深刻化する中高年男性の“友達いない問題”…50代男性の37%「友達ゼロ」男らしさの呪縛が原因?ライターが指摘「弱音吐ける存在作らない方がかっこいいという美学が…」

昨今、「孤立死」の問題が深刻化している。社会的な孤立を防ぐためには人とのつながりが重要だが、実は友達がいないことは健康にも関わる問題なのだそう。
ニュース番組『わたしとニュース』では、中高年男性の友達づくりの重要性について、漫画家の瀧波ユカリ氏とともに考えた。
■50代男性の37%が「友達ゼロ」…ライターが提唱する「6020運動」

中年男性の友達づくりの重要性について警鐘を鳴らすのは、ライターの伊藤聡氏(54)だ。
「死んじゃうんです。友達がいないと。つらすぎて。友達がいないって、本当に命とか健康の問題だということを、私はすごく言いたい」(伊藤氏、以下同)
「ISSP国際調査というのがあるが、50代男性の37%は友達ゼロ。プラス、男性の自殺率というのがあって、これは女性の倍以上(男性:13,176人、女性:6,012人・2025年警察庁)なんです。2つには関係があるんじゃないかとすごく思う。やっぱりこれは非常に良くないと」
中高年男性のこうした現状を受け、伊藤氏は60歳までに友達を20人作る「6020運動」を始め、Webでの発信や執筆活動を行っている。
「友達がいないということによって、人に悩みを話してストレスを解消するとか、つらい気持ちを和らげるということが男性はできないので。特に今の40代、50代、60代くらいの人たちは、自分の中に抱え込んだストレスを解放する方法を知らないまま苦しんでいる。ひとりぼっちになっちゃう。私の経験上、なんとなく自然に友達ってできるのかなと思っていたが、もうこれは頑張らないとできない。頑張って友達を作ろうと思ったのがきっかけ」
とはいうものの、中高年男性が新しい友達を簡単に作れるのだろうか。伊藤氏は、友達作りのハードルを下げるアドバイスを送る。
「すごく大事なことがあって、友達は親友である必要は全くない。何でも話せて、しょっちゅう会って、心がものすごくつながっていて、何も言わなくても伝わるみたいな、そんな友達はできない。1年に2回以上、私的な場で会って話ができる人、これが友達という風に私は思っている。お酒を飲みながらワーワーワーって話せる人が20人いたら、私たちは多分生きていけるので、そういう人を作りましょう。そういう人たちとのコミュニケーションが途切れないように、ずっとその人たちをケアしていくということができれば、男性はハッピーになれると思う」
この提言を聞いて、瀧波氏は「素晴らしいですね。ぶっちゃけ女性はずっと思っていましたよね。男の人はもっと友達を作ればいいのにって。よく、夫は友達がいなくて自分(妻)としか関わりがなくてつらいみたいな話もあるし、思っていたんだけど、こっちから言っても響かない。そこで伊藤さんみたいに男性から発信してくれるというのは、男性にとって本当にいいことだなと思う」と称賛した。
■「男らしさ」の呪縛とコミュニティの違い

伊藤氏の話でも上がったISSP国際比較調査の友人に関するアンケートによると、悩み事を相談できるような友人が「いない」と答えた50代男性は37%、60代男性は36%、70代男性は53%だった。一方で女性はどの年代でも男性のほぼ倍「いる」という結果だった。
この結果について、瀧波氏は「(中年男性は)会社勤めがすごく長くて、上下関係とか利害関係がある中でずっと生活をしてきた。プライベートで人と関わることがすごく少なかった世代なのかなと思う。それで、いざ仕事を引退すると、『あれ?どうしたらいいかわからない…』みたいな。仕事の愚痴とかだったら会社の中でずっと話してきたけど、そういうのが何もなくなった時に、どうやって誰とつながればいいのかわからないっていうのはあるのかなと思う」と指摘した。
「女性の場合、夫の転勤とか子どもの学校とか自分の都合じゃない相手と付き合わなきゃいけないという場面もある。しかも子どもとか夫のためっていうのがあるから、すごく難しい相手とでも何とか調整して大変でも付き合っていくということをやってきたから、やっぱりコミュ力はすごく高くなっていくと思う」(瀧波氏)
また、伊藤氏によると、中年が孤立する原因には「男らしさ」が悪影響を及ぼしているという。
「男性は周囲から男らしさを求められた際に、その期待に応えられないことに恐怖を感じてしまう。弱みを人に見せることを極端に嫌う。昔のような『男だったら泣くなよ』『弱音を吐くな』という発想は、特に40代、50代、60代のみなさんには植え付けられているのではないか。男らしさが欠けているということは、競争に勝って本来手に入れられるものを失っているという風に認識をしてしまう。何でも話し合える、弱音を吐けるような存在をあえて作らない方がかっこいいという美学が植え付けられているのではないか」(伊藤氏)
これに瀧波氏は「女性の立場としては、それを感覚的に理解することはすごく難しいけど、『つらい』とか『苦しい』とか『寂しい』を言えないということなのだろう。もし言われたとしても、きっとどうしたらいいのかわからない。触れにくいとか。そういうことで、つながりにくくなっているのかなと想像する」と語った。
「会社とかでは、ホモソーシャルと言って男性同士が連帯してワイワイやっているけれども、それがプライベートではできないということなんでしょうね」(瀧波氏、以下同)
■欠如している「ケアの精神」…まずは1歩を踏み出す
では、孤立しないためにどうすればよいのか。伊藤氏は、「男性は体と心をいたわる『ケア』の概念が欠如している。ケアの精神がなければ友達はできない」と考えている。伊藤氏自身はコロナ禍で人と会わなくなり苦しくなったことから「6020運動」を始めたそう。その時期に肌を労るスキンケアを始めたことで、自分や他人を労ることにつながったという。
これに対し、瀧波氏は「なぜなら男性はケアを外部委託してきたから。自分の妻とか母親とかにあれこれ世話をしてもらう立場であることが今まで多かった。だから、自分でケアすることの機会を持つことができなかった。セルフケアにおいても、女性はエステとか肌のケアをこまめにやる習慣がついているけど、男性だとちょっと恥ずかしかったりとか。多分、スキンケアと聞いて『関係あるの?』って思っている人がいると思うけど、関係あるんですよ」との見方を示した。
男性の中には、「肌の保湿=スキンケア」と考えない人もおり、スキンケアをしていることは男性らしくないと思われるため、言いたくないという心理もあるようだ。
「やっぱり女性が思っているよりも、そういう呪縛ってすごいんでしょうね。こっちは(スキンケアを)やっちゃえばいいじゃん、友達作っちゃえばいいじゃんって思うんだけど、私たちにはわからない、何かものすごく強い抑圧があるんでしょうね」
「『強くあらねば』という考えが自分の役に立つときもあると思うけど、でもこれ以上強くは無理だなってなって、助けを求めることも一つの強さじゃないですか。“男らしさの呪い”が強いんだったら、その助けを求めるのも男らしさという風に取り込んでくれたらいいのかなと思う。解くのが難しいんだったら。本当は解いてほしいけれど」
さらに伊藤氏は、「最大のハードルだが、友達を作るためには“人を誘う”しかない。断られたらどうしよう、面倒臭いなどと考えずに気楽にやっていくことが大切」と提言する。
瀧波氏は「誘って断られたらつらいというのもハードルになるのかな。1人ダメならまた次。みんな忙しいんだから。それで10人くらいのリストがあれば1人くらいは…。そうしていくうちに『誰かと会いたい』ということが周りに伝わるし、後からまた声をかけてくれたりもすると思う。具体的な自分の話をするのが難しいなら、趣味の話とかテレビでこれ見たとかスポーツの話とかでもいいんだから、まずは1歩を踏み出してほしい」と語った。
(『わたしとニュース』より)
