームが勝てるか、どうしたらチームメイトが自信を持ってプレーできるか、常に考えながらやっています」

 FC町田ゼルビアとの開幕戦で右膝を負傷した朴は、約1か月半の離脱を余儀なくされた。第8節・川崎フロンターレ戦でベンチ入りし、前節の柏レイソル戦は途中交代で公式戦復帰を果たしたが、その間に外からチームを見て、感じたこともあったようだ。

「外から見ていて、チーム全体としてアグレッシブさや強気なプレーが多くないなと感じていました。だから僕が試合に出た時は、そういうプレーをしやすいような環境を作ってあげたい。ミスをしても大丈夫というのも含めて発信することは、今日は特に意識してやりました。もちろん普段の練習から意識してやっていますけど、それが僕の持ち味ですし、改めて僕がチームに還元できるところだと思いますから」

 ただ、結果は1−3で敗戦。手応えのあるシーンが作れたとしても、それを勝利に繋げなければならないのがプロの世界。「間違いなくポジティブな方向に進んでいる」からこそ、朴も「結果がすべて」と強調する。

「今日はプラン通りだったし、狙い通りだった。でも、それを結果に繋げていかないと本当の意味での自信にならないし、消化不良のような感じになってしまう。結果を求めていきたい」

 朴の負傷離脱以降、ゴールを守ってきた木村凌也とは特長が異なり、それぞれの良さがある。ただ、36歳のベテラン守護神の存在の大きさを、改めて知る試合だったとも言えるだろう。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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