リーナス・トーバルズの後任を決める緊急時対応計画をLinuxカーネル開発コミュニティが策定、ファイル名は「コンクラーベ」

Linuxカーネルの開発プロジェクトでは、1991年のLinux誕生から34年以上にわたってリーナス・トーバルズ氏が中心的役割を担い続けています。そんな中、トーバルズ氏から後任者へのスムーズな移行が不可能になった際の緊急対応計画が明文化され、2026年1月25日に「conclave.rst」というファイル名で公式リポジトリにマージされました。
linux/Documentation/process/conclave.rst at master · torvalds/linux · GitHub

Linuxカーネルの開発プロジェクトは広く分散して100人以上のメンテナーによって管理されているものの、メインリポジトリにマージされるにはトーバルズ氏の最終チェックを通過する必要があります。この管理体制からトーバルズ氏は「優しい終身の独裁者」とも呼ばれています。
トーバルズ氏は非常に強い言葉を使うことでも知られており、2025年にもテストコードを汚物呼ばわりしたことや「Gitコミット時にクソみたいなリンクをつけるな」というメッセージを送信したことが話題になっていました。
トーバルズ氏は1969年生まれの56歳で、今後もLinuxカーネルの開発に関わり続ける姿勢を示しています。しかし、トーバルズ氏の引退はいつか必ず訪れることとなるため、引退に備えて中心人物の移行手順が議論されています。
2025年12月に開催されたメンテナーサミットでは、メンテナーの1人であるダン・ウィリアムズ氏によって「トーバルズ氏から別の人物へのスムーズな移行が妨げられた場合の移行プロセス」が提案されました。このプロセスが文書化され、2026年1月25日にメインリポジトリにマージされたというわけです。
2025 Maintainers Summit development process discussions [LWN.net]
https://lwn.net/Articles/1050179/

移行プロセスを記したファイルはカトリック教会の教皇を決めるコンクラーベにちなんで「conclave.rst」と名付けられています。conclave.rstで明文化された「1名以上の後任者を決定する手順」は以下の通り。
・72時間以内に「直近のメンテナーサミットの主催者」もしくは「Linux FoundationのTechnical Advisory Board(TAB)の議長」が直近のメンテナーサミットの招待者との会議を開始する。会議はオンラインもしくは対面形式で実施する。参加人数を最大化するために可能な限り早く日程を設定する。
・過去15カ月間にメンテナーサミットが開催されなかった場合、会議の参加者はTABによって決定される。
・会議に招待された者は必要に応じて他のメンテナーを同席させることができる。
・会議の議長は「直近のメンテナーサミットの主催者」もしくは「TABの議長」が務める。議長はプロジェクトとコミュニティの長期的な健全性を最大限に高めるという目的に沿って、トップレベルカーネルリポジトリの継続的な管理計画を検討する。
・次のステップに関する情報をメーリングリストを通じて2週間以内にコミュニティへ伝える。
また、Linux FoundationにはTABの指示に従って移行計画のサポートおよび実装を担うことが求められています。
