診療室でしか聞けない歯周病予防のポイントとは?定期健診の重要性を医師が解説
歯周病は、日本人が歯を失う原因の第1位で「30代以上になると約8割がかかる」というデータもあります。その歯周病を予防するためには、毎日のケアや生活習慣を見直すことが重要です。今回は、診療室でしか聞けない歯周病予防のポイントについて、「ブランデンタルクリニック」の溝口先生にお聞きしました。
監修歯科医師:
溝口 久勝(ブランデンタルクリニック)
福岡歯科大学卒業後、広島大学で研修医過程を修了。2024年、地元である広島に「ブランデンタルクリニック」を開業。患者一人ひとりの背景を考慮しながらニーズを的確にとらえ、口腔環境をより健康に、より長く良好に保つための治療を提供している。小児から成人まで対応できる年齢層も幅広く、予防的な要素を含む審美治療への思いは熱い。
編集部
普段の診療で心がけている歯周病予防のポイントは何ですか?
溝口先生
患者さん一人ひとりのお口の状態は異なるので、まずはその人の汚れやすい場所や磨き残しの多い場所を評価し、それを患者さんにお伝えすることを大切にしています。実際に、プラークを染めだす薬剤を使って汚れた部分を可視化し、「ここが磨けていません」と具体的に示すことで、患者さんの意識が大きく変わることがあります。さらに、実際に歯磨きをしていただきながらその人に合わせたアドバイスをおこなうなど、具体的な指導を心がけています。
編集部
歯周病予防において、やはり歯科の定期健診は重要なのでしょうか?
溝口先生
そうですね。歯周病予防において、定期健診でのプロフェッショナルケアは必須です。その重要性は日本と北欧の比較からも明確で、とくに80歳時点での残存歯数にその差が大きく表れています。日本人の場合、80歳時点の平均残存歯数は平均14本であるのに対し、北欧では26本ほど残っています。この違いの最大の要因は、定期健診の受診率です。北欧では国民の9割が定期的に歯科健診を受けているのに対して、日本では3割程度にとどまっています。
編集部
歯科定期健診は、将来的に維持できる歯の本数にも関わってくるのですね。
溝口先生
実際のところ、歯科定期健診を受けている人はほとんどの歯が残るのに対し、受けていない人は大幅に減少するという二極化が日本では起こっています。とくに歯周病の場合、歯ブラシでは届かない歯周ポケット内の汚れは、プロによる歯石除去や歯面清掃が不可欠です。したがって、一般的に3~6カ月に1回程度の頻度で、歯科定期健診を受けることを推奨しています。
編集部
そのほかに、普段の診療で患者さんに伝えているアドバイスがあれば教えてください。
溝口先生
近年、お口の健康と全身の健康との関連性が注目されています。とくに、糖尿病は歯周病との相関性が高く、歯周病が改善すれば血糖値も改善し、血糖値が良くなれば歯周病も改善しやすいという関係があります。そのほかも、歯周病は心筋梗塞や脳梗塞、認知症との関連性も指摘されています。「お口の健康を守ることは、全身の健康を守ることにも大きく関わっている」という点を、患者さんに丁寧に説明するよう心がけています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
溝口先生
歯周病予防は、若い時期から意識を向けることが非常に重要です。若い人は歯が抜けることも少ないため、むし歯予防にばかり目が向きがちですが、じつは今の口腔ケアが10年後、20年後のお口の健康を大きく左右します。歯周病は、歯のぐらつきを自覚したときにはすでに手遅れということが少なくありません。そのため、未来のお口の健康のために、今からしっかりとケアをおこなっていただきたいと思います。近年はインプラントをはじめとする歯科医療も進歩していますが、自分の歯に勝るものはありません。毎日の丁寧なケアで、ご自身の歯を1本でも多く残していくことを心がけていきましょう。
※この記事はメディカルドックにて<歯科医が教える「歯周病を予防するセルフケア術」 健康な歯を保つための習慣づくりを解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
