男子5000メートルで総合7位に入った早大の鈴木琉胤(左)と同9位の増子陽太=佐伯文人撮影

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 春が来て、陸上界はトラックシーズンに突入した。

 4月11日には熊本市で、日本グランプリシリーズ第1戦の金栗記念選抜中長距離大会が開催された。箱根駅伝の創始者・金栗四三(かなくりしそう)の名を冠したレースで、打倒青学大を目指す各チームのキーマンたちが、躍動した。(編集委員 近藤雄二)

実業団トップランナーと真っ向勝負

 メインイベントとなった男子5000メートル最終第4組で、闘志あふれる走りを見せたのが、早大の超大型1、2年生コンビだった。

 今年の箱根駅伝4区区間賞の鈴木琉胤(るい)(2年)と、昨年の全国高校駅伝1区区間賞の増子(ましこ)陽太(1年、福島・学法石川高)。外国勢を含む実業団のトップランナーに、臆せず挑んだ。

 スタート直後から集団前方に陣取った。3番手に増子が、その背後に鈴木がつく。2500メートル過ぎ、外国勢など3人が不意をついて集団から抜けだし、一時は10番手付近まで下がったが、そこからしっかり粘った。

 増子の先導で前を追い、ラスト200メートルで鈴木がスパート。鈴木が13分20秒64の自己新で日本人2番手の総合7位に入ると、総合9位の増子は13分22秒87のU20日本新をマークした。

 鈴木はルーキーイヤーだった昨季、日本選手権5000メートルで学生トップの10位、箱根4区ではイエゴン・ビンセント(東京国際大)の区間記録へ1秒差に迫る日本人歴代トップと大物ぶりを発揮した。ただ、今年3月の1500メートルと3000メートルのレースでは、一緒に走った増子に先着を許していた。

「ゆくゆくは12分台を」

 鈴木は「3連敗を阻止したかったのでほっとしています。ちょっと(後ろについて)大人げなかったですけど」と照れ笑いし、「今年は13分20秒台を安定して出せるようにして、その中で13分10秒台、ゆくゆくは12分台を狙っていく土台作りをしたい」と語った。

 増子は昨年12月の全国高校駅伝1区で、鈴木の持っていた日本人最高記録を23秒も上回る28分20秒をマークした逸材。同じ1区で2位だった新妻遼己(はるき)(兵庫・西脇工高)、3位の本田桜二郎(鳥取・鳥取城北高)と共に早大入りした、超高校級トリオのリーダー格だ。

 その実績通り、大学デビュー戦も快記録で飾ってみせた増子は「U20日本記録は自信になった。まだまだ試合はあるので、どこまで記録を伸ばせるか頑張りたい」。豊かな潜在能力は、まったく底知れない。

 この日の日本人トップは、今年の箱根で2区4位と好走した早大OB、山口智規(とものり)(SGホールディングス)の総合4位だった。今季の「早大勢」の躍進を、予感させるレースとなった。

中央大・藤田大智が新主将の意地

 5000メートルでは、第3組に出場した箱根勢も好走した。箱根1区2位だった中大の藤田大智(4年)が13分28秒93、6区区間賞だった創価大の小池莉希(4年)が13分29秒09と、いずれも自己新をマーク。ゴール目前で小池を抜き去った、新主将の藤田は「今季は勝負にこだわりたいので、最後に小池君に勝ち切れたのは大きい。中大は速さはあるが強さが課題。自分が強さを体現できる存在になり、チームを引っ張っていきたい」と誓った。

帝京大・楠岡由浩は1万mで優勝

 男子1万メートルでは、学生唯一の出場だった帝京大の楠岡由浩(4年)が快走した。

 8人出場の少人数レースで、ペースが上がらないと見ると、迷うことなく4000メートル付近で先頭へ。地元・熊本の熱い声援を背に、独走でハイペースを刻み、最後までトップを守って優勝した。

 昨季は全日本大学駅伝2区で区間賞を獲得し、1万メートルでは帝京大初の27分台を出すなど急成長。しかし、満を持して挑んだ箱根の2区では、6キロ付近で右足底を痛める不運に見舞われ、区間20位に沈んだ。その影響もあってチームは往路17位。しかし、復路で驚異の挽回を見せ、9位でシード権をもぎ取った。

 「僕のブレーキで苦しくなった中、皆が諦めずにシード権を獲得したことに勇気づけられた。次回は自分がリベンジして過去最高の3位を実現したい。そのためにも、今日、独走で勝ち切れたことは自信になった」

 トラックシーズンのプロローグで、確かな存在感を示した箱根のキーマンたち。今後本格化する今季のトラックレースでも、さらに多くの学生ランナーが、大暴れしてくれるのかもしれない。