年金なんて、あてにならない…NISAで月10万円投資する〈手取り26万円〉28歳男性、極端な節約生活の代償は「誰からもLINEが来ない毎日」
将来の不安から手元資金がカツカツになるまでNISAに投資してしまう「NISA貧乏」が、若者の間で問題になっています。Aさん(28歳)も、給料の大部分を投資に回し、交際費を削った結果、友人たちから距離を置かれてしまいました。数十年後の資産形成と引き換えに、今を犠牲にして節約生活を続ける20代男性の事例を紹介します。
毎月10万円のNISA投資と極端な節約生活
「給料が大きく上がる見込みもないし、どうせ将来もらえる年金なんてあてになりません」
都内の中堅企業で働くAさん(28歳)は、独身で一人暮らしをしています。毎月の手取りは約26万円。家賃や光熱費などの生活費を差し引いた残りのお金のうち、毎月10万円をNISAの積み立て投資に回しています。
Aさんが投資に熱中するようになったのは、SNSで目にした「若いうちから投資を始めれば、複利の力で将来1億円も夢ではない」という言葉がきっかけでした。
「今のうちに自分の力で資産を作っておかないと老後に不安が残る」と考え、投資資金を捻出するために日々の生活を切り詰め始めました。
食事は自炊かスーパーの惣菜で済ませ、職場の同僚からのランチの誘いも断る生活を続けています。
加速する資産形成の代償
なかでも、Aさんが大きく削ったのが交際費です。
「1回飲みに行けば、少なくとも5,000円はかかります。それを年利5%で30年運用すれば約2万円になりますから」
そう考えると、友人からの誘いに乗るのがもったいなく感じてしまい、「お金がない」「仕事が忙しい」と理由をつけては断り続けるようになりました。最初は笑って許してくれていた友人たちも、次第に声をかけてこなくなったといいます。
気がつけば、LINEの通知が来ることはほとんどなくなり、職場でも少し浮いた存在になってしまいました。
「SNSを開くと、同年代の友人たちが旅行に行ったり、食事を楽しんだりしている写真が目に入ります。それを見るたびに、孤独感に襲われるんです」
数十年後にお金持ちになれたとしても、そのときに喜びを分かち合える友人が一人もいなかったら意味がないのではないか。最近はそんな考えが頭をよぎるといいます。
それでも、一度設定した積立額を減らすのは将来の安心を手放すようで怖く、Aさんは今も孤独な節約生活を続けています。
今の生活を犠牲にせず資産形成するには
Aさんのように、将来への不安から過度に資金を投資へ回し、日々の生活や人間関係が貧しくなってしまう、いわゆる「NISA貧乏」が若年層で増加しています。
金融庁の「NISA口座の利用状況調査」によると、2025年12月末時点でNISAの口座数は約2,825万口座に達し、前年比10.4%増となりました。非課税制度を活用した資産形成が、若い世代にも急速に広がっていることがわかります。
一方で、若者のリアルな懐事情は少し窮屈になっているようです。SMBCコンシューマーファイナンス株式会社の「20代の金銭感覚についての意識調査」では、20代のお小遣いの平均は3万4,605円で、前回調査より2,491円減少しています。生活費以外に使っている金額も1万6,827円と2,200円減少しました。その反面、貯蓄額の平均は69万円と13万円の増加を見せています。
物価高も相まって、交際費や娯楽費を削ってでも将来への備えに回す若者の姿がデータからも読み取れます。資産形成の意識が高いことは素晴らしいですが、過度な節約は精神的な余裕を奪い、孤立を招く危険性があります。
投資は未来を豊かにするためのものですが、20代の今しかできない経験や友人との交流にお金を使うことも、人生における重要な投資といえます。NISAを利用する際は、現在の生活の満足度を落とさない適正なバランスを見極めることが大切でしょう。
[参考資料]
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社「20代の金銭感覚についての意識調査 2025」
金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点(速報値))」
