衆院選挙制度 定数削減ありきの姿勢改めよ
「身を切る改革」という聞こえの良いキャッチフレーズにとらわれて、多様化する民意を集約して国政に反映させるという国会議員の役割を軽視していると言わざるを得ない。
与野党は立法府のあり方を熟慮し、衆院選挙制度の改革について論じ合う必要がある。優先すべきは、定数削減ではない。
1月の衆院解散で中断していた、衆院選挙制度に関する与野党協議会が議論を再開した。
自民党は、衆院定数(465)の1割を削減する法案を今国会に提出する意向を示した。日本維新の会は、45議席を削減すべきだと主張した。両党は比例選だけで45議席を減らす案を検討中だが、協議会の場では言及しなかった。
一方、中道改革連合や国民民主党などは、定数削減は制度改革と一体で検討するよう求めた。
そもそもこの協議会は、1票の格差を是正しつつ、地方選出の議員数を確保する方策を探るため、昨年1月に始まった。各党からは比例代表制や中選挙区制が提案されたが、議論が進んでいない。
定数削減が唐突に議題となったのは、維新が強く主張して、今の連立政権の合意に盛り込んだのがきっかけだ。
だが、日本の国会議員数は今でも主要国と比べて少ない。いたずらに削減すれば、国民の声は国政に届きにくくなる。定数削減の主張は、国民の代表だという自分たちの役割を否定するに等しい。
2000年の衆院選前は500議席あった衆院定数は465議席にまで削減された。現在、議員の多くが複数の委員会を掛け持ちしている。さらに定数を減らせば掛け持ちが一層進み、法案を十分に吟味できなくなる恐れもある。
自民、維新の与党が昨年末に提出した定数削減法案は、選挙区で25議席、比例選で20議席をそれぞれ減らす内容だった。衆院解散で廃案になり、今度は比例だけで45議席を削減する方向に転じた。
小選挙区を削減すると、先の衆院選で小選挙区の8割超を制した自民に不利になる、という判断が働いたようだ。
人口に比例して区割りを定期的に見直す現行制度の下では、都市部への人口流入に伴って地方選出の議員は減る一方だ。定数削減の議論に時間を費やすより、制度自体の見直しを急ぐ必要がある。
「身を切る改革」をしたいのなら、かねて使途が不透明だと批判されている、議員1人当たり月100万円の調査研究広報滞在費の削減などを検討するのが筋だ。
