自民党の武田良太元総務大臣が、旧二階派のメンバーを中心に総合安全保障研究会と名付けた新たな政策グループを立ち上げた。初会合には衆参の国会議員22人が出席。今後は毎週木曜の昼に集まり、外交防衛だけではなく食料やエネルギー安全保障、国土の強靱化などについて講師を招き、勉強会を行う方針だ。

【映像】木曜昼に集う派閥や主なグループ(画像まとめ)

 派閥復活の兆しなのだろうか?ジャーナリストの青山和弘氏が解説する。

 武田氏の動きについては、「自民党は元々派閥があったが、『政治とカネの問題』で解消した。ただ、強制的に解消しなかったため、今でも麻生派だけが残っている。麻生派は今回、選挙で勝った新人たちもリクルートして、60人にまで拡大している。他の派閥はなくなり、静かになっているのかなと思うと、選挙なども経て『政治とカネの問題』も、だんだん皆の口の端に上らなくなってきて、うごめき始めたことだと思う」と話す。

 なぜ「木曜の昼」なのか。「元々、田中角栄元総理の田中派が『木曜クラブ』と言って、木曜日の昼に集まっていた。派閥の掛け持ちを許さないために、みんな同じ時間になった。田中派は『一致結束、箱弁当』で、同じ弁当を食べて。それぞれの派閥が木曜日にやることで、掛け持ったり、裏で行ったりしないようにしていた」。

 このタイミングでの動きには「『高市早苗総理の寝首を掻こうと思っている』と言うと強過ぎると思う。やはり今支持率も高く、高市総理が当面続くのは既定路線だとしてもただ、いつ何があるかわからないのが、政治の常だ。選挙が終わったタイミングなので、皆1回みそぎも済んで、『政治とカネの話』も、選挙というスクリーニングを受けたということで、『じゃあそろそろいいだろう』という思いがある」と説明する。

 一方で「旧岸田派は、林芳正総務大臣と岸田文雄元総理で分裂している。二階派は武田氏が今回、派閥的な“勉強会”を立ち上げたが、元々所属していた小林鷹之政調会長は参加していない。旧茂木派も加藤勝信氏らが分裂し、旧安倍派もそうだ。細分化しているのが現実。小泉進次郎防衛大臣も新しいグループ的なものを立ち上げ、結集させようとしている。林氏・小林氏もそれぞれ動いているという形だ」とも語る。

 現存している派閥は麻生派だけだ。「今の段階では麻生派が唯一の力を持っていると言って過言ではない。だから新人なども、派閥に入りたい人は『ゆるやかなグループに所属するよりも、麻生派に入っておいた方が今後の人事でも有利ではないか』ということで、麻生派の求心力が高いのは間違いない」。

 “高市派”結成の可能性には、「高市氏も今は支持率が高いが、どうなるかわからないため、党内での人集めというか、グループを作っておいた方がいいと思っているようだ。高市氏と松下政経塾の同僚である山田宏参議院議員などが中心となり、勉強会をそろそろ立ち上げようかという動きがあり、高市派をゆるやかに作り始めようという動きは、少しずつ出始めている」という。

 では今後、派閥は復活するのか。「派閥とは何かという考え方。勉強会との違いは、基本的にはお金を集めるかどうかと、派閥の事務所を持つかどうか。かつての派閥は、事務所を永田町に個別に持ち、そこに派閥の職員もいて、パーティーやお金を集めて、人事に権力をを行使する。『うちの派閥からこの人を推薦します。そうしないと、非主流派としてあなたの足を引っ張ります』的なやり取りをして、『しょうがないな』と入れてもらう。これがかつての自民党で横行した」。

 そうした歴史を振り返りつつ、「カネと人事、外に事務所を持つかが大きいが、まだそこまではいっていない。派閥でお金を持つには政治団体を立ち上げないといけない。そこまではいかず、まだゆるやかな勉強会のため、『派閥の復活』と言うまではない。今はそういったものをまだ持っているのは麻生派だけだ」との見解を示す。

 自民党以外の状況については「他党にあるのは大体グループで、お金集めや外事務所を持つところまでは、基本的に至っていない。民主党でも昔、派閥パーティー的なものをやろうとしたグループはあったが、今は細分化した。自民党のかつての派閥みたいなものは、野党にはない。人の集まりはあるが、ただ集まっているだけで『派閥』と言えるまでの力は持っていない」のだそうだ。

 派閥と勉強会、グループは何が違うのか。「お金と人事だ。それが復活されなければ“派閥”と呼べないのかというと、これも考え次第。一番大きいのは総裁候補を出すかどうかだ。小泉氏や小林氏らの各派は、総裁選をにらんでいるため、広い意味では“派閥”と言えるかもしれない」。

 そして、「高市氏がある程度力を持っているうちは、派閥的な動きをさほどする必要はないが、やはり人は急に集まらない。だんだんと人間関係を養成していく必要がある。来年9月に総裁選があり、高市氏の無投票再選かもしれないが、どっかから『うちから出そう』という話が出てくると、派閥的な動きに近づいてくる。総裁選をやるとなると、お金もいるよね、負けても人事で力を使おうね、ということに発展していく可能性はある。そういう形で自民党の派閥はこれまでも1回なくしたけれど復活してきた歴史がある」と語る。

 勉強会に関しては、「今はゆるく、縛りがないため、『様子見で参加しよう』みたいな人たちもいる。本当に派閥が復活すれば、『木曜日の昼に必ず集まり、掛け持ちもダメ』としないといけないが、まだそこまでは至っていない。まだ“政治とカネ”問題で派閥が解消して、だんだんうごめき始めた初期段階と言える」と考えている。

 麻生派が残っていることについては「旧安倍派や旧二階派のパーティー券が問題になったため、麻生太郎副総裁に言わせれば『派閥が悪かったのではない』『麻生派は悪くなかったんだ』ということだ。岸田氏は『解消する』と言ったが、麻生氏は『俺は悪くないから解消しない』と言い張って、岸田氏が説得しきれなかった。だから中途半端に麻生派だけが残った。茂木派など他の派閥も、解散したくなかったが、色々なプレッシャーを受けて解散することになった」と解説。

「彼らは派閥を『復活させる』とは言っていない。『政策の勉強会を作ろうとしている。派閥の復活ではないため、問題があるわけないだろう』と言っている。だから、かつてみたいにパーティーを開いてお金を集めて、派閥独自のマネーシステムを作るということまではまだ踏み切っていない」

 派閥の役割としては「自民党の派閥というのは特に、教育システムも担っていた。自民党議員は今回66人の新人が当選したが、派閥がないと、66人がバラバラに存在するだけで、誰がしきたりを教えたり、情報交換とか。あとはこの人が『どういうことがしたくて、何に強いのか』で、人事で推薦するよう目配せする人もいない。今回のように新人議員が多いと『派閥があった方が良かった』という声もある」という。

 一方で「内向きで『自分の派閥の利益のために』と動く可能性は十分ある。逆に言うと『自分の派閥から総裁を出して、いい目を見たい』と集まり始めている人もいる。自分が総理になりたいから集めている人もいる。そういう意味では、純粋に国や政策のためでなく、権力争いに使われる側面は否めない。そこにお金が絡んでくると、さらに裏側ができてしまうのでそこはまだ慎重だということだ」とも話した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)