井上雄彦 X(@inouetake)より

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 バスケットボール漫画の金字塔、全世界累計発行部数1億8500万部を誇る『SLAM DUNK』(井上雄彦集英社)。ファン待望となる電子書籍が6月2日に解禁された。解禁されるや否や大手電子コミックストア「LINEマンガ」の「スポーツ」部門で1位になるなど(※)、大いに注目を集めている。※6月3日12時現在

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◼︎タブレット端末の更なる普及が加速か

 1996年の連載終了から約30年の期間を経て、遂に電子化が実現する運びとなり歓喜した往年のファンも多いことはずだ。電子化にあたり紙の場合にはやや見づらさもあったノド(ページの綴じ目)の開きにくい部分をしっかりと見ることができるのは利点だろう。

 また、細かいところでも電子版の見開きについて井上雄彦が言及している。

 連載当時、見開きページを描く際には通常使用していたB4ケント紙の2倍のB3用紙に描いていたそう。その為、電子化に際しても画面の中心に紙の継ぎ目のない、迫力の見開きページを楽しむことができそうだ。井上も発しているように、タブレット端末で見開きの状態にすると原稿に1番近く読みやすいだろう。

 最高の状態で電子版『SLAM DUNK』を楽しむ為にタブレット端末購入の流れが加速する可能性も否めない。本記事を読んでいる方はアンビリーバブルだと思われるかも知れないが、本作の主人公、桜木花道は不可能を可能にする男なのだから何が起こっても不思議ではない。ダンコたる決意で電子化を決断されたであろう井上雄彦の想いに最高のデバイスコンディションで報いたいところだ。

◼︎誰もが知るあの名台詞の起源や、作品初期の新鮮な空気感を味わえる喜び

 2022年12月3日に公開された映画『THE  FIRST SLAM DUNK』の大ヒットもあり、映画をきっかけに作品を知り、原作にまで手を伸ばした人も多くいるであろう一方、紙で作品を揃えるところまで中々手が出なかった人も一定数いることだろう。今回の電子化が作品を手に取るきっかけの一つになることは間違いない。

 『SLAM DUNK』に触れたことがなくても一度は耳にしたことのある「安西先生…バスケがしたいです」というセリフ。作中随一の名シーンが生まれた背景にはどのような流れがあったのか、そんな物語の根幹に迫る楽しみはやはり原作を読むことによって得られるものだろう。

 また、意外にも作品初期では桜木花道が柔道部の主将からしつこく勧誘され柔道対決に付き合わされる話や、不良グループのボスとしてバスケ部を潰しにきた三井寿達との体育館内での抗争など、バスケットボールの試合以外のエピソードが描かれていることも多い。個性的なメンバーがどのようにして集結していったのか、それまでの展開にも注目していただきたい。

 さらにはテストの成績がからっきしダメな花道を初めとしたレギュラーメンバーが赤点による罰則を回避する為に湘北高校の主将、赤木の家で勉強合宿をするなど高校生ならではのエピソードも中々に魅力的だ。

 長年作品を愛したファンが支えてきた土台の上に、映画の爆発的大ヒット。映像からはスピード感溢れる試合展開と監督として自ら指揮を取った井上雄彦の感性が随所に溢れる。

 さらには総制作期間約7年と言われる膨大な時間を映画制作にかけるそのガッツ。そして今回の電子書籍化というとっておきの飛び道具。特に未読の方にはぜひとも今回の電子化を作品を手にとるきっかけにして『SLAM DUNK』の世界を存分に楽しんで欲しい。

(文=もり氏)