教習車はSUVでもミニバンでもOKだったのか! 元教官が語る教習所トリビア5つ
この記事をまとめると
■元自動車教習所の教官が教習所のトリビアを紹介
■教官になるにはさまざまな条件が存在している
■勘違いしたまま卒業している生徒が多い意外なルールも存在している
そうだったのか! 教習所トリビア
運転免許を取得するときに通う教習所は、さまざまなルールにしたがって運営されています。教習生として通っているときには気にかけなかったものの、いまになって「あれってどうなってるの?」と気になることもあるでしょう。今回は、広く知られていない教習所のトリビアをいくつか紹介します。
じつは教習車はセダンじゃなくてもいい!
教習所で使われる教習車はセダンが一般的です。しかし、セダンでなければならないという決まりはなく、SUVでもミニバンでも輸入車でも問題ありません。
ただし、試験車として使われるクルマにはルールがあります。
試験車に関する法律は、道路交通法施行規則第24条第6項に定められており、条文には「技能試験において使用する自動車は、免許の種類に応じた自動車でなければならない」と明記されています。
また、普通免許・普通第二種免許および普通仮免許の試験で使うクルマは、乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で、長さ4.40m以上、幅1.69m以上、最遠軸距(ホイールベース)2.50m以上及び輪距(トレッド)1.30m以上のものでなければなりません。
この基準に準じた車両であれば、運転の試験をすることができます。そのため、車種やボディタイプの指定はないのです。
教習車には教習のための装備を取り付けなければならない
教習で使われている教習車の多くは、自動車メーカーが教習車仕様にしたクルマを使っています。
先述したとおり、教習車として使うことができるクルマには、車種やボディタイプの指定がないため、乗用車として販売されているクルマを教習車仕様にすれば、教習することが可能です。また、技能試験の自動車の基準に準じたクルマであれば試験をすることもできます。
ただし、教習や試験ができるよう装備の追加や改造をして、国土交通省が定める構造の要件を満たさなければなりません。そのため、乗用車を教習車仕様に変更しようとすると、手間・時間・コストがかかります。このようなことから、自動車メーカーが販売している教習車仕様のクルマを使う教習所が多いと考えられます。
また、自動車メーカーが販売している教習車仕様の車両には、MT・ATのどちらも用意されているため、教習所にとって都合が良いのです。
誰でも教官になれるわけではない!
教習指導員・技能検定員には年齢制限がある
指定自動車教習所で運転の指導をする教習指導員、運転の試験をする試験官の技能検定員には、年齢制限があるのを知っていますか?
道路交通法第99条には、指定自動車教習所に関連する内容が明記されています。そのなかに教習指導員や技能検定員に関することも規定されており、「次のいずれにも該当しない者」のなかに年齢制限に関する記載を見つけることができます。
条文に定められている年齢制限は次のとおりです。
・教習指導員:21歳未満の者
・技能検定員:25歳未満の者
つまり、教習指導員は21歳以上、技能検定員は25歳以上でなければならないのです。もし、18歳で免許を取得してすぐに教習所に就職し、教習指導員になろうとしても法律により資格を取得することはできません。
当時は勘違いしていた!? 方向変換のルール
教習の課程にある「方向変換」は駐車ではありません。あくまでも方向を変えて出ることが目的です。
そのため、コの字型のスペースに対してクルマを綺麗に停めたり、ぶつかる直前までバックしたりする必要はありません。
シチュエーションとしては、道を進んでいったら行き止まりになってしまい、行き止まり手前の空きスペースで方向を変えて来た道を戻るというイメージです。
ちなみに、運転の試験でも方向を変えて出ることができればクリアとなります。
指導員や検定員は安全運転のプロ
指導員や検定員は、公安委員会の審査に合格したり、国家公安委員会が指定する課程を修了したりしなければ「資格者証(国家資格)」の交付を受けることができません。そのため、安全運転のプロといっても過言ではないでしょう。
また、周囲のクルマの動きを見るだけでドライバーが何をしているのか、どんなことを考えているのかわかることもあります。さらに、指導員や検定員のなかには、人を見るだけで性格や運転の特徴を見極めることができる人もいます。
このように、運転技術だけでなく、周囲の観察力が高いのも教習指導員や技能検定員の特徴です。
公安委員会に認められている指定自動車教習所の指導員・検定員
指定自動車教習所の指導員や検定員は、国に認められた運転の指導者です。そのため、指導員や検定員は、高い運転技術(安全運転に関する運転技術)が必要なだけでなく、人を見る目も必要となります。