やっぱりNAと思わせてくれるモデルも少数ながら存在!

 最近の主流といえば、排気量を小さくしながらターボを使って出力をカバーするダウンサイジングターボや、モーターでパワーをアシストするハイブリッドが一般的だ。環境問題に目を向ければやむを得ない話ではあるが、そのなかでもNAエンジンで頑張っているモデルも少数ではあるが存在している。さすがに昔のようにノーマルで8000回転オーバーまでブン回るような高回転型エンジンは存在しないが、回転の上昇とともにパワーが出てくるエンジンらしいエンジンを搭載したモデルをご紹介しよう。

1)トヨタ86/スバルBRZ

 フロントエンジンリヤドライブでNAエンジンを搭載するという、ある意味古典的なレイアウトを採用するのが86/BRZだ。スバル製のFA20型2リッターの水平対向4気筒エンジンは7000回転で207馬力を発生するもの(MT車)で、ハイパワーなターボ車に比べると大人しく思えるスペックではあるが、リッター100馬力を達成しているれっきとしたスポーツエンジンと言えるだろう。

 登場からまもなく8年が経過し、チューニングも熟成の域に入りつつあり、ターボ化やスーパーチャージャーといった過給機チューンだけではなく、NAのままメカチューンを進めていくにも面白いモデルとなっている。これだけ幅広いチューニングがあるのも愛されている証拠なのかもしれない。

2)日産マーチ NISMO S/ノート NISMO S

 日産のベーシックなコンパクトカーであるマーチやノートをベースに、本格的なスポーツモデルへと昇華させたのが、NISMO Sシリーズとなる。もともと1.2リッターエンジンを搭載する両車だが、マーチには1.5リッター、ノートには1.6リッターのNAエンジンを搭載し、ベース車にはラインアップされない5速MTと組み合わせている。

 車検証に「改」の文字が入ることからもわかるように、メーカー純正ながらエンジンを載せ替えたモデルとなっており、車体のプレートには「HR12DE」の文字が残っている。もちろん、ただエンジンを載せ替えただけではなく、専用のチューニングが施されており、まさにディーラーで買えるゴリゴリのチューニングカーと言っても過言ではない。

3.7リッターの大排気量NA車が400万円未満!

3)マツダ・ロードスター

 世界でもっとも売れたコンパクトオープン2シーターであるマツダ・ロードスター。4世代となる現行モデルは、排気量を1.5リッターへとダウンさせ(海外モデルやRFは2リッターだが)、より使いきれるエンジンを搭載したモデルとなっている。

 パワーこそ132馬力と特筆すべきものではないが、レッドゾーンまで淀みなく吹き上がる感覚は「気持ちいい」の一言に尽きる。持て余す大パワーよりも使い切れるエンジンのほうが乗っていて楽しいということを改めて実感させてくれる1台だ。

4)日産フェアレディZ

 使い切れるエンジンの楽しさを力説した後で紹介するのは少々心苦しいが、大排気量NAエンジンの醍醐味というのもまたいいものだ、と思わせてくれるのがフェアレディZに搭載されるVQ37VHR型エンジンである。

 3.7リッターという大排気量ながら、最高出力の336馬力を7000回転で発生する高回転寄りのエンジンは、回転の上昇と共にパワーが盛り上がる典型的なもの。

 すでに登場から10年以上が経過しているが、国産車のなかでは直接的なライバルが不在ということもあり、未だに高い魅力を放っている。何より、ここまでハイスペックなモデルが400万円を切る価格で購入できるという点が驚きだ。