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「お客様は神様です」――そんな言葉が当たり前のように使われていた時代から、飲食店と客の関係は少しずつ変わりつつあります。2026年2月には、農林水産省が「飲食店向けカスタマーハラスメント対策ガイドライン」を公表。2025年6月の法改正でカスハラ防止措置が企業の義務となるなど、「お店側も守られるべき存在」という考え方が、ようやく形になってきました。
今回は、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、都内の高級中華レストランに勤める男性が遭遇した、思わず目を疑うような“事件”をご紹介します。電話予約で訪れた5人家族を個室に通したものの、いつまで経っても呼び出しベルが鳴らない――。不審に思った店長と一緒にドアを開けた瞬間、円卓の上に広がっていた“とんでもない光景”とは。

記事の後半では、店側が「出入り禁止」を伝えることに法的な根拠はあるのか、そして居座る客に適用されうる“ある罪”についても触れていきます。「お客様は神様」の続きにある、ちょっと知っておきたい法律の話、お届けします。

◆高級中華レストランに来る迷惑客

 都内某所にある高級中華レストランで働く吉富さん(仮名・42歳)。以前は自動車の営業マンをしていたそうですが、異業種に転職して早15年がたとうとしていました。

 そんな吉富さんに「迷惑な客とは?」という直球な質問を投げてみたところ…

「最近は、店側と客とが対等になりつつありますが、以前は『お客様は神様』の時代が全盛でしたね。やはり一番多いのが『怒鳴る客』でしょうか。

 注文が遅いとか、メニューと写真が違うとか……。次に迷惑なのは『長居する客』ですかね。悪気はないのでしょうが、混んでいる時なんかはもう少し空気を読んでほしいというか……。

 ま、無銭飲食とか、警察沙汰になる客は別枠ですけどね。ただ、最近はあまり見なくなったかな」

◆客は見た目では判断できない

 ただ、迷惑な客は見た目では決して判断できないと語る吉富さん。

「先日も驚いたことがあったんです。品の良い感じの母親と大学生くらいの娘さんが訪れて、ぎょうざとラーメンとしゅうまいを頼まれました。

 しばらくしてその親子が席を立ち、会計レジへ向かったかと思うと『いい加減なこと言わないでよ!詐欺みたいじゃないの。店長を呼んで!』とかなりの大声でレジの女の子をまくしたてていました。

 慌てて私が駆けつけると、どうやら無料クーポンの期限が切れていて、それを伝えたら逆上し始めたんです。こちらには非はないのですけどね」

 一見上品そうに見えても、そうやって豹変する客は少なくないそうです。

「もちろん、その真逆もありますよ。失礼な言い方なのですが、どうみても浮浪者のような汚れた身なりの客が来店し、その後に同じような身なりの友人が来店し、結局宴会のような大盛り上がりとなって、キャッシュで12万円ほど支払った客もいましたね。

 その客は、高校生のアルバイトに5000円のチップまで渡していましたよ」

 吉富さんほどのキャリアになると、さまざまな客に遭遇しているようです。

◆一向に注文してこない5人家族の悪事

 ただ、つい最近遭遇した客は、吉富さんも目を丸くしていたそうです。

「その日は、電話で予約を受けていた5人家族が時間通りにお店に到着し、奥にある個室に通しました。ウチの店は、繁忙期でなければ無料で個室が利用できるので、よくある光景なんですよ」

 ところが、部屋へ案内し、しばらくしても一向に呼び出しベルが鳴らなかったといいます。

「何度か個室のドア越しに『ご注文はいかがでしょうか?』と丁寧に尋ねたのですが、その後も呼び出しベルは鳴らず、3〜4回は足を運びましたかね。