【解説】高市政権、改憲意欲の“ウラ側” 来年は総裁選…憲法改正の発議時期が長期政権のカギに?
参議院自民党は22日、憲法改正の実現に向けた議員連盟を設立しました。改正の発議に向け議論を加速させたい狙いです。
日本テレビ政治部官邸キャップの矢岡亮一郎記者が、高市政権で憲法改正がどうなるのか、そのオモテとウラ側を解説します。
■自民党の掲げる憲法改正“4項目”

──まずオモテの動きとして、22日に「憲法改正実現議員連盟」が設立されました。自民党はすでに改憲案を提案していますが、どの部分に重きを置いているのでしょうか。
自民党は、4項目挙げています。まずは、【1】憲法9条への「自衛隊の明記」、そして【2】大規模災害などが起きた時に、内閣の権限を強化する「緊急事態条項」の創設、さらに、【3】選挙での「1票の格差」を是正するため、2つの県を1つの選挙区にする「合区」を解消すること、【4】教育環境の充実、の4つを挙げています。
国会の憲法審査会では、衆議院では、「緊急事態条項」、参議院では「合区の解消」が優先項目、という流れができつつあります。
■高市首相 “来春までに憲法改正発議にメド”

──憲法改正に向けて高市首相はどういうスケジュールを考えているんでしょうか?
高市首相は、来年の春までに憲法改正の「発議」、つまり国会で憲法改正案を通し、国民投票を行うことにメドをつけたい、と話しています。ただ、憲法改正の「発議」には、国会の3分の2以上の賛成、さらに、改正するには、その後の国民投票で過半数の賛成を得ることが条件になります。
■NNN・読売新聞4月世論調査では…6割の人が評価

──国民投票で過半数の賛成というのはハードルが高そうですね。
実は、私たちが今月、実施した世論調査では、高市首相が来年の春までに憲法改正の発議のメドを立てたいとしていることを6割の人が評価しています。ただ、この調査は、先ほどお伝えした4つのどの項目を改正するかは具体的には尋ねていません。
自民党のベテラン議員は、今回の6割が発議賛成とした結果を「高市首相に世の中を何とか変えて欲しいという漠然とした期待の表れ」だと分析していました。
■総裁選前に憲法改正を発議なら「無投票再選」も?

──では、国会での発議、国民投票とスムーズに進むと、来年、憲法改正が実現することもあるということですか?
いえ、そう簡単ではなさそうです。この点、22日に首相周辺に話を聞きました。「国民投票で憲法改正できるかは、高市政権の支持率とも密接に絡む」と話していました。
ここからがウラ側です。ある自民党の中堅議員は、「来年は、憲法改正の発議と総裁選がある。この2つのどちらが先かが、高市政権が長期政権になるかを決めるカギになる」とも話しています。
──どういうことですか?
来年は、自民党の総裁選挙が行われます。高市総裁の任期は9月ですので、この前に憲法改正を発議できれば、発議にこぎつけた歴史的な総裁として、党内での求心力も高まり、「無投票再選」、つまり、高市首相以外は誰も総裁選に出ず、投票なしで続投が確実になる、というわけなんです。そして、長期政権を見据えた高市首相にとってポイントとなるのが、党内での仲間作りです。
■党内での仲間作り…“夜の会合増やす必要ない”との声も

高市首相は、21日夜、自身が暮らす首相公邸に自民党の議員を招いて予算成立の慰労会を開きました。就任後、初めての夜の会合でした。政権幹部の一人は、「様々なパイプを作るためにも今後、夜の会合は増やしていく」と話しています。
──高市首相は飲み会が苦手だと話していましたが、その必要性を感じているということですね。
そうなんです。ただ、首相周辺は、「高市人気の源は、永田町の香りがしないこと。夜の会合を増やして国民から『高市さんもやっぱり永田町の人間だった』となれば、支持率は落ちていく」と夜の会合を増やす必要はない、と話していました。
高市首相人気が、憲法改正の機運を高めている一方で、長期政権を見据えた党内での仲間作りは、その人気に影を落としかねず、高市首相にとって、ジレンマになりそうです。