〜 2025年度 上場企業「早期・希望退職募集」状況 〜

 2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。
 2025年度の「早期・希望退職」は、パナソニックHDや三菱電機、三菱ケミカル、シャープなど、大手メーカーの大型募集が相次いだ。特に、実施した企業は直近決算で黒字が約7割に達し、業績が堅調な企業ほど将来の事業転換や人員構成などを見越した「黒字リストラ」に早期に着手していることが特徴となった。

 2025年度の大きな特徴となった「黒字リストラ」は、パナソニックHDのほか、三菱電機、三菱ケミカルグループ、明治HD、ソニーグループ、住友重機械工業、THKなど名門企業が名を連ねる。 
 従来の業績悪化による人員削減と異なり、2025年は好業績の企業で大幅な人員削減が相次いだ。中高年を対象にした募集が加速し、三菱ケミカルグループは50歳以上の1,273人、明治HDは50歳以上の44人が応募した。また、シャープはことし2月、鴻海精密工業に売却を予定していた亀山第2工場の譲渡が不成立になったことに伴い、工場は生産を停止し、対象の従業員1,170人に社外転進支援プログラムを実施している。製造業は競争力強化が急務で、事業改革に追われている。
 各業界を代表する企業でも賃上げが広がり、将来性が乏しい事業部門の大胆な見直しや新規事業への進出が不可欠になっている。さらに、東京商工リサーチが4月に実施したアンケート調査では、大企業の59.1%が生成AIを組織的に活用しており、今後は事務職、管理職を対象にした「AIウォッシング」の広がりも懸念される。このため、今後も製造業を中心に、他産業でも事業計画や人員構成の見直しによる「早期・希望退職」募集の動きは広がるとみられる。
※ 本調査は、早期・希望退職募集の具体的な内容を確認できた上場企業を対象に集計した。
※ 『会社情報に関する適時開示資料』など東京商工リサーチの独自調査に基づく。


電気機器が最多

 業種別では、パナソニックHDや、ネクストステージ支援制度特別措置で4,700人の応募が見込まれる三菱電機、亀山第2工場の生産停止に伴い、1,170人の従業員に対して社外転進支援プログラムを実施しているシャープなど、電気機器が15社(前年度18社)で、全体の3割(構成比32.6%)を占めた。



市場区分別 46社中、36社がプライム

 「早期・希望退職募集」が判明した上場46社の市場区分は、東証プライムが36社で、約8割(構成比78.2%)を占めた。東証スタンダードは9社(同19.5%)だった。
 市場区分別の募集人数は、東証プライムが2万23人で2025年度の募集人数の96.3%を占めた。



損益別 黒字企業が約7割

 「早期・希望退職募集」を実施した46社の直近決算期の最終損益(単体)は、黒字32社(構成比69.5%)、赤字14社(同30.4%)で、黒字が約7割を占めた。
 黒字企業の募集人数は1万6,908人で、全体の8割(同81.3%)を超えた。赤字14社の募集人数は3,873人で、ジャパンディスプレイやJUKI、シャープなど。