「コンクリートから人へ」が招いた道路陥没の連鎖。全国で年間1万件超…“八潮市の悲劇”が繰り返される危険性
◆「コンクリートから人へ」が残した負の遺産
国土交通省が昨年末に公表したデータによると、’24年は9866件、’23年は1万2209件も全国で道路の陥没が発生している。なぜ全国的にインフラの整備が追いついていないのか。世田谷区の発注工事や公共工事を施工する株式会社マモルの代表取締役を務める新舘豊晃氏は、次のように語る。
さらに、少子化の影響による工業高校や工業大学の閉鎖も相まって、技術者不足が深刻化しています。ライバル会社の動向は常にチェックしていますが、技術者が増えた会社はありません。むしろ減っている会社のほうが多い。うちのように規模が小さい会社だと、言葉の壁の問題から外国人労働者を増やすのも難しいんです」
◆世田谷区でも公共工事の入札不調が発生
人手不足で起こっているのが、公共工事の入札不調だ。官公庁や自治体が行う入札で落札者が決まらず、契約が成立しないケースが発生しているという。
「不調案件は世田谷区でも増えています。人手不足の問題は大いにありますが、資材が高騰していて予算や工期が厳しいことも多い。近隣住民の暮らしを考えると担いたいのはやまやまなのですが、採算がとれない現場は断らざるを得ない状況です。社員やその家族の生活がありますから……」
◆ひび割れた道路や古い橋は注意
では、どのような道路が危険なのだろうか?
「クラックと呼ばれるひび割れが発生している場所には近づかないほうが無難です。クラックから水が入り込むと、土がぐちゃぐちゃになって陥没が起こる危険があります」
また、古い橋にも注意が必要とのこと。
「古い橋といっても、修繕工事や耐震補強をやっていれば事故が起こりにくいのですが、全国的には工事が進んでない橋も残っています。特に地方では、自治体ですら橋の状況を正確に把握できていない可能性もあるので、放置されているような橋を渡るのは避けるべきです」
◆老朽化するインフラの管理や修繕は急務だが…
国土交通省は、高度成長期以降に整備された道路橋やトンネル、河川、下水道、港湾等について、2040年までに建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなると公表している。老朽化するインフラの管理や修繕は急務だが、住民に心無い言葉を浴びせられることもあるという。
「『公共事業=税金泥棒』だと信じている方は少なくありません。工事を行っていると、『なんでやるんだ』『いつまでやっているんだ』と詰め寄ってくる方もいます。また、騒音にはできるだけ注意を払っていますが、『うるさい』と注意されることもありますね。
ですが、公共事業はどれも必要に応じて行われていますし、特に修繕工事を行わないと事故が起きてしまうかもしれません。事故を未然に防ぐためにも必要なことなので、多くの方に現場で起こっている問題や課題を知ってもらえるとうれしいです」
【黒田知道】
