子供を失った母親が棺と一緒に火葬炉に入ろうとして…!火葬場職員が見た壮絶「遺族ドラマ」
棺にしがみつく母親
コロナ禍の「三密回避」をきっかけに簡略化が進んだとされる葬儀。今や家族葬が増え、直葬なども珍しくなくなっているそうだが、どんな形であれ、日本人であれば避けられないのが火葬だ。遺族にとって、火葬場は故人に最後の別れを告げる場所でもある。
そんな哀悼の場である斎場(ここで言う斎場とは火葬場が併設されたセレモニーホールのこと)で働く人たちは「火葬の数だけドラマがある」と口を揃える。職員たちにインタビューし、自身が見聞きした「忘れらない人間模様」について語ってもらった。
ひとり目は勤務歴10年の石山幹也さん(仮名・37歳)。
石山さんは「子どもを亡くし、悲嘆にくれる親」の姿が「何年たっても忘れられない」と話す。
「病気で亡くなった小学生のお子さんの火葬に立ち会った時のことです。読経とお焼香が終わり、最後の対面を済ませて棺を閉じた瞬間、その場に崩れ落ちるように号泣し始めた母親がいました。母親は、火葬炉に入って行く棺にしがみついて離れず、引きはがそうとした人間の手を振りほどいて、シャッターが閉まりかけた火葬炉の中に飛び込もうとしたんです。もちろん職員が止めましたが、髪を振り乱しながら、『私も●●(故人の名前)と一緒に行く!』と慟哭する姿に、子どもへの愛情の大きさを感じました」
石山さんが別の遺族に聞いた話によると、故人は、両親が10年に及ぶ不妊治療の末に授かったひとり息子だったそうだ。
「この母親は火葬中もずっと、祭壇の前で何度も子どもの名前を呼びながら泣き崩れていました。目の前の現実を受け入れられていないように見えましたね。その姿を見たご主人が『妻のあんな姿を見ると、私のほうが死ねば良かったと思いますね。死神もどうせ連れて行くのなら私にしてくれればよかったのに……』と悲痛な表情をされていました」
「これでは骨を拾うどころではないだろう」という親族の意向により、この母親は収骨には立ち会わなかったという。
突然、暴れ出した父親
親より先に子どもが死ぬことを親の心情を慮ってか「逆縁の不幸」などと言うが、この場合の「子ども」に年齢は関係ない。
石山さんが続ける。
「交通事故で亡くなった20代前半の男性の火葬を行った時のことです。ご遺族の他に友人らしき若い方が10名ほど来ていました」
収骨までの間、会葬者は控室で食事などをしながら待っているのだが、1時間ほどたった頃、控室から大きな物音や悲鳴が聞こえて来た。
「慌てて駆け付けると、故人の父親が泣き叫びながら、椅子やテーブルを蹴ったり、お膳や湯呑を引っくり返すなどして暴れていました」
この父親はアルコール依存症の治療中で、4ヵ月ほど断酒していたそうなのだが、他の人たちが控室に入ったタイミングでひとり売店に行って酒を買い、家族の目を盗むようにして飲んでいたらしい。
「どれくらい飲んでいたのか定かではありませんが、それまで青白い顔で今にも倒れそうなくらい憔悴しきっていた人が、目を血走らせ、顔を真っ赤にして奇声をあげていたのですから、驚いたなんてもんじゃなかったですね。凄まじい変貌ぶりでした」
怯えながら遠巻きに見ている遺族の前で、父親を制止したのは故人の友人たちだった。
できることなら代わってやりたい
「故人は元ラガーマンで、彼らは大学時代の仲間だったそうです。皆さん、ガタイが良くて力も強かった。『おやじさん、いい加減にしましょうよ!●●(故人の名前)が悲しみますよ』とか『なんでこんなことになるんですか!』などと口々にたしなめていました」
屈強な若い男性に押さえつけられた父親はしばらくじっとしていたが、再び嗚咽を始める。
「俺だってわかってるよ!だけど飲まなきゃやりきれなかったんだよ!」そう叫んだあと、
「俺が代わりに死ねば良かった。俺みたいなろくでなしこそ死んだほうが良いのに、何で息子なんだよ!」
と床に突っ伏して泣き続けたそうだ。
「事情は違えど『自分が代わりに死ねば良かった』とか『できることなら代わってやりたい』とおっしゃる親御さんは多いです。私にも目に入れても痛くないほど大切な子どもがいますので、他人事とは思えません」
斎場の職員として会葬者の前で感情を出すことができない石山さんは、事務所に戻った途端に涙が止まらなくなるという。
後編記事『正妻と愛人が遺骨を奪い合い、遺産をめぐって控室で怒鳴り合う子供たち…!職員が驚愕、火葬場で目の当たりにした「人間の業」』につづく。
【つづきを読む】正妻と愛人が遺骨を奪い合い、遺産をめぐって控室で怒鳴り合う子供たち…!職員が驚愕、火葬場で目の当たりにした「人間の業」
