ESA火星探査機が火星に最接近した恒星間天体「3I/ATLAS」の観測を実施

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こちらは、2025年10月3日に観測された恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス彗星)」。


5秒間の露光時間で得られた複数の画像を使って作成されたため、移動する彗星の背後で輝く星々は光の筋として見えています。


【▲ ESAの火星探査機「Trace Gas Orbtiter(トレース・ガス・オービター)」が観測した恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス彗星)」(Credit: ESA/TGO/CaSSIS)】

観測に使用されたのは、火星探査機「Trace Gas Orbtiter(TGO、トレース・ガス・オービター)」のカラー・ステレオ表面撮像システム「CaSSIS」です。TGOはESA=ヨーロッパ宇宙機関が主導する火星探査ミッション「ExoMars(エクソマーズ)」の周回探査機で、2016年10月に火星へ到着しました。


2025年7月初旬に発見された3I/ATLASは、2017年に発見された「1I/'Oumuamua(オウムアムア)」、2019年に発見された「2I/Borisov(ボリソフ彗星)」に続き、恒星間天体だと確認された3例目の天体として注目されています。


太陽に最接近するのは2025年10月29日頃、地球に最接近するのは2025年12月19日頃で、最接近距離は太陽に対して約1.3天文単位、地球に対して約1.8天文単位。その後は太陽系の外に向かって再び飛び去っていくことになります。


【▲ ESAの火星探査機「Trace Gas Orbtiter(トレース・ガス・オービター)」のCGイメージ(Credit: ESA/ATG medialab)】

TGOによる観測が実施されたのは、3I/ATLASが火星に最接近した日でした。最接近とはいっても、火星からの距離は約3000万km(約0.2天文単位)。地球から月までの距離の80倍近くも離れていました。


CaSSISはTGOから数百km〜数千km離れた火星の表面を観測するために作られたので、これほど離れている天体を観測しても、どんな結果になるかは確信できなかったといいます。そのうえ、普段の観測対象と比べて、3I/ATLASは1万〜10万倍も暗いのだといいます。


結果的に、CaSSISは3I/ATLASのコマ(※)を捉えることができました。地球の大型望遠鏡を使った観測ではコマから伸びる尾も観測されていますが、塵(ダスト)の明るさは彗星核から離れるにつれて急速に減少するため、CaSSISの画像ではコマの全体や尾までは見えていません。


※…彗星核から放出されたガスと塵でできた、明るいぼんやりとした領域。


【▲ ESAの火星探査機「Trace Gas Orbtiter(トレース・ガス・オービター)」が観測した恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス彗星)」のアニメーション画像バージョン。画像中央を右上から左下へと移動する、ぼんやりした白い点が3I/ATLAS(Credit: ESA/TGO/CaSSIS)】

なお、ESAの別の火星探査機「Mars Express(マーズ・エクスプレス)」による3I/ATLASの観測も試みられたものの、露光時間が最大で0.5秒と短いため、Mars Expressの観測機器で得たデータからはまだその姿を確認できていないといいます。


また、TGOとMars Expressによる3I/ATLASの観測では、画像取得だけでなく、スペクトル(電磁波の波長ごとの強さの分布)の取得も試みられました。コマと尾がスペクトルの特性を調べるのに十分明るかったかどうかはわからないといい、研究者は得られたデータの分析を引き続き行っていくということです。


冒頭の画像はESAから2025年10月7日付で公開されています。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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