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新たな限定車シリーズ第1弾

ロールス・ロイスは、限定生産の電動コンバーチブル『プロジェクト・ナイチンゲール(Project Nightingale)』を発表した。自動車デザインに永続的な変化をもたらすという、新しいコーチビルド・コレクションの第1弾となる。

【画像】約15億円の超高級電動コンバーチブル! 唯一無二のプロポーション【ロールス・ロイス・プロジェクト・ナイチンゲールを詳しく見る】 全11枚

プロジェクト・ナイチンゲール(現時点での仮称)は100台限定で生産され、英国向けの価格は約700万ポンド(約15億円)からとなる。幅広いカスタマイズが可能なことから、最終的な価格はさらに高くなる見込みだ。


プロジェクト・ナイチンゲール    ロールス・ロイス

ロールス・ロイスはコーチビルド・コレクションの名の下、特注のデザインと高度なパーソナライゼーション・オプションを備えた限定生産モデルを、2〜3年ごとに投入していく計画だ。

コーチビルド・コレクションのモデルは、昨年の『ファントム・ゴールドフィンガー』のようなワンオフモデルと、2021年に3台限定で2000万ポンド(約43億円)で販売された『ボートテール』のような完全オーダーメイドモデルの中間に位置する。

プロジェクト・ナイチンゲールの購入者はロールス・ロイスによって選ばれ、すでに100台すべてが販売済みだ。

将来製品部門責任者のフィル・ハーネット氏は、「当社の最上級のお客様にのみアプローチしています。このクルマの価値を理解し、運転したいと願う方々のもとへ届けたい。お客様一人ひとりがふさわしい人物であり、クルマを大切に所有し続ける方であると信じています」と述べた。

新型車のテストは今年の夏に開始され、2028年より納車開始予定だ。まだコンセプト段階ではあるが、生産準備は99%整っているとされる。

今後のデザインの方向性を示す

プロジェクト・ナイチンゲールは、1928年の『ファントムI』をベースとする実験車『17EX』を現代風に解釈したものだ。17EXと同様に、全長5.76mの大部分を長いテールが占めている。

このデザインは、2024年にBMWから移籍したドマゴイ・デュケク氏の指揮下における新しい路線を示唆している。「今後のロールス・ロイスのデザインの方向性を示すものです」とデュケク氏は述べた。


プロジェクト・ナイチンゲール    ロールス・ロイス

ロールス・ロイスの他のモデルと同じくアート・オブ・ラグジュアリー・プラットフォームをベースとしているが、部品のほとんどが独自設計で、同社初のEVである『スペクター』とは基本的に共通点がないという。

ハーネット氏によると、コーチビルド・コレクションは、オーダーメイドを望みつつも「時間がない」顧客のニーズに応えるために生まれたという。

昨年5664台を販売したロールス・ロイスにとって、重要な収益源となるだろう。高度なパーソナライゼーションにより、高い利益率が期待されるためだ。

「営業部門からデザイナーに至るまで、わたし達はもっと多くのことをやりたいと考えていました」とハーネット氏は言う。

「そして、お客様と話していると、コーチビルドをしたいという方もいますが、必ずしもそこに費やすだけの時間があるとは限りません。お客様には何度も『また来てください、また来てください』とお願いことになります。お客様はまた、当社にリードしてほしいともおっしゃっています。『代わりにやってほしい。お金は払うので、あとはお任せしたい』と」

「こうした議論を重ね、適切なタイミングを模索してきました。そして自然と、『今こそ実行する時だ』という結論に至ったのです」

忙しい顧客のための特注モデル

ハーネット氏によると、このプロジェクトは「画期的な」手法で進められているという。完成してから購入予定者に車両を披露するのではなく、スケッチ段階から彼らを招き入れるのだ。顧客はプロジェクトの一員となるが、完全オーダーメイドに必要なほどの深い関与は求められない。

「少し順序を逆転させました。わたし達の旅に、お客様を誘っているのです」


プロジェクト・ナイチンゲール    ロールス・ロイス

顧客は、特定の段階で車両のテストプログラムに参加するよう招待されることもある。

「このプロジェクトで行うことはすべて、これまでと異なり、とても刺激的です。これはロールス・ロイスにとって新たな章の始まりとなります。わたし達はコーチビルドを刷新し、活性化してきました。そして今、再び革新を起こそうとしているのです」

コーチビルド・コレクションの鍵となるのは、ガレージに眠らせるだけのクルマではなく、運転して楽しめるクルマを作ることだ。だからこそ、第1弾はコンバーチブルとなった。ハーネット氏は、「ショーカーではなく、走らせるためのクルマです」と述べている。

プロジェクト・ナイチンゲールの量産モデルは、左ハンドルと右ハンドルの両仕様で、米国、欧州、アジアの顧客に販売された。オーナー層は「多様」で、「真のロールス・ロイス愛好家」だという。

100台限定生産となるが、ハーネット氏によると、将来のコーチビルド・コレクションのモデルでは生産台数が異なる可能性もあるという。ただし、希少性は維持する方針だ。

運転を楽しむためのクルマへ

『プロジェクト・ナイチンゲール』の名称は、フランス語で「ナイチンゲール(夜泣き鳥)」を意味する「ル・ロシニョール(Le Rossignol)」に由来する。これは、共同創業者ヘンリー・ロイス氏が南フランスのコート・ダジュールに所有していた邸宅の近くにある、デザイナーたちが利用していた家の名前だ。

プロジェクトを率いたのは、コーチビルド・デザイナーのハコボ・ドミンゲス・オヘア氏だ。彼はBMWグループに20年以上在籍するベテランであり、現行のBMW 3シリーズや8シリーズ・グランクーペなどのエクステリアに携わってきた。


プロジェクト・ナイチンゲール    ロールス・ロイス

17EXからデザインのインスピレーションを得たことについて、オヘア氏は次のように語った。

「わたし達はそのデザインに大きな魅力を感じました。特にプロポーションが素晴らしい。キャビンは非常に小さく、テールは長い。もちろん、プロジェクト・ナイチンゲールでは、現代的で大胆かつ純粋なフォルムを目指しました」

「横から見ると、その存在感が際立ちます。まさに唯一無二のプロポーションです。ファントムと同じ全長でありながら、乗れるのはたった2人だけです」

コンバーチブルを選択したのも、「運転する体験そのものが目的になる」というコンセプトに沿ったもので、「開放感を味わい、周囲の空気を感じ、音を聴くことこそが本質」だという。

ルーフのないスピードスターとする案も検討したが、ソフトトップの方が実用性が高まると判断した。

カスタマイズも豊富に用意

24インチのアルミホイール、リアとサイドに配されたフレームレスの「RR」バッジ、幅1m近いフロントグリル、大型のリアディフューザーといった新要素は、今後の量産車にも採用される可能性が高い。

インテリアにも新しい要素が盛り込まれている。例えば、お馴染みの「スターライト・ヘッドライナー」はコンバーチブルの仕様に基づき、ドアやシート後方に組み込まれている。


プロジェクト・ナイチンゲール    ロールス・ロイス

ハーネット氏は、開発途中のため技術的な詳細はまだ確定していないが、スペクターの107kWhリチウムイオンバッテリーよりも大容量のバッテリーを採用し、約530kmという航続距離を「ほぼ」維持すると認めた。

パワートレインの詳細も未公開だが、デュアルモーター構成となり、出力はブラックバッジ・スペクターの659psに匹敵するものと見込まれる。

プロジェクト・ナイチンゲールには、コーチビルド・コレクション専用の9色のボディカラーに加え、7種類のルーフオプションと11種類のインテリアレザーオプションが用意される。

ロールス・ロイスのCEO、クリス・ブラウンリッジ氏は「世界中の最も審美眼の高いお客様から、これまでで最も野心的な作品を求める声が寄せられました。わたし達はこれに応えるため、ブランドとしてこれまで共存しなかった3つの要素を融合させました。それは、コーチビルドによる完全なデザインの自由、力強く静粛な完全電動パワートレイン、そしてこの技術だけが実現できる比類なきオープントップのドライビング体験です」と述べている。