「小中学校の図書館の充実に」と国の交付金、でも本の購入に使われたのは6割…社会保障費など優先し後回しになったか
公立小中学校にある学校図書館の充実に向け、国が2024年度に図書購入費として計上した地方交付税交付金199億円のうち、実際に図書購入に使われたのは6割強の127億円にとどまったことが文部科学省の調査でわかった。
社会保障費や学校のデジタル化への対応などを優先し、学校図書館への予算配分を後回しにしている自治体も多いとみられる。

子どもの読書活動の活性化などを目的に、国は1993年度から「学校図書館図書整備5か年計画」を策定し、必要な予算を自治体に交付している。2022〜26年度の第6次計画では、公立(市区町村立や都道府県立など)の小中学校で、学校司書の配置など学校図書館を充実させるため、5年間で2400億円を財政措置。このうち図書購入費は995億円で、単年度では199億円となる。
文科省が全国の自治体に24年度の図書購入費の決算額を尋ねたところ、図書購入に使われたのは計127億円にとどまり、地方交付税で計上した199億円の64%だった。
地方交付税の使途は国が指定できず、自治体の判断に委ねられている。青森県のある自治体の担当者は「学校関連だけでも、学習用端末のトラブルなどに対応するICT支援員の配置などを優先しなければならず、とても図書の購入まで予算を回せない」と明かす。
自治体による図書購入費の割合は、第5次計画(17〜21年度)期間中は毎年度60%前後だった。21年度までは都道府県立学校が調査対象外で単純比較はできないが、図書購入費に予算が十分に行き渡っていない傾向が続いている。
文科省は、学校規模に応じた蔵書数の目安「学校図書館図書標準」を設定している。例えば18学級ある小学校なら約1万冊が必要だ。19年度末時点で、同標準を達成していた学校の割合は小学校71%、中学校で61%だった。
文科省は今後、27年度以降の第7次計画を策定し、学校図書館の充実を進めていく方針だ。
青山学院大学の野口武悟教授(図書館情報学)は「調査結果は、子どもの読書推進を巡る自治体間の姿勢の二極化の表れだろう。国は、図書購入に使途を特定した予算措置など、自治体任せにしない仕組みも検討すべきではないか。良書を選び、児童生徒の学習につなげていく学校司書の配置推進もカギになる」と指摘する。
